田中先生の逝去を悼む
英国籍の元教員ら2人逮捕=飲食店テロで手引きか-バングラ
2016年08月04日 19時31分 時事通信
【ニューデリー時事】バングラデシュの首都ダッカで飲食店が襲撃され、日本人を含む人質20人が殺害されたテロ事件で、警察当局は4日、事件に関与した疑いで、英国籍の元大学教員とカナダの大学に通う男の2人を逮捕したと発表した。2人は事件当時、店内にいて、実行犯5人を手引きしたとみられる。
警察によると、逮捕されたのはダッカ市内の元私立大学教員で、バングラデシュ系英国人のH・K容疑者と、トロントの大学に通うT・H・K容疑者。報道によれば、H・K容疑者は家族と現場の飲食店を訪れていたが、付近の住民が撮影したビデオには、たばこを吸いながら実行犯らと会話を交わす様子が映されていた。実行犯の一部はH・K容疑者が教えていた私立大学に通っていたことがあり、警察は同容疑者の自宅を捜索するなどして関連を調べていた。一方、T・H・K容疑者は事件直前にカナダから帰国し、友人らと共に飲食店を訪れた。
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もう一昔も前になるのかと驚きました。
11年前、私が独立技術士として仕事を始めた折、技術士会の会議室で今も連綿と続く機械部会の月例講演会にて、田中宏先生に言葉を掛けていただいた事を思い出しながら、私はこの文章を書いています。
その当時、若輩かつ駆け出し時代の迷い多き私は、技術コンサルタントは弁舌巧みというある意味固定観念が当初あったことを、今、吐露しなければなりません。しかし、田中先生と話し、すぐその意識は一蹴されたのです。ややかれた声でも明晰できわめて通る声・口調で、温厚かつ真摯な対応の中に、技術的バックボーンに裏打ちされたしっかりとした話をされました。もちろんその技術者としての公正中立かつ専門家としての社会的責任を堅持しながら。
私は、機会を見つけては、海外コンサル経験に対しその意義を、ご専門の交通計画にとどまらない重厚な実践経験を交えて熱く語る先生の談話に聞き入ったものでした。最近も機械部会の例会では締めの挨拶などを、含蓄のある、しかし端麗な言葉で継続されていました。
そんな私でしたが、そのうち機械部会幹事団の末席にお邪魔させていただく機会を得ました。同じ横浜市内に居を構えていたことや、基本技術分野の共通性があったこと、また偶然ですが企業勤務時の間接的つながりがあったためでしょうか。当時、京急鶴見駅の近隣にあった田中先生の事務所に技術士数名で度々お伺いし、主に日本技術士会の活性化に資するお手伝いをさせていただきました。部会が企画した油空圧関係の展示会出展時の企画・運営、日本機械学会との広範囲な連携で、特に、「機械の日」の連携行事の立上初期に、当方も力不足にもかかわらずご一緒させていただきました。田中先生の知力・洞察力と、ここぞの時の胆力・発言力には、あのスリムな体のどこから沸きかがってくるのかと驚いたものです。もちろんそれをお持ちだからこそ諸外国の交通計画立案に対し、現場主義による実践を、高い熱意を持って果敢に遂行されたということになるのでしょうが。
近年は、神奈川県支部でも活躍され、支部事務所でお会いすることも頻繁にありました。その仕事の合間に口端に上る経験談と知見は、いまだに経験値の広くない私には新鮮で、わが身を省みるに好適なものでした。
個人的思い出にもう少し浸らせていただきたいと思います。かつて私は、某所で技術者企業内教育のカリキュラム構築法についてお話させていただいたことがありました。その内容を田中先生は聞いていらっしゃったのか、1週間もたたないうちに私に声を掛けていただきました。曰く「これをまとめて雑誌で論文発表してはどうか」と。更に段取りまでお世話いただきました。その後この論文の骨子は今に至るまで、私の専門技術者・技術士としてのひとつの技術的支柱になっています。
たぶん田中先生は道を拓こうとするすべての技術士・技術者に対し並々ならない期待をお持ちで、機会を与え続けることをずっと思慮されていたのでしょう。それは「科学教室」など未来の理化学を目指す若年者や、上述した「機械の日」行事に集う青少年に対しても穏やかで真摯な姿勢は変わらなかったことの証左になります。ほかにも、何かの折に私の業務展望をお話させていただいた折、海外コンサルタント業務の会合にお声掛けいただくなど、私たちに対し機会を与えて活躍の場を広げさせるべく、示唆いただいた内容は山ほどあるのですが、不肖当方がどれだけそのご鞭撻に応えられたのかと思うと、消え入りたい気持ちも一杯あります。
先程わたしのPCに「次回の会合は海外業務で不在になります」なる要旨の、田中先生発の同報メールが残っているのを見つけ、今、なんとも「詮無い」気持ちになっています。ご教示いただくべきことはまだ沢山会ったはずなのですが・・・・。高い技術力をもって海外への技術支援に熱意を注ぎ、その高邁なる理念と高い意欲と知的エレガントさを持った姿勢は技術者が模範とするべき方でした。
今回のダッカの事件では、ほかにも前途ある建設技術者として、技術士・技術士補の方が事件に遭遇しました。そして、本件は、先生の積年の地球全体にわたる社会貢献の願いを踏みにじるとまで見え、当方はあまりにも残念でたまりません。
しかし私たちが今なすべきことは、先生の遺志を胸に刻み、我々技術コンサルタントの今後の生き様に反映することであり、それが、先生の果たしきれなかった事項をせめてもの受け継ぐ事だと考えております。
合掌
