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名刺入れ

名刺は別に日本のみの習慣ではないのだが、海外の人と交流すると名刺のサイズや使い方って結構差があるんだなあと思う。
東洋での発祥は後漢頃にあるんだそうで、ウィキペディアによると、「士大夫階級(科挙官僚・地主・文人)が、誰かの邸を訪問する際に、門前の箱に「刺」と呼ばれる、姓名と身分を書いた札を投じて、取次ぎを要請した習慣がそれとされる。」とある。確かに私たちも顧客のところにうかがうとき、不在だったりすると、代わりの人に名刺を渡したり、ないしは名刺に一寸のメモをペンで書いたりして手渡しすることはあるが、まあ似ているなあと思うものである。
他方、海外の人の場合は(日本に基盤のある人は日本的な使い方をする人も多いが)、名前を覚えてくれるための手持ちのカードという、パーティで名前を売る形がもともとのようで、一般的な各種カードの使い方からの派生というのがわかる気がする。
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ところで、私の仕事では、会議・懇親会などでたくさんの出席者と名刺交換をする。自営業者が多い分野としては名刺は営業アイテムであるが、あからさまに派手な名刺はちょっとねえ・・・と思う。しかし、業界内の競争はやっぱりあるし、食いつきや話題つくりとなると、顔写真が入り、多色刷りは今や当たり前、裏面に資格や業務実績・営業案内などを印刷したものも一般的である。パンフレット張りの「二つ折り」の名刺なども見るが、これはこれでしまうことを考えると、取り扱いが厄介である。むしろそういう場合は名刺に同封して会社案内のA4のフライヤーをくっつけた方が、顧客の頭に入るとはおもうのだが。

また、大手企業との営業活動の場合は、このような自己主張が顧客にとっては、「社長のみが仕事をしている、人的依存度が高い業態」と見なされ、特に担当者が嫌悪感を感じる場合がある。(だいたい中堅企業以上になると、名刺は定型化したものを支給される事もあるから、それが当たり前と感じる企業の人にはなおさら感じるのだろう)
ということで、私は(その仕事によって複数の名刺を使い分けすることも多いのだが)自分の事務所としては、企業向けの堅い名刺(英文併記・白黒・片面)と士業関係者向けの顔写真入り名刺(和文のみ・白黒・受ける仕事内容を書いた両面)を使い分けしている。なお英文併記の名刺は、日本語表記に加えてルビを振るように小さく名前の英語表記を書き添えてあるパターンで、裏にメモを書くことがあるため、わざと片面印刷にしている。
過去企業に在籍したころ、海外との業務が割とあったころは、表面が日本語・裏面が英語の名刺を企業の指示で作っていた。独立・開業をしている同業では、海外業務が多い人には割とあるが、国内事業メインの人はほとんど見かけない。これによって多少は同業者の事業内容を推定することができる。

印象強烈な例では、黒地に極彩色の柄の入った名刺を、ある士業の方(女性)から頂いた。「ちょっと待て」と二度見したが、普通の真面目な人のようである。どうもよく聞くと業務として飲食業界の人士との関係が強いというから、たしかにその人の得意分野に名刺の記述を合わせているのかなあと思う。
そう考えると、見なくなったなあと思うのは、昔は女性がよく使っていた角の丸いタイプである。ちょっと小型の角の丸いタイプの名刺は、「角が立たない」ということを意図したと聞く(ほんとうかなあ)。今でも社交界では使っている場面・人もいるようだが、一般的な飲食業の人ではこれまた見なくなった。ここ数年で一度あったのは、機械工具商社の営業の女性との商談があり、でてきた名刺がこれだったことがある。ただ用途が類似の花名刺(京都の舞妓が持つデザイン名刺の一種で、明治以降に普及)は名刺の角が立っている(名詞としては普通の半分の大きさ。千社札に類似の使い方をするように、シールになっているものもあるんだとか)ことから、角のどうこうというのは後付けではないかと思っている。まあ、「黒地に極彩色の柄の入った名刺」の効果によって、たしかにその人の印象は強くなったから、私には強い印象を与えたことになるが、うっかり家においていると「どこの女性」と一瞬引く家人がいるかもしれない。(よく読めば専門職であることはわかるのだが・・・・)

先日、某官庁に用事で出かけたら、相手先とは別の部署の部屋の前に数個の入れ口がある名刺受けがおいてあった。いわく「当事務所では、8:30~10:30は会議などで来客の訪問をお断りしています。来訪者は要件を書いて、部署ごとの箱に名刺を入れてお帰り下さい」。うーむ、「会社員が、誰かの事務所を訪問する際に、門前の箱に姓名と身分を書いた札を投じて、取次ぎを要請した習慣」・・・って中国の昔の来歴そのものではないか・・・・と。
これは、官公庁では入札に関わる情報漏洩を防ぐため、入室管理の面から執務室入口に入室制限の掲示を行う一方、名刺入れを置いたことによるらしい。業者等との応接方法についてはコンプライアンス面から、原則受付カウンター・応接コーナー・打合せテーブル等オープンな場所で行うことにもなっている。つまり、営業担当者が無断で事務室内に立ち入らない措置を取るようになったのはコンプライアンス面という最新のニーズによるものである。しかし、結果として今昔の差異がない百年一日のやり方に、動揺するというか、原点回帰なのかちょっと驚いた。

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