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規模拡大の限界点

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ゼンショー会見のデジャブ  調査報告書から見えてきたワタミとの共通点   中 尚子  2014年8月11日(月)日経ビジネス(注:後半からは登録サイト)
 ゼンショーホールディングスが、自社の労働環境を改善するために設置した第三者委員会は7月31日、調査報告書を同社に提出した。それに合わせて都内で開かれた第三者委員会の会見に出席した筆者は、あるデジャブ(既視感)を覚えた。
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 自己の成功体験にとらわれた思考・行動パターン――。デジャブをもたらしたのは、第三者委員会が、ゼンショーの労働環境が悪化した原因として挙げた1つの項目だった。というのも、会見からほんの3カ月ほど前、ワタミの桑原豊社長のインタビューで同じような話を聞いていたからだ。
 ゼンショーとワタミは共通点が多い。両社はその労働環境の厳しさからインターネット上などで「ブラック企業」として批判を受け、それも一因となって、2013年末からアルバイトなどの人手不足が他社と比べて深刻となった。

 アルバイトなどが集まらないことで、ゼンショーは主力業態の「すき家」が一時閉店や営業時間の短縮に追い込まれ、ワタミも全体の1割に当たる約60店の居酒屋を閉店せざるを得なくなった。デフレの時代に業績を伸ばす原動力となったビジネスモデルの転換を迫られている点も共通している。
思い起こされたワタミ・桑原社長の言葉
 ワタミも労働環境の改善を目的として第三者委員会を設置し、2014年初めに調査報告書を受け取った。報告書を受けて、1店当たりの社員数を増やす目的で和民の閉店などを決めている。4月末にその狙いを桑原社長に聞いた時に、印象に残ったのが次の言葉だ。
 「ワタミが小さかった時代は、無理してでも働くという文化があった。ベンチャー企業ってそういうのも必要で、それがエネルギーになった面もある。でも、もうワタミは大きくなってそれじゃあ許されない。規模に合わせて会社の体制を変えていかないといけないということです」
 ゼンショーの報告書でも、まさしく同じような点が指摘されている。ゼンショーは、小川賢太郎会長兼社長が創業以来掲げてきた「食で世界から飢餓をなくす」という壮大な目標を達成するために、ほかの外食チェーンでは考えられないようなスピードで拡大してきた。
 2011年4月に1572店だったすき家の店舗数は、3年間で1986店まで増加。それだけの急拡大を支えてきたのは、やはり現場で働く人の責任感や使命感が大きかったのだろう。しゃかりきに働いて目標を達成してきたという昔ながらの社員は、若手社員などにも同様の無理を強いた。しかし、ワタミもゼンショーも、そういった精神論や根性論で現場に負荷をかける成長モデルはとっくに限界を迎えている。
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ベンチャー企業においては、人的リソース自体は少ないこともあり、また金銭的リソースも当初はすくない。小さいままの企業でいることは、融資を他の人や投資銀行等に依存する以上、無理してでも働くという文化云々よりも、融資条件が厳格化し、投資に対する回収がその企業の社会的存在価値の創出という数値に見えないものである限りは、急な拡大を必要とする可能性がある。つまり、「精神論や根性論で現場に負荷をかける成長モデル」という事業構築の一端は、外部に資本を求めるしか企業の一定規模への創出はあり得ないということになる。
つまり、そもそも労働集中型で付加価値の付与に対してコスト面のバランスがとりにくいビジネスでは、外部から起業原資を調達することは、どうしても、合理化等による削減できる内容に行き詰まると、人的投資自体を削減するしかないといえる。同じ労働集中型でも付加価値の付与に対してコスト面に反映することが是認されるビジネスというものは、地方の「高級」食品スーパーなどにはあるし、反対に廉価品ベースの食品スーパーなどでは割と似たような状況になっている。
つまり、資本形成から見ると「精神論や根性論で現場に負荷をかける成長モデル」に至るというのなら、一定の規模で企業体を大きくしない経営方針をもつというのはある。ある意味日本に古くからあるのれん分けというのは、適正な管理範囲を維持する便法でもあるのだろう。

その意味では規模に合わせて会社の体制を変えていかないといけないということは事実であるが、もともと余分をを切り詰めた、廉価かつ(顧客の拡大するものの収益特性に適合しない)低収益という業務が社会に認められるということをかんがえると、とっくに限界を迎えている成長モデルを維持することが、この企業の存立の前提となるわけになる。大いなる自己矛盾である。
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根性論で拡大の限界は200~300店?
 では、ほかの外食企業はどうなのか。こうした精神論はワタミやゼンショーだけに特有のものなのか。
 以前、ある外食チェーンで働いている知人と、なぜブラック企業と呼ばれる企業が外食産業に多いのか、その理由について話し合ったことがある。その日、彼女は22時過ぎに飲み会が終了した後、店を見に行くという。そこで、率直に聞いてみた。
 「状況を見れば、あなたの会社もブラックだよね。なぜ、ワタミだけがブラックと言われると思う? 給与の差なのかな」
 それに対する彼女の答えはこうだった。
 「外食ではどこも給料が高くないので、その差ではないと思う。結局、その会社で目標ややりがいがどの程度あるかの違いだろう」
 「和民は、注文の自動化などで誰がやっても一緒の仕事になってしまい、やりがいがなくなってしまったのではないか」
 労働集約型で、収益性が低い外食産業では、程度の差こそあれ、現場のやる気や責任感に依存している企業が多いのは確かだろう。小規模なチェーンでは、現場に依存していても、問題が顕在化しにくい。
 一方、規模が大きくなれば、目標の共有などで社員を一致団結させるのが難しくなっていく。しかも、外食はアルバイトなど非正規社員が多く、彼らにもこうした構図を強いることになってしまう。
 「私が何もかも見られるのは300店まで」。小川社長は会見でこう限界を認めた。先日、改めてインタビューする機会があったので、ワタミの桑原社長にも同じ質問を投げかけてみた。
 「トップがきちんと現場の状況を把握するには、やはり限界は200店。ワタミは1店当たり2人くらい社員がいるから、社員数でいえば400人ですね、限界は。それを超えたら、新しい組織が必要になります」(桑原社長)
 それよりも小さければ、違法な労働環境が許されるというわけではもちろんない。ただ、トップが現場の状況が分からない規模になれば、問題把握から解決まで時間がかかってしまうため、より厳しい管理体制が必要になる。そういう意味で、この「200~300店」という規模は、目安の1つになるだろう。
 ワタミやゼンショーの現状を見れば、労務管理が経営に与える影響が大きいことは明らかだ。2社の問題は、規模の拡大に合わせて企業の体質を変えていかない企業は、負う代償も大きくなることを示唆している。
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サービス業に時々あるのだが、極度に高いサービスをもとから期待しない、ルーチン性が高い内容の場合は、依頼者が自分の時給(各種収入の時間割)と比較してそれによる対価の妥当性を比較する。従って時給1000円位の人が各種人的サービスを選ぶ場合はそれ以下レベルのサービス対価の支払いを求めるという。(補助金等のある場合は、自分の支払い分)このような場合、労働集約性のあるサービス業においてはその時間労働単価をあげるには、顧客の収益よりも高くすることは、顧客の離脱を促すことと同等になる。
高級ホテルでは、それなりの収入ある人が顧客であるため、想定される職員の給与を含めた待遇は高くなる。また、そこまで所得の高くない人にとっては「社会的な需要」で、泣く泣く使うということになっており、要求が顕在化しにくいともいえる。
現場のやる気や責任感に依存するしか、更なる利潤を獲得するすべがない場合、投資者(運営者ではない)が投資回収を図る手法としては、(市場飽和の下では難しい)インカムを増やすこと以外には運営合理化と固定費の分散になるわけである。しかし、これらの企業では運営合理化と固定費の分散は当初からかなり詰められているとなると、目標ややりがいを先取りすることで、この事業は業務展開をしていくしかなかったのだろう。
ということを考えると、

 ワタミやゼンショーの現状を見れば、労務管理が経営に与える影響が大きいことは明らかだ。2社の問題は、規模の拡大に合わせて企業の体質を変えていかない企業は、負う代償も大きくなることを示唆している。

というのは結論としては帰結するのはあまりにも安易である。企業の体質というよりも、収益スキームとしての企業体じたいをばらし(各県ごとぐらいにフランチャイジーとしてのれん分け)、そして食材の供給機構と業務コンサルティングファームとしての形に本社が特化・収斂するしか最終には成り立たないと私は考える。そしてその段階では本社はマネジメント・バイアウト(MBO、Management Buyout、経営陣買収)という形でもいいから、関与する資本家を絞り、自分たちが捕捉できる資本体制にスケールを収斂するのが一つの手法ではとおもう。実はこのような業務継続の手法ができないのは、それこそ関与する資本家がつよいからであるのは経営サイドはわかっているはずだが。

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