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世界戦略車と指原座長公演

すこし前に矢吹奈子の話をしたのだが・・・・またその関連である。
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よっ!日本一! 「HKT48指原莉乃座長公演」博多座で上演中 「アイドルの壁」越え熱演  日刊スポーツ
 HKT48が舞台演劇に挑戦する「HKT48指原莉乃座長公演」が、福岡市の博多座で絶賛上演中だ。博多少女歌舞伎「博多の阿国の狸(たぬき)御殿」と、舞台用にアレンジされたライブ「踊る!たぬき祭り」の2部構成の舞台は、4月に東京・明治座で上演されたもの。由緒正しきステージで積んだ貴重な経験の成果を、新キャストも含め存分に発揮している。31日まで、全15公演。(後略)
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で、私ですが、博多までもいけず、明治座に行く時間もとれず(金もなく)・・・ということであったのだが「HKT48指原莉乃座長公演(博多座) ライブ・ビューイングなるものを全国の映画館でするということが分かり、しかもこの時間が会議終了の直後で行ける・・・ということが分かったのでいってくるという暴挙に出た。
ところがケミカルライトを振るような熱狂的なファンは予想以上に少なく、どっちかといえば私よりお年の上の方も目立つ「座長公演の客層」なので拍子抜けした。

昔いった(今はなき新宿コマだったと思うが)北島三郎の座長公演を(お年寄りのカバン持ちで)行った時の方が黄色い声がということはある。その前にも南座とかでも見たことはあるが、まあ時代が異なるがなあ。
Wikiに座長公演の記載がある。要約してみよう。

座長公演:歌手が大舞台である劇場で開く興行形態。または「特別公演」ともいう。2部制に分かれ、1部で本職である歌を、2部で余興に芝居を披露するのが通例である。古くからある「現在でいう地方芸能」「浪曲」「大衆演劇」など歌と芝居、踊りが一体となった興行形態であるが、戦後に盛んになった。初期には三波春夫の歌舞伎座公演、美空ひばりの新宿コマ劇場公演が有名。現在も演歌歌手の公演は人気のバロメータともなる。 2部の芝居においては実力派のベテラン俳優が脇を固め、演技力が必ずしも万全ではない歌手の裏を支える貴重な存在となる。
近年、声優の水樹奈々、HKT48の指原莉乃など、他のジャンルでも、若干のアナクロ感や王道な演出を期待して使われ始めている。

え・・・水樹奈々・・・ということで感心した。彼女の場合は歌手でかつ声優としても一家なしているのであり得なくはないと一瞬思ったものである。ただ場所を考えると寸劇が入っているコンサートツアーに近いのではと思う。
また、この企画が明らかになったころ指原莉乃は通常のコンサートとの差異があまり分かっていなかったようである。(番組で共演している後藤輝基はこれがどのぐらいの仕事であり、自分の名前で座長公演ができるということが大御所クラスの待遇であると説教したらしい)
そう考えると、どっちかというとJ-POPのグループではあんまりない形であるが、これ自体は宝塚等でもなかったわけでない。
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さて、演目は、大衆演劇のかなりグレードアップしたものという認識である。
1部で余興の芝居1部、2部で歌と踊り(!)を披露する形式で通例とは逆である。というのは歌以前にHKTのグループを盛り上げるという座長としては控えめな立場をとっていた。その意味では一見すると、宮脇咲良の主演に近く見えてしまうところもある。
ちょっと意外だったのは、TVではパッとしないと思われたメンバーが舞台に出ていくと意外と映える人がいるのである。板の上が働き場所にあるという人がいるわけだ。思い切りあてぶりした台本でもあるのだが、同じことをやっていても、リアクション優先のTVとは異なり、バランスが良いアクションを見せている事がある。(特に、今田美奈と神志那結衣)そして、座長がHKTのグループ員を表に引き上げるような動きをするというのは、他の座長公演とは異なるし、ステージでも。これは座長としてなく、劇場支配人としてのマネージメント業務として移籍直後から意識しているようである。

まあ当然であるが、芝居では(踊りは「ある意味プロ」であるからともかく)実力派のベテラン俳優が脇を固め、演技力が必ずしも万全ではない歌手の裏を支える貴重な存在となる。ここで、客演は舞台俳優のベテラン(劇団扉座のメンバーであった)を用い、間をうまく取り持つということから、ベテランコメディアンがっちりいるものだそうだ。この劇ではモト冬樹(彼が俳優というのは否定しないが歌手でもある。その意味ではコミックリリーフという形になるのだろう)を用いている。明治座の時は、酒井敏也を用いていた。
ただ意外なのが、このコミックリリーフをうまく演じていたのが、矢吹奈子だったのである。実は子役としての実績が豊富であるからだろうが、これはちょっと驚いたのだが、正直いうと、指原莉乃は進行はうまいとは思うが役者としては大根というところもあるので、それを前提としても矢吹奈子・モト冬樹と2人が必要だったのだろう。その意味では、秋吉優花もコミックリリーフとしては配役でいい動きをさせてもらったかもしれない。(それにしてもだ・・・「やぶきなこ」の役名が「おはぎ」とは。)
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さてセットリストがでている。(明治座のと博多座では異なる)1~12は前の演劇の流れを引き継ぎ、演出も合わせている。
1 川の流れのように / 指原莉乃 --------外部楽曲
2 フライングゲット---------------------AKB(2011年.シングル)※
3 Baby! Baby! Baby!-------------------AKB(2008年)
4 制服が邪魔をする-------------------AKB(2007年シングル)
5 今度こそエクスタシー ---------------AKB(2013年恋するフォーチュンクッキーのカップリング)
6 君の名は希望 / 指原莉乃・宮脇咲良 ---乃木坂46(2013年シングル)
7 風は吹いている--------------------AKB(2011年シングル )
8 MC
9 スキ! スキ! スキップ! ----------------HKT(2013年シングル)
10 桜、みんなで食べた ----------------HKT(2014年シングル)
11 12秒 ---------------------------HKT(2015年シングル)
12 あなたがいてくれたから -------------AKB(2010年アルバム・劇場では歌われていた曲のようである)
アンコール
13 ロックだよ、人生は…---------------AKBの劇場用曲・HKTのアルバムにもあり
14 ハロウィン・ナイト ------------------AKB(2015年.シングル) ※
15 メロンジュース --------------------HKT(2013年シングル)

明治座の時はこうだったという記載があった。(変わったところだけ。)
10 会いたかった--------------------AKB(2006年シングル )
11 桜、みんなで食べた(移動)
14 恋するフォーチュンクッキー --------AKB(2013年.シングル) ※

あまり持ち歌がないHKTであるが、AKB等の楽曲を使っている。ある意味乃木坂46も外部ともいえるのだが、要するに全部秋元康さんの関わる楽曲だ。「川の流れのように」は座長公演で成果を残した美空ひばり の有名な楽曲であるためオマージュ的意味もあるだろう。(ただ指原さんはあまりうまくないorz)手持ちの歌でもかなり古い歌も、いい歌と評判がいいものを選んで発掘しているようだ。
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ところで、ここまでセットリストを見て感じたのが、AKBの本店(笑)でうたわれて、いい歌だからとして国内の他の関連グループに使用されるというのもある。(たとえば評判がよくどこでも劇場で使われる「あなたがいてくれたから」)その一方でが、頭から作り込んで置き、他の関連グループでも劇場などで使われ、海外支店では(現地語翻訳等を行ったうえ)レコーディングや歌唱を前提としている曲があるのではないかと思う。※印をつけたものがそういう楽曲であると考える。

この考え方は意外なことに世界戦略車(ワールドカー・グローバルカー)の考え方に似ている。バズワード的なところがあり、意味はメーカーよって異なっており、明確な定義は定まっていない。私が意味するのは「基本的に同じプラットフォームから、各国、各地域向けに特化して開発した製品群」である。
若いころ自動車の設計に関わっていたころに、GM・FHI・SAABの共通フラットホームというものを実見したことがある。GMは世界各地にグループ企業を持つが、グループのスケールメリットを生す「グローバルカー構想」、即ち基本的なプラットフォームを共用し、そこから各地の国情に合わせた製品を派生させる」という戦略があり、一時はGMグループ内でも、世界的規模の共同開発は衰退したが、小規模での共同開発、プラットフォームの共用はその後も進められていた。
しかし今考えるとGM・FHI・SAABの共通フラットホームってその後各社がどうなっていったかをたどると、結構ずたずたになってしまった代物ではある。しかも(プロトタイプだからか)どう考えても製品としては使えないものだった記憶もある。
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こうなるとたとえば、HKTの曲は地域戦略車、SKEの曲も地域戦略車だが、一部他の地域に移植されているという考え方である。このような見かたをすると、多くのコンテンツをAKBグループとして共有するというのはリソースとして極めて膨大な資産をもっているということになり、戦略自身もしたたかな印象をもつのである。大衆芸能という見方ではううん・・・といえども、商業演芸と解すれば納得できるのだ。

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