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別に研究者はほかにもいるだろう

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東大が防衛省に協力拒否 輸送機不具合究明「軍事研究」と  2014.7.6 09:45  産経新聞
 防衛省が今年5月、強度試験中に不具合が起きた航空自衛隊輸送機の原因究明のため東大大学院教授に協力要請したところ、大学側が「軍事研究」を禁じた東大方針に反すると判断し拒否したことが5日分かった。防衛省は文部科学省を通じ東大に働き掛けを強め、方針変更を促す構えだが、文科省は大学の自治を尊重し消極的。一方、教授は大学側に届けず防衛省の分析チームに個人の立場で参加しており、大学方針の実効性が問われる可能性もある。
 輸送機はC2次期輸送機。離島防衛のため陸上自衛隊部隊が移動する際の主力輸送手段と想定されている。14年度末からの配備を予定していたが、2年延期された。
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東大の軍事研究禁止、職員労組と秘密合意 昭和44年、産学協同にも「資本への奉仕は否定」  2014.5.15 14:08   産経新聞
 東京大学と同大職員組合が昭和44年に軍事研究と軍からの研究援助を禁止する労使合意を結んでいたことが14日、分かった。東大紛争時に労組の要求に応じ確認書を作成したとみられる。東大は現在も全学部で軍事研究を禁じており、憲法に規定される「学問の自由」を縛りかねない軍事忌避の対応が、労使協調路線のもとで定着していった実態が浮き彫りになった。
 労組関係者が明らかにした。確認書は昭和44年3月、当時の同大総長代行の加藤一郎、職員組合執行委員長の山口啓二の両氏が策定。確認書では軍学協同のあり方について「軍事研究は行わない。軍からの研究援助は受けない」とし、大学と軍の協力関係について「基本的姿勢として持たない」と明記した。
 産学協同についても「資本の利益に奉仕することがあれば否定すべきだ」との考えで一致し、そのことが文書に盛り込まれている。
 同大本部広報課は産経新聞の取材に「確認書は現存していない。当時、取り交わしがなされたかどうか分からない」とし、確認書に実効性があるかどうかについても明らかにしなかった。だが、職員組合は「確認書は成文化している。大学側から廃棄の通知はないので今でも有効だ」としている。
 政府は昨年に閣議決定した国家安全保障戦略で、産学官による研究成果を安保分野で積極活用する方針を明記しており、東大をはじめ軍事研究を禁じている大学側の姿勢が問われる局面となっている。
 東大の軍事研究禁止 東大は昭和34年、42年の評議会で「軍事研究はもちろん、軍事研究として疑われるものも行わない」方針を確認。全学部で軍事研究を禁じているが、複数の教授らが平成17年以降、米空軍傘下の団体から研究費名目などで現金を受け取っていたことが判明している。
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おかしな論評であるなあと感じている。東大が防衛省に協力拒否するというなら、別の大学に依頼すればいいだけである。また、教員の各自ががそれに反するのなら他の大学に移るというのもあろう。
そもそも大学における自治というのは、日本では滝川事件や天皇機関説事件などで学問の自由が国家権力によって直接に侵害されたことが繰り返し行われていたことを意図し、これらは欧米でも類似な問題が過去にあったことから大学という物の前提としていわれるものでありる。明文化しなかった明治憲法下でも、もととしたドイツ法学での経緯もあり、学問の自由・大学の自治が実運用上からは概ね保障されていたようである。これは、防衛省の業務に協力する大学が生じるのもまた「学問の自由」「大学の自治」での判断の結果であるともいえる。(なお「防衛大学校」はこのような学問の自由は留保される存在だからこそ、文科省の管理する大学ではない。)
その意味では、「憲法に規定される「学問の自由」を縛りかねない軍事忌避」というのは、どうやって「学問の自由」という議論を近世の大学が保証していったのかという前提が、もともと理解されていない(理解するわけにはいかない?)わけで、この理由を労使協調路線という解釈で論評されるというのは、笑止千万である。

同じことは、産学協同にも「資本への奉仕は否定」という話でもある。国立大学法人のもとではそこまでは言わなくなったのだが、企業からの委託研究を旧法下の国立大学が受託した場合、特許権というような独占的内容に関しても、(権利が無条件解放というわけでないが)研究成果は公開することが前提であり、このため一部の企業では研究内容を秘密技術化する可能性の懸念から、国立大学への依頼研究を避けて私立大学に研究を依頼する技術開発ルートがあった。ただこれについてへ研究原資の縮小という現実から近年ではむしろ産学協同を推進する国立大学もあるわけで、このような学校の間での立場の差異が当然生じる。
また本質的に「秘密研究」が旧法の国立大学ができないということは、特に軍用に特化した研究は秘匿しなければならないということが必須である以上、やっぱり(上記の確認書の書かれた時期なら特に)軍事研究を国立大で行うのは難しいともいえ、この意味でも産学協同と同じ問題を内容していたともいえる。
もちろん産学協同がたとえば薬の認証研究による巨大な製薬企業による圧力的関与が問題になる事例もあり、研究原資の獲得と産学協同の推進はかなりきわどい相反する内容ではある。従って産学協同とてその大学の自治による姿勢表明である。
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産学官による研究成果を安保分野で積極活用する方針は、まああるかもしれないが、軍事研究を禁じている大学もあれば、協力する姿勢の大学もあるわけである。これは企業側の方でも協力するものとしないもの、消極的な協力と積極的協力姿勢とあるのが当然。国立大学でなく国立大学法人である現在であるからこそ、協力しないという姿勢(ないしはそれに関する資金的支援も受け付けないリスクを伴う行動)は容認されるべきであると考える。

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