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油を吸いにくいカツの衣

串カツ・串揚げをよく食べる。年齢としても油ものを避けるべきなのだが、それでも良く食べる。
そうでなくても「パン粉」を使うトンカツ等は食べることは多い。あたり外れが少ないということもあり、出張の折にトンカツを食べることはよくあるのだが、パンみたいな衣であるとかそのお店によって食感をどのように考えるかで異なるようなところがある。で時に「このかつ、パンじゃねーか」と落胆する店に出会うこともある。
参考:http://dehabo1000.cocolog-nifty.com/holder/2007/03/post_d8e7.html
揚げ物は急速加熱による調理にあたる。食材を高温にした油に投入すると、表面の水分が瞬間的に沸騰し脱水・蒸発する。同時に、油に直接接した部分は短時間で蛋白質等が熱変性し硬化する。食材の表面に硬い殻が出来た状態となるので、表面のみがサクッとした食感となり内部は一定の水分が保たれ、軟らかさが残る。また油分は食感に深みを与えるため、残った油が独自の食感を出す。
ノンフライオーブンというものも最近はある。熱風対流の中に食材を置き、脱水処理とともに効率よく焼き上げる。(コンベクションオーブンというものも近い。乾燥した高温蒸気を使う)上の文章の内「高温の油」を「高温の空気」(ないしは高温の過熱水蒸気)に置き換えるようなものといえる。どっちかといえば、従前は主にホテルや病院、学校給食など大量調理を行う現場で利用される調理器具であった。しかしこの場合「また油分は食感に深みを与えるため、残った油が独自の食感を出す。」という効果は乏しい。
油ものを避けるべきといわれる場合どういう揚げものを選べばいいかという中に、油の吸い方が少ない衣を選ぶというのも一つの知見であえる。
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トンカツ屋さんによっては分厚い衣を売りにして、ソースのしみこみを期待しているものとか、かつ丼のように出汁がしみこむのを期待する場合もあるようだ。そして、このパン粉の選択が、実は油を加えて味の深さを演出するのか、油を抑えて加熱した素材の味を作り出すのかという違いがあることに気がついた。

Wikiによる記載をベースにするとこういう見方ができるようだ。

① 乾燥したパンやクラッカーを細かく粉砕して作るタイプ( ヨーロッパ発祥で、欧米文化圏の伝統的なパン粉。)
② 乾燥していないパンを大まかな粉状にほぐし砕いて作る生パン粉
③ 生パン粉を乾燥させて作る、目の粗い乾燥パン粉

②と③は更にパン自体に違いがある
※-1 普通の食パンに類似する発酵されたパンを粉砕したもの(焙煎式)
※-2 発酵後、電気パンといわれる今となっては専用となったパン生成物を粉砕したもの(電極式)
※-3 膨張剤を使い(発酵せず)素材を連続的にオーブンと高周波で焼くことでクラッカー状態まで焼き固めた(つまりパンというよりは乾パン・クラッカー)を細かく粉砕したもの

②や③は欧米由来でなく、日本独自に作ったものである。食パンを利用するパン粉は各種フライ料理として合ったという。工程中、大粒のパン粉に含まれる水分が素早く油と入れ替わり、細かい気泡の働きでサクサクとした軽快な食感を得たものである。そこから、保存性の上で乾燥パン粉が生まれ流通し始めた。
ところが、油を吸わないとか、食材が出る汁(エキス)を加熱時に外に漏れささないという側面ではそこまでパン粉の水分を素早く油と入れ替わらせることを求めないという食材、(特に海産物)がある。そのため、気泡の大小、焼成の際に食材にあったものに調整することも多くある。そこで※-1 -2の生成法によるパン粉を配合するお店も多いようである。
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電気パンの製法を用いたパン粉というのは電極式ともいうものだそうな。
電極式は一次発酵したパン生地を電極の間に置き、電気を流して焼く方法で、原理的には水分がなくなったら自動的に電気が止まるという原理を使っている。何分パンの耳がない真っ白のパンであるが、水分が飛び気泡が生成しにくいため食感が固いという。そのため通常のパンのように食べるとまずいというのだが、もともと日本軍のレーションとして野戦の時に活用したものだそうな。(バッテリーの直流電源でも作れる)軍用食料供給の専門家として実績を持ち(たとえば炊事自動車などを研究していた)著名だった、陸軍の阿久津正蔵氏の発明といわれる。かれは戦後公職追放にあい、即刻パン業界に招かれた経緯もあるから、製造法が普及したことは想像できる。
もっとも戦後混乱期にはこの手のパンを一次発酵なしで自家用で作ることがあり、果ては電極の材質の選定ミスで金属が溶出して食中毒を起こすといったことがあったようだ。国会議事堂の食堂でおこったこともあるとか。従ってこの電気パンだけを食べても、蒸しパンのできそこないのようで、腹ごなしにしかならないらしい。
パンの耳がない分耳をとらなくてよく、粉砕して「電極式パン粉」を作る。ややとげとげし、パン粉としては固めであるが、もとから組織が緻密なため揚げ油を吸わないので、
・ 大きく見せる(ボリューム感を出す)に適する。
・ 油を吸わず、切れを良くする。
・ サクサクとした食感を出す
・ 魚等の軽くあげる材料に向く
という。
オーブンでパンを焼く、通常のパンと同じ方法でつくり粉砕するパン粉の場合は焙焼式という。通常のパンと同じ方法ということから耳ができ、これをそぐ作業がかかるが、食感が柔らかい。
・ パン粉の表面に凹凸が多い。つまり表面積が大きいため食感が柔らかになる。
・ 油などを吸うため揚げ色が付きやすい
・ 油を吸うためキレは良くない。肉類のようなあげ油自体も楽しめるものに向く
という。
もちろん、パンの発酵形態によっても多少変わるし、原材料の配合を変えることでも多少は変わるらしい。

なお、焙煎式のパンの耳は別途赤パン粉というものに加工することもあり、これは単品では固いため細かく粉砕する。多少味わいがあることからあげ物よりも他の食品の取り粉とか混ぜ物などに使うようである。(あまり市販はされない)
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となると、トンカツ屋さんとかは基本肉に合わせて食材を選ぶが、専門店などで食材に合わせて粉を変えている店は、ある意味ノウハウを持っているということになる。また「ヘルシーなパン粉」とかが売られているが、これらは多少パン粉の配合・製法に工夫しているようである。
私のいっている店にも、あえて、① 乾燥したパンやクラッカーを細かく粉砕して作るタイプを採用することで、欧風の仕上げにし、同時に油の少ない軽い製品を目指しているという店主が居る。

このようなことを考えながら見ていくと、「アジフライの衣は結構剣先のようなとがりがある」ということから、うまいとはまた別な次元で揚げ物を選ぶというのも面白いと思う。少なくともあげ物を設計するという考え方は、あまり想起していないものだったために興味を持った。

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