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契約も必要・リスクを背負うのも必要

長くお付き合いをしているある年配の男の人であるが、先日会議の後食事にみんなで行こうということになったときこういう話になった。
「大変悪いが、韓国料理に関しては今後付き合いかねるので(キリッ」
確かに安価でそこそこ食べられるので男性同士だと軽い飲み会で韓国料理にいくことは良くある(女性の場合あまり打ち上げなどには参加しにくいというからだが)。私もいつもと言うわけではないが、経済的でもあるので韓国料理店に行くことは有るし、実際好物も多い。(ただねえ・・・本場でなければ、唐辛子と焙煎ごま油を使えば韓国料理とする料理店も正直多いんですよね。こくがない唐辛子など使っているとかで、これが声価を低めていると思うこともあるのだが)
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このときはまあ仕方がないなあと言うことになり、彼だけは帰ってしまった。けど何でこの時期に急に彼が言う気になったのかを疑問にした。そう考えると、韓国料理と分かると用事を作って避けているような気もするなあと言う話もある。辛いものが嫌いと言うことではないらしい。さては、胃痛とかの理由かもしれないという人もいた。この人は過去JICAの仕事などもしており、もともと海外での業務経験は場数を踏んでいる。
みんながいぶかしがる。それぐらいの人格者なのだが。
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後日この理由はあれでないか・・・と教えてくれる人がいた。

詰まるところ、一般的には優良とみなされる客先が韓国にあり、一昨年たびたび指導に行っていたのだが、昨年それに関して2つほどトラブルがまとめてあったと言うことなのである。
聞いたことが本当とは分からないので具体的な話にはしないが
1:技術指導を行っていた韓国の企業に契約に従った指導を行って一定の成果を得ていたが、日本企業の知的財産を持ってきてくれ(注:クロスライセンスの指導をしてくれではない)と頼まれてしまい、それは契約にないということを言うと、過去にさかのぼって契約解除になった。
2:技術指導満了後、(成果でなく拘束時間による)支払いを受ける段階になって、支払わないという話になった(但し宿泊費・旅費は現物支給スミ)が、その理由が技術内容の問題でなく、件の国境問題で支払いOKが降りないということであった。(結果一部は遅れて払われたようだ)
というのである。ちょっと変だなあ。
一方私自身は2の案件に近い内容を韓国通貨危機(1995年ごろ)ごろに勤務先の業務でちょっと係わる羽目になったことがある。(あくまで国内のサポートとして出張者の技術指導を日本で支援していた)それは其の事業先が直後倒産状態になった上、以降日本側もサポートを打ち切ったこともあるので、あんまり汎用的な話だとは思っていなかった。また1のようなことは対韓国でなく対アメリカ企業で私も似たようなことを経験している(結果、引き合いをことわった)ため、別に韓国だけでもあるまいしと思っていた。
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韓国でそれなりのいい成果を得ているコンサル技術者もいくらか知っている。(其の中には日本と韓国で同じ技術提案をし、取り上げたのが複数韓国企業のみだったという凄腕の人もいる)さすがに納得がいかないので、韓国へのコンサル業務を経験している人にそれとなく聞いてみた。
相手先の企業の意識によるところが大きいが、相手が契約に対する優位性を保つために、ことに国境問題を出すことが今もないわけではないらしい。(昨今の傾向を見るとさらに変わっているかも)大方の善意の構成者は業務指導を依頼していることから、そういう微妙な話にはふれないものである。ただ、工場などで士気改革を伴うような業務をする場合で、かつ海外に留学したとかいう人がいない場合には、現場サイドで指導業務を拒否する理由として件の国境問題とかその他の懸案事項を持ち出すことで、相手をつぶすと言う事例もままあるというし、そもそもそういう問題意識を持っていない場合もある。私が間接的に出会った事例(2に係わる)はこちらに属するのだろう。この相談相手は「『日本人に技術指導を受けていることが、市民に知られると問題があることも』ということでホテルは用意されたがルームサービス(日本食)しか出来なかった」ことはあったらしい。
また、日本企業の公知でない知的財産を持ってきてくれというのは、海外業務だと時々あるので断る(特許調査と言うのは公的資料の分析であるわけで秘匿義務があるものではなく、受けることがあるらしい)のだが、別に専門家に頼まなくとも、今までなら開発業務を外れた技術者を企業内で別の業務(営業・総務・・・)で活用することが出来たのが財務上や株主意向などでそうは行かない場合が出てきて、辞める場合にも守秘契約で縛ることが実際上むずかしい立場の人間を高給で連れてくることはままあろう。(アメリカの場合は退職時かっちり守秘契約を交わすが、「頭の中にあるものをすべて」という人権侵害に近い実現不可能な契約になっており、アメリカ国外の法規では実効性が薄いと言われる。)さらにこれらの問題は第一義には、相手の素性をこちらが把握しなかったことに帰するしかない・・つまり大きなリスク含みの対応しかない・・・ということを言っていた。
あと、しかるべき相手国の公的機関がからんでも、契約に関してはまったく無意味であると、あまり日本人としてはなじみのないことも言われた。(確かにJICAが交渉の窓口になる場合は日本人のサイドに立つが、この場合は相手国ベースの契約で、日本側の代理人に権限がないように制度設計してある場合も多い)だましだましでなく、誠意を持って問題を対処することは絶対に必須であるが、其のこと自体が相手をきずつけるないし妥協点が重ならないならばきっぱり商談を絶つぐらいにしないとまずくなるかもねえ・・・というのである。
彼自身が持つ技術力と異なる場面でダメージがあったのは確かでトラウマとなってしまったようである。その後東南アジア向けの業務などをやっているから海外に対してネガティブイメージがないのが救いである。
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どっちかと言うと私は今話題の中国側(大陸も台湾も)の技術指導のほうが場数を踏んでいるのだが、これが、特に台湾への技術指導になると「韓国と今なんかやってる?」という聞き方をされる。つまりコンサル先として東アジアを考える場合どっちに肩入れするかということはどうも係わってくるようなのである。(韓国との技術交流がどうも意識の違いでうまくいかないのかもしれない。)つまり昨今、初期段階でどっちの国に重石を置くか踏み絵があるのが、コンサルが国境を超える場合の最初の試練になってしまった。
今の東アジア情勢だと、根ざしている根拠に共通性がなく、しかしその差異が将来性に影響する。となれば、相互信頼というのは基本通用しないのが現実。だから低価格を割り切って国内のコンサルのみのコンサル技術者も増加している。けど、それでは収まらない世界の技術トレンドが国境を簡単に越え、残るは定量化できない固有の認識の差異が基本的阻害になっているのも現実である。これは社会的コンセンサスが絡むため、個人ベースで信頼できても、其の信頼自体が相手方の社会的地位を貶めることさえ生じる上に、全うな生存権をも失うようなことをあった。形だけでもと言うことなのか侘びが来たことも有る。いずれにせよ理性を持って対処することがこの場合必要である。
昨今の国際状況だと理性と冷静な状況判断によるロジックの立った行動が必要であるが、紳士である彼の変な行動は其のラインをぎりぎりで踏みとどまらせたかったための、心理葛藤の結果だったと言う気も今になってみればする。
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幸か不幸か、私の場合身の回りの面識の有る韓国系の方は、日本に帰化してるとか、日本ないしはアメリカで高等教育をうけてかつ態度を使い分けすることが出来る(立脚の違いを分かっており、私たちにも其のことをボロッということがある)紳士的な方が多い。むしろ日本人の中にはそもそも口に出して言わないが避けてる人がいるぐらいで、2chの見るに耐えない馬事雑言がネット右翼のたわごとといっても、リアルに言う(ないしは訪問してもトラウマで言うようになってしまう)いる人が一定数いるというのが多少頭にあるため、そういうものと認識していてもどうもならないと聊か悲観的になってしまうむなしさ。

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