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国家資格と「上に政策あれば下に対策あり」(2/2)

ちょっと古い話である。
-----------------------引用
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120223/waf12022308190004-n1.htm
対案なきインテリに猛反撃  2012.2.23 08:18 産経新聞
 「ハシズム」という奇妙な言葉がある。大阪市長、橋下徹の手法を「独裁的」と批判するリベラル派の学者らが、ファシズムをもじって使う造語だ。彼が「自主、自立」を最重視することから、「浅薄な新自由主義者」とレッテルを貼られることもある。
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実践者の自負
 橋下は最近、気に入らない学者らを繰り返しこき下ろしている。現実の政治、行政の現場に生きる彼には、机上の論理を振りかざすような姿勢が我慢ならないのか、権威的なものへの反感なのか、いらだちを隠そうとしない。(中略)
 「現場のことを何も知らない、現場で実際の仕事をしたことのない人たちからは、維新の会は目の敵にされる。それは光栄だ」
 彼は22日にも自身のツイッターにこう記し、象牙の塔の住人らを皮肉った。自分はイデオロギー的な思想家・批評家ではなく、実践者であるとの自負が舌鋒(ぜっぽう)をより鋭くさせている。
1月末のテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ 激論!大阪市長“独裁・橋下流”は日本を救う?!」には、彼自身が出演した。7人のパネリストの大半は、彼に批判的な学識者や国会議員、ジャーナリストらだったが、議論は終始橋下ペースで進み、反橋下側から、有効な反論はほとんど出なかった。
 「橋下さんが今の(日本の)キーパーソンだから、橋下さんのやることがいいのか悪いのか、という番組にしたかった」
 司会を務めたジャーナリスト、田原総一朗が振り返る。橋下本人からも「自分に厳しく反対する人ばっかりを集めてほしい」と注文がついていたという。
 田原は「橋下さんに対する批判の弱さに、日本のインテリの弱さが出た」と語り、こう分析する。
 「日本のインテリは権力側を批判はするが、対案を持っていない。『じゃあ、あなたはこの問題をどうしますか』といわれたときに、答えを持っていない」

欺瞞指摘に支持
 橋下は、制度疲労が目立つ現体制の打破を主張し、新しい体制をつくろうとしている。その風雲児である彼に「体制あってこその批判」をぶつけてもピント外れになるのは当然だろう。
 『橋下主義(ハシズム)を許すな』(ビジネス社)の共著者の精神科医、香山リカはこの番組出演後、インターネットサイトに「テレビの前で議論しても残る橋下市政への違和感」と題する文章を寄せた。
 「『日本のシステムを改革する』と訴える橋下市長が、変えた後にどういう社会を創りたいのかが、どうしても見えない」
 途端に、橋下に期待を寄せる有権者からすさまじい勢いで批判が寄せられた。
 「橋下さんは、戦後民主主義が持っていた問題点、欺瞞(ぎまん)を全てわかりやすく提示した胸のすく存在なのだと思う。妥協点を見つけ、八方美人的なこともやった結果、政治不信や経済の低迷を生んだという不満が多くの有権者にある」
 香山は、橋下が支持を集める背景を見つめる一方、「相手をたたきのめす、プロセスを吹っ飛ばすことがいいんだとするのはどうか」と疑問を示す。
 だが、過激な手法に待望論が集まるほど「戦後民主主義」は行き詰まっているのかもしれない。
 橋下と10年来のつきあいがある放送プロデューサー、デーブ・スペクターは彼への批判の強まりを「アンチ橋下イズム、たたき降ろすミニ産業ができている」とみる。ただ、心配も口にする。
 「あの人は戦う人だから逆に燃えて反論するが、それがプラスになるとはかぎらない。揚げ足を取られたりすることもある。ブレーキをかけないと心配だ」
 とはいえ、「ブレーキ」となりそうな人材は周囲に見当たらない。
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まさに、「上に政策あれば下に対策あり」である。この場合橋下氏が弁護士であることはかなり意識していいかもしれない。
政治家という場合は多くの場合論理的に配慮して政策を立案し、あるべき姿を提案していく。そしてそのような力をもつ人間を選挙で選ぶというのが「原則的には」政治の形であった。つまり個別案件に特化した内容で政治家が選出された場合、ほとんど政策決定能力が与えられることは極めて限定的である。時に彼は弁護士といっても庶民の企業関係などの業務を主としている。となると「体制あってこその批判」というのは成り立たないタイプの業務に精通している。まさに下の対策の専門家であって、その人が上の政策を脅かし始めて、あるべき姿自体を否定し始めたこと自体に混乱が生じたのだろうと思う。

これは、現在ドナルド・ジョン・トランプが、共和党系であっても今まで政治に対し虚無感をもっていてかつ発言する能力が高くなかった白人保守層ブルーカラーに対し、熱狂的な支持を受けていることを考えると、非常に類似しているともいえる。もちろんこのままトランプの優位が続けば、共和党中枢らが潰しに回るだろう。しかし2大政党から放置されている有権者たちの志向をつなげば、何がおこるか分からないとも思える。
ちなみにドナルド・ジョン・トランプは経営者として実績があり、「一応」知識層のエリアに入る人である。こういう革新性を(ちゃぶ台をひっくり返し、後に対してはなるようになる形で)提案することが、行き詰まりを見せる社会では民意・正義に見えることになる。
理念先行で物事を上意下達に遂行するのと実務対応の間には利害相克は相当にある。そして、実務対応の形の変革を川上まで上げようとするのには、論理的視点と思っている事が実情に合わないということを明らかにするしかない。そこで「仮想敵を設定するということ」が目標設定の現実を埋没させて戦略的に、理念先行の理論を潰していく側面がある。  
たとえば「秘密保護法」に関して、マスコミ各社が発表した世論調査では、「反対・慎重派」が多数を占めた。
●朝日新聞が2013年11月30日~12月1日に行った調査では、法案「賛成」は25%、「反対」50%。また、「今国会で成立」支持22%。過半数は「継続審議」
●朝日新聞とは反対の意見をもつ産経新聞・FNNの合同調査も、「慎重に審議すべき」が82.5%であった。
一方、インターネット上で行われた調査では、「真逆」の結果も少なくない。
●J-CASTニュースのウェブアンケート:「今国会で成立」55% 「廃案」29%、「慎重審議」13%(母集団6269票)
●ドワンゴ、ニワンゴの調査、「今国会成立」支持36.6%
●朝日新聞がウェブ上で行ったアンケートでは「賛成」が「反対」に倍以上の大差をつけた(但しこれはほかのSNS等による呼びかけがあったようである)
もちろんどちらにも言えることだが、安全保障上の必要性からを説く人もそれなりにいた。これとは別にマスコミ、文化人への根強い反発もある。もちろんマスコミが調べた母集団が、新聞購買層ベースだと年配者、インターネットだと若年者になるというあるかもしれない。そうなるとどちらかというとロジックを組む側にある年配者の論理構成と、逆に改革を求めて現状から遡及する若年者の構成では意見が違うわなあと思うこともある。
このようなあるべき姿を求め、そこから報道内容を論理構築する手法にマスコミに対して不信感が根強い。そのためマスコミが「知る権利」を盾に法案に反対したところで説得力がない場面が多い。
これに対し精神科医の香山リカさんいわく、

「秘密保護法に反対してる人がみなキライだからきっと良い法律なんだろ、という意見をネットでよく見る。反対を語れば語るほど逆効果になるくらい嫌われてるちゅうことを、私を含めたいわゆるリベラル派は考えてみなきゃ。これじゃ反対会見開いてかえって法案成立に貢献しただけ、ってことになる」

つまりこれは母集団構成等の区別もあるのだが、トップダウン系の従来マスコミとSNS起点のインターネットベースの世論が、まさに「上に政策あれば下に対策あり」と同じようなトップダウンとボトムアップという差かもしれないと思うのである。これらは山の手の志向体系、下町の志向体系のことなりで見える側面もあるのだが、ここは別稿に譲ろう。
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おまけ:

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