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偽物はどれでしょう

前回LPガスの話をしたが、今度も燃料にかかわる話である。
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韓国で「偽ガソリン」がまん延!走行中にエンジン停止の恐れも―韓国紙  2014年6月15日(日)7時40分配信 Record China
2014年6月13日、韓国紙・東亜日報によると、ガソリンスタンドでの偽ガソリンや偽軽油の販売が問題になっている韓国で、7月1日から「石油製品取引規模毎週報告制度」を実施するとした政府とガソリンスタンド協会との対立が深刻な状況にある。環球時報(電子版)が伝えた。
韓国ガソリンスタンド協会は「毎週報告制度」の導入に反対し、今月12日に全国のガソリンスタンド3000カ所以上を一時休業すると発表したが、12日には実施日を24日に変更した。同協会は当初「毎週報告制度」の撤廃を求めていたが、実施を2年後に先延ばしすることで譲歩の姿勢を示している。
韓国石油公社のデータによると、今年4月末までに検挙されたガソリンスタンドは118カ所で、そのうちの70.33%が偽ガソリンを販売していた。偽ガソリンはガソリンやディーゼル燃料にその他の石油製品を混ぜたもので、これを車に使用するとエンジンにダメージを与えることから、走行中にエンジンが突然停止する恐れがある。
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「偽ガソリン」ってどういうものか?と思った。品質の悪いガソリンという可能性もあったのだが、どうやらガソホール(gasohol)のことらしい。言葉一つでこんなに悪い印象をもつものかよと思った。(追記:とはいえ、ディーゼル燃料にその他の石油製品を混ぜた・・・というのは、ちょっとエンジンには悪いだろうね。こんなのはそうないと思う)
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ガソホールはエチルアルコールとガソリンを混合した燃料であり、1970年代,石油危機のブラジルで、サトウキビから生産するエタノールをガソリン代替燃料として利用する研究が進み,2010年にはブラジル国内の自動車の約 60%が,エタノールを 25%混合したガソホールで走行可能となった。今でもブラジル向けの自動車には、エンジン部品の変更(パッキンの在質変更や金属材料の変更、表面処理の変更・・・さびやすくなるため)で使用されている。

もともと工業用アルコールは各種化学物質の精製過程でもでき(例:エチレン)日本でも無税の取扱いをうけているが、飲料用に転用されるのは脱税という意味でも、アルコール中毒の蔓延を防ぐためにでも問題になる。そこで飲用できなくなるように毒性の強いメチルアルコールが混入され、変性アルコールとよばれている。アルコールランプの燃料はこれである。
確かにこれを混和したものを「ガソリン」と銘打つと、脱税(とそれに伴う収入のブラックボックス化)が進むわけだし、さらに韓国では(そして日本でも)これに該当する自動車は売られていないのである。(ちなみにワーゲンやホンダはブラジル国内の事業所でガソホール用の自動車を販売し、それなりの評価をえている。)
だから、ニセガソリンという言葉よりは、ここで言うべきは韓国における脱法ガソリンということだろう。

1990年代末に、韓国製の天然ガス由来のメタノールが主成分という(ガイアックスという名前だった)ものがあって、日本でも販売された。(つまりこの場合、バイオ燃料ではないことになる)これも脱税とされる(というかそもそも税法上想定されていなかった)とか、更に樹脂部品の溶解等も使用側に生じはじめてしまい、ここにアルコール濃度のばらつき等の製造元の品質的問題も伴ってしまった(この経緯はかなりおそまつな顛末である)。結果、2003年に法律改正により国内販売が禁止された。
日本ではメタノールとガソリンの混合燃料の実用化試験はかなり先行しており、成功を収めていた(それ専用の燃料ポンプ・メータもある)が、研究推進母体が石油連盟だったこともあり、特殊な流通ルートのみだった。またこのほか沖縄県で酒造会社が廃糖蜜を使ったエタノールプラントでの研究をした事例もある。ただこの結果、「アルコール濃度3%が安全性を確保できる上限」という基準ができてしまうこともあって、日本国内ではエタノール混和燃料の商業開発までも行うことができなくなってしまった。(特に日本で問題にした企業は、燃料材質にあわせて樹脂部品を最適選定していた、アルコール燃料の知識・経験があるホンダであった)
なお、アルコールをガソリンに混和する場合、ある意味自動車の耐久性に対し問題が少ないのは95%以上アルコールということになるそうだ。混和したものの場合、樹脂部材等の耐久性は両方の物性に配慮しなくてはならないためである。
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エタノールは、工業的には,デンプンや糖みつなどを原料とする発酵法(アルコール発酵)とエチレンを原料とする合成法の2法がある。また、メタノールは天然ガスなど化石資源を原料とする。これだとメタノールはバイオエネルギーにはならないが、その実、天然ガス・石炭・酸素製鉄排ガスから低コストで大量に製造可能(つまりリユースの一つで3Rに該当する)でもある。更に毒性や揮発性もガソリンと比較すればにたりよったりだという意見もある。その後、バイオマスによる精製技術・醸造技術も見つけられているようである。そしてある意味燃料輸入国の日本では使い方には留意する必要はあるが、非産油開発途上国での自動車普及には一つの技術提案ができる側面が残っているのである。
もちろん燃料としては単位熱量がガソリンより小さく(メタノールはさらに小さい)、取り扱いには毒物という意味で苦労をする側面はある。しかし、天然ガスを使った安価な燃料という意味ではエネルギーの安全保障(リスク分散)というのは、本当ならトリガーになるはずである。また、コスト面では醸造エタノールはメタノールより高価である事が多く、「地産地消」という概念や、廃棄物の有効利用という方向にならない限り、経済的にはむずかしいという意見もある。
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ニセガソリンという言い方をすると、胡散臭いものに見えるが、あくまで「脱法」ということをこういう言い回しにしてしまうのはありうることで、むしろ読む側にもそれなりの配慮が必要であると考える。

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