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今度は地方創生に向く

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地方創生実現へ 総合戦略などまとめる  12月26日 11時46分  NHK
(中略)
政府は26日、地方創生の実現に向けて、今後5年間の施策の方向性を示す「総合戦略」と、中長期的な展望を示す「長期ビジョン」を総理大臣官邸で開かれた有識者会議に提示しました。
このうち総合戦略では、いわゆる「東京一極集中」を是正するため、今後5年間で地方で若者の雇用を30万人創出し、その後も年間10万人の雇用を安定的に生み出すとしています。
そのうえで2020年の時点で、東京圏から転出する人口を去年と比べて4万人増やす一方、転入を6万人減少させるほか、男性の育児休業の取得率を去年のおよそ2%から13%に引き上げるなどとしています。
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また、地方自治体に対して、遅くとも来年度中に独自の「地方版総合戦略」を策定して実行するよう求め、戦略を策定した自治体に対し、柔軟に使いみちが決められる新たな交付金を配布するとしています。

一方、「長期ビジョン」では、若い世代の結婚や子育ての希望が実現すれば、1人の女性が一生のうちに産む子どもの数の指標となる「合計特殊出生率」が1.8程度まで上昇し、2060年に1億人程度の人口が確保できるとして、出生率の向上を図ることにしています。
会議の最後に、安倍総理大臣は「地方創生に向けた記念すべき第一歩を踏み出すことができた。地方が『地方版総合戦略』を速やかに策定し、取り組みを開始していくことを期待しており、国もあらゆる方策を使って全力で応援する」と述べました。
政府は、この「総合戦略」と「長期ビジョン」を27日、閣議決定することにしています。
石破地方創生担当大臣は閣議の後の記者会見で、「短い期間に濃密な議論を行い、充実したものができた。
ただ『これができたらおしまい』という話ではなく、今までと全く違うやり方になるということを、すべての自治体や国民にご理解を頂く必要がある。こうした認識が広範に行き届くようさらなる努力が必要だ」と述べました。
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地方志望学生に奨学金、就職なら返済額を減免も  2014年12月28日 12時43分  読売新聞
 地方創生の一環として、若者の定着を促進しようと、文部科学、総務両省は2015年度、地方に就職する大学生らを支援する奨学金制度を創設する。
 また、大都市圏の大学への進学集中を抑制するため、文科省は入学者数が定員を一定以上超えた私立大に対し、助成金の交付条件を厳しくすることなどを検討する。
 奨学金は、自治体が地域振興の観点から指定した分野を学ぶ学生らが対象。日本学生支援機構が「地方創生枠」を新設し、優先的に無利子の奨学金を貸与する。
 自治体は地元産業界と共同で出資して基金を設置。学生が卒業後、地元企業に一定期間勤めれば、基金からの支出で、奨学金の返済額を減免する。国も基金を設置した自治体に、特別交付税を配分して支援する。
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前半が総論、後半は各論である。
昨今の社会では、民間での投資は「投資回収」を確実にすることで進んでいる。ハイリスクなものに投資することはほとんど不可能である。せめてものリスク回避としては銀行は、経営コンサルタント業務や資金計画などの指導、販路開拓の指導をしており、特に中小企業が貸出先に多いうえに、利潤開拓の投資ができる中堅以上の信用金庫等ではこれに力を入れているところも多い。(多くの銀行では研究所という形でこのような機関を持っている。)
ところが、どの地方銀行でも昨今はあることらしいが、投資先として適格なものがすでに枯渇している地域に対しては、銀行としてはお金を使って投資回収を図る材料自体が枯渇しているというのはあるようだ。
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このような銀行が投資先を見つけられない地域において主要産業というのは、企業誘致なども見込めない今では製造業とかIT系とか存在しても、そこに投資ニーズがあるということではない。むしろ、官庁・農協・電力等の燃料系・郵便局や地方金融機関というどちらかという言うと生活の維持を図る基礎的な「インフラ系」の産業がほとんどを占めている。インフラ系の産業はある意味サービス業ともいえるもので、過剰な利潤を得ることで企業体を発展させることができる利潤をとることが、社会的にできにくいと思う。また、このようなパターンでは「総合商社」的な手法で産品を見つけるという形の投資(いわゆる農産品の移出業者が好例)も以前はあったのだが、このモデルもすでに枯渇していると考えてもいいようだ。考えれば、投資して回収できる産業自体が少なくなっている地域も多い。ある意味当然なことである。地方というのは革新性のある都市や地域の活動に対し、一方で変わらないものだからこそ存在価値があるという認識もあるのだろう。
ということで、規制や補助金で成り立つべき産業しかないということが、一方で地域での投資先の存在価値が高くなってしまう。元来、このようなインフラ型の社会は、ビルドアップ的な産業しか社会の中で共感を得ないということがあるようだ。企業誘致なども見込めない今、地域の住民も自分たちで産業振興しようにも、基本的な資金もないし、投資する企業もないとなれば、投資回収の議論があまりかかわらない政策的な投資である公的資金に依存することになってしまう。すなわち、利益誘導型に期待するしかない。
但し、公的資金の投入に関しては、そもそも大枠の政策進行が目的化しうる傾向があり、現在の補助金と規制による環境を見れば、補助金がらみになればなるほど地方産業は依存を強めて弱体化するというのが変わらないのである。
このように、地方経済圏は補助金と規制で構築されるのは、インフラ系産業がなり立っている地域であっても、その経年劣化をサポートすること自体に政策的資金がなければならない以上、仕方がないところがある。ある意味弱者保護、マーケットでは捨てられる分野を守るという目的としては機能していることにはなっている。そう考えると、産業政策として補助金投入は箱モノとか言われても仕方がないかもしれない。
ただ、このように衰退を止めるものしか政策投資が出されない場合、「地方版総合戦略」を書けという官庁の人間はすでに充当する案件(かつそれは先行投資や産業開拓候補とは言えないものでも)が決まっていたりするということはある。更に、投資案件を先行投資や産業開拓候補としても、それには市場調査など格段の・・・かつ投資の機材の販路(おおくは都市に偏在している)開拓まで含めたものに対して、結果的には箱モノしか公平性の観点から提供できないということもある。 更に地方の役人に産業を作ってもらうとしても、人的資産は質的なものはともかく絶対量として不足しているのもまた現状だろうと思う。(なお質的な問題は、給与が低いためいい職員が都市部に逃げていくという自治体も最近急に増えているという話も聞く。)
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地方への投資と同じことが都市の研究開発投資の中でもある。
応用科学では、もともと企業や国の外郭団体と連携して研究開発投資を得た、共同研究が多かった。かくて昨今は「産学官」連携が花盛りである。もちろんこれは問題を生んでいる側面も指摘できることは以前述べた。ただ、応用研究はターゲットが明確なところがあり、研究としては目標達成はシビアである半面、研究という意味ではやりやすい側面がある。(そして、大学などで問題になるのは、これらの研究業務は学生の卒業研究に充当するという意味でも必要であるという、教育面と就職指導面での寄与が大きいことも忘れてはならない。)
問題となるのは、基礎研究にも同じような支援ができるかということである。これらは成果をすぐに産業に反映できなかったり、甚だしきは産業としては全く影も形もないものを創出するという状況では、銀行なども投資することさえ躊躇する。国が支援している事だから投資するという金融機関は昨今は難しく、逆張りする金融機関さえいるということになる。かくてこっちも従来以上に公的資金投入が必要になっているところに加え、基礎研究もその基礎研究への投資額が、どの研究分野でも桁数が年々増えているような状況になる(国際的に投資競争にもなる)
このような研究内容で生涯をかけている人は、研究コストを獲得するためには世界どこでもいくし、さもなくは、研究の経費を投資してくれるスポンサーに首根っこをつかまれることになる。STEP細胞問題に関しては、研究倫理や報道倫理での議論が大きいが、そもそも基礎研究のコストが天井知らずにならなければ国際的競争に参画できないという型にもなっていることは、誘因になっている。

昨年は、このような公的融資の獲得のお手伝いをすることが多かった。インフラ系投資に関しては、「たしかにこれは政策的に必要だが、このようなお金を捻出することもできないほど疲弊している地域なのか」と思うことも多かったし(実際行ってみるとたしかに疲弊したのだが・・・)、一方研究投資においては「結果が決まらないと投資できないというような研究は、投資対象として適切なのだろうか」という、悩みは常にある。
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それはそうとして、文部科学、総務両省が意図するものとしての若者の定着を促進というものは、まあ、うまく予算にくっつけたなあということと、言いたいことはわかるがなりたつのかと思う。しかし、頭に下放という言葉が浮かんだ。
中華民国、中華人民共和国での、国民(多くは知識層)を地方に送り出す政策を下放(下郷運動)という。なんか20年ごとにおこっているようである。Wikideha以下のように記載する。

1936年:五四運動後の中華民国において、抗日宣伝のために北京などの都市の知識人や学生を農村・地方に抗日宣伝隊として派遣した啓蒙運動。
1957年以降:建国後の中華人民共和国において、毛沢東が共産主義に反発する政府や党の幹部や知識人を地方に送り失脚させた反右派闘争における政策の1つ。
1968年以降:中華人民共和国の文化大革命期において、毛沢東の指導によって行われた徴農制度→上山下郷運動

実は知識層というのは都会だけに必要なものではないが、逆に地方にいても都市とつねに入れ替わっていかなければならない側面がある。そこで、上記内容を見てみると
自治体は地元産業界と共同で出資して基金を設置。学生が卒業後、地元企業に一定期間勤めれば、基金からの支出で、奨学金の返済額を減免する。

ということは、大学生を地元に固定することになり、卒業してから知識層を知識層でなくなるようにさせてしまうという相反している内容になっている事がある。また、「地元産業界と共同で出資して基金を設置」という場合、高学歴層が定着しない地域の場合は、地域産業界に出資する資本がすでに喪失している場合も多いとは言えるだろう。
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要するに政策投資の場合、リターンを考えるということがなくても、政策普及のためやらざる得ないのだが、その効果は少ないということを前提として行くしかなさそうだという、割り切りを内包するのが宿命であろう。

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