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触るなよ、触るなよ、絶対触るなよ

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電源落とさず清掃作業=ゼンショー子会社書類送検―京都南労基署   時事通信社 - 2013年07月01日 17:01
 ピザ生地分断機の電源を入れたままで清掃させていたとして、京都南労働基準監督署は1日、大手牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーの子会社で、冷凍具材などを製造するトロナジャパン(東京都港区)の京都工場長(44)と法人としての同社を労働安全衛生法違反の疑いで京都地検に書類送検した。同社の契約社員(36)が指4本を切断する事故があり、違反が発覚した。
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 同署によると、宇治田原町立川金井谷の工場で4月17日、契約社員が機械を一時停止させて清掃中、別の社員が誤って機械を稼働。契約社員が右手を機械の金属刃部分に挟み、指4本を切断した。
 労働安全衛生規則により、清掃時には電源を切らなければならないが、同社は同様の作業手順を長年継続。工場長は「電源を切ると作業効率が下がると思ってやっていた」と話しているという。 
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職場体験の高2、人さし指切断…機械監視中に   2013年7月10日14時55分 読売新聞
 大分県教委は9日、大分市の県立情報科学高2年の男子生徒が職場体験中に右手人さし指を切断したと発表した。 生徒は病院で手術を受け、命に別条ないという。

 県教委高校教育課によると、生徒は同日午前11時頃、訪問先の電子部品製造会社の工場(大分市)で、電線のカバーを自動切断する機械の監視を体験。社員から機械に触れないように注意を受けていたが、誤って指を出してしまい、指先を切断したという。
 事故を受け、県教委は、職場体験を実施する県立高校に、生徒への事前指導の徹底など安全対策に万全を期すよう通知した。
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あーあ、ゼンショーとなるとブラックなんだわ・・・とついぞ思いがちであるが、この会社は地元資本の食品会社を他のメーカー経由で買収しており、冷凍食品(特にピザ)ではかなり大きな企業である。その段階でモトの親会社は経営の失敗が元でずたずたの倒産劇を起こしている。というわけでこの問題はとかく「ブラック」とか言われそうな企業という問題点とは一線を劃す問題と思う。むしろ食品加工業界全体の労働安全問題であろう。
さてこの、「宇治田原町立川金井谷の工場」というのは実は日本の緑茶加工技術の発祥の地といわれる宇治田原町湯屋谷に隣接している。これを見出だしたのは篤農家の永谷宗円(のちに仏道に入ったときの名前らしい)なる人物で、そのときの工場跡が整備されている。さらに永谷宗円の直系の子孫は茶の中間流通業者として盛業中である上に傍系の子孫はかの永谷園を創業している。(永谷園はもともとは茶の販売をやっていた会社で、後に他業態メインに転じている)
従前、茶は、春に摘み取った新芽を蒸すか、ゆでるかしたのち天日や火で乾燥させて仕上げており、黒っぽいものであった。(あえて言うといったんできたお茶を再度作り変えるほうじ茶の製法に似ている)。それを乾燥前の「揉み」工程が入ることや、種々の品質向上技法により、完成品の茶葉も青く(緑)仕上がり、それまでのものに対して「青製」といわれた。そしてこのような茶葉の加工は当時から茶葉の集散地である当地でも行われており、(今も多い)食品加工業自体は当地にとっては向きな産業ではあろう。(ただしこの工場じゃ工業団地の中にあり、食品以外の工場も圧倒的に多い)

まあ、この食品工場の場合は、従業員に対する安全教育以前で安全に対する規範自体がなかったのだろうと思われる。今回の指導を受けてこのあたりの改善を期待するのだが、食品工場の場合サニタリー仕様という衛生管理のための分解掃除が業務のかなりの時間を占めており、この業務の実施かつ時間短縮が工場の収益向上に直接つながるという悩ましい問題もある。さらに自動化できない上に、多品種少量生産を求められることから、あまり賃金の高くなく、かつ従業員教育についても直接作業者にはコスト面でかけられないというジレンマがあるようだ。
労働災害の面から見ると、従来の機械工場などの事故は激減しているのに対し、食品工場に関してはあるところから以降事故罹病の割合が落ちない一方従事職員数が徐々に増という状況になっており、また従業員の定着率が落ちているのも問題のようである。
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一方、「訪問先の電子部品製造会社の工場で、電線のカバーを自動切断する機械の監視を体験したときに罹災した生徒」であるが、社員から機械に触れないように注意を受けていたということはいわゆる本質安全化ができていないということなのだろう。ただし、もともと切断装置だと本質安全化をするには、隔離してCCDカメラで監視するという手法ぐらいしかできないという場合もある。つまりこの場合は教育を施すということでは不徹底で、業務担当者を選別するしか、リスクの回避が難しいようである。むしろ監視体験をさせるような作業ではないと考えるべきではと思うのである。

この切断機械が回転する刃を持っている場合、「誤って指を出してしまい」指先を切断したというのに対して、「悪ふざけで指を出してしまい」「遊び半分で指を出してしまい」「馬鹿だから」(おい)という責任論を言う人がとかくいるのだが、実は人間の心理として回転していて刃先が実質光の加減で刃物として認識されない場合、指を入れないというのが実は後天的技能である場合も多く、人間心理としてどうしても指出すほうがむしろ平常だという指摘がある。また別の見方だと、高速回転物の場合視覚的に回転する物体が見えなくなるところがあるようで、確認のために無意識に触るということがある。
その上「触るな」というと触ってしまうというのは、狂言の「附子」にもあるぐらいである。職場体験を実施する県立高校に、生徒への事前指導の徹底というのは偶発性の低い行動としては学校側としてはこれぐらいしか実施できる内容もなかろう。
いずれにせよ、このあたりの人間の心理と行動を微妙についた、アクションを取り込んだのがかのがダチョウ倶楽部の熱湯風呂ネタであるというのはどうだろうか。記事を見ると責任問題が明らかになって、結論が見えたから報道になったような感じの内容であるが、なかなか厄介な話である。

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