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企業が大きいから責任を果たせる訳ではない

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近鉄:内部・八王子線廃止問題 「現状で存続困難」 BRT化で四日市市の支援要望/三重 毎日新聞 2012年08月25日 地方版
 近鉄は24日、鉄路を廃止して、バス高速輸送システム(BRT)での路線存続を提案している内部線、八王子線(四日市市)に関する見解を発表した。
 発表で同社は、両線の利用者数が1970年度のピーク時の722万人から11年度には363万人に半減し、恒常的に赤字が続いていると指摘。ワンマン運転化や無人駅化を進めたが収支は改善せず「このままの形態で両線を存続するのは困難との判断に至った」としている。
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 一方で、路線の重要性から、現在の軌道をバス専用道として再整備し、BRTとして運行することで、現在の輸送力を確保できると主張。さらに赤字縮減のため、地方交通の維持・再生を目的とした公的補助を求め、来夏までに方針を固めるよう四日市市に改めて要望した。

 近鉄は21日、路線存続を求めて大阪市天王寺区の本社を訪れた地元住民に対し、BRT化を表明。さらに、初期工事費用やバス車両代などとして25億〜30億円の負担を四日市市に求める考えを示している。
同市は引き続き、鉄路の存続を求めていく方針。地元では、BRTの輸送力への懸念や、並行する国道1号の渋滞悪化を心配する声も出ており、署名運動で現状維持を求めることにしている。
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まあもともと、レール幅が762mm標準の半分ほどのナローゲージで、近郊輸送のみに特化していることもあり、最高時速45キロ程度でも済んでいた。また、1970年に722万人/年だった乗降客数は、2010年には364万人/年となっているのだが、地方鉄道の乗客減少としてはそこまで極端ではない。これは、沿線4校の高校生輸送が主となっていることで成り立ているのであろうが、通学客相手では定期の割引率を考えるとまず儲からないと言うのはわかる。そこで、車両はともかくワンマン運転や駅の無人化などで経費削減を実施した。(確かに限界に近いところまでやったなとは思っている)ものの、黒字化には定期などを除いた正規料金の乗客数を1.4倍ほどに増やす必要があると試算しているらしい。
と言うわけで都市内交通としての近鉄:内部・八王子線は、現状新たに引くなら鉄道である必要はなく、都市内中量輸送機関としての代替は必要な輸送量が期待できる微妙な状況にある。実はこの意味であればBRTと言うのは(連節バスを導入することを意味せずでも)額面上は成り立つのである。
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まず四日市-西日野間は電車が30分毎走っているが、すこし経路違いでも少し山のほうの八王子地区から四日市駅まで30分ごとにバスが走っている。線名からわかるようにもともと西日野から八王子までもともと線路はあったのだが水害で線路が流されたと言う経緯がある。しかしそれよりこの西日野駅の近傍の岡に大規模団地が造成されており四日市駅から15分毎に走っているのであるが、だからと言ってこれらの客を駅に回し鉄道に乗ってもらうことは乗り換え回数が増加するだけでむずかしいことになる。
一方四日市-内部間は電車が30分毎走っているが、起終点は国道一号線に並行しているためたしかに道路渋滞の問題はあるが、実は旧道経由で運用することができる。(現行のバスは1時間1本程度が旧道経由である程度。新道ではバスを運用していない)
これらのというわけでBRTという手法は確かに可能性は高いが、人家が集まっている四日市駅の近くではバスを走らすには線路の土地を道路にするしかバスを高速で運行する手がない。
つまりどのみち30万人の人口が有る地域と考えると都市型のBRTは成り立つと言うか最適レベルにはあるし、バス会社(三重交通)の運用を纏めるなど最適化が可能なのだが、既存道路のインフラ・都市計画が鉄道存置をベースにして組まれていて、其の上に積み増し積み増しをしていた経緯から、もしバスを走らせると言うことになると、確かにそこそこある交通需要をどう処置するということに問題はあろう。
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それよりもあまり議論になっていない問題のほうが脚を引っ張っている。
 車両は昭和20年代製造の6両と同50年代製造の8両。501年代に一斉にかなり大幅な改善をおこなっている。鉄道車両としては償却時期は終わっており、ちょうど3年後から定期検査を迎えるが、これが大問題で近鉄は支えきれないようである。というのはあまりにも車両の規格が特殊で、更新用電装品をつくることをメーカー各社拒否したとか言う話。(同じ車両を使っている元近鉄北勢線⇒三岐鉄道北勢線でも電車用の動力系電装を更新するのが困難で抜本対策が難しいという話をしている。)また、クーラーを載せるには客室内に乗せるなどの工夫をするようであるが、これは定員の減少にもなる。

ところで、内部・八王子線で問題は専用道路の整備など約3030億円と見込まれる初期投資が問題である。近鉄は行政に負担を求め、「全額補助してもらえれば、運賃だけで運営できる」としている。これは既存道路スキームがこの沿線のうち四日市-日永駅間に関してはバスがまともに運行するのには貧弱すぎると言うことであろう。だから都市計画の考え方を変えてほしい、少なくとも内部・八王子線ありきの社会構成はなしとしてほしいと言うことに等しい。当然四日市市はこれに反発するだろう。また、もともと線路もせまくバス用道路としても片道のみの専用道路化が目一杯で、BRT・専用道化は速達にはなりにくい現実は、問題になりそうなのだが、指摘されていない・・・・
ただし、「近鉄という大会社が、何でも行政に頼るのか。公共交通の担い手としての責任もあるはずだ」と困惑する市の言い方は周辺の輸送量のうち日中の輸送量の劇的な減少があるようだ。というのは名古屋線支線区間においてはワンマン化に加えて全般的に減便が図るしか収益が得られなくなっているのである。
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近鉄、過去最大の運行本数削減 乗客減少で3月から  2012/01/20 20:05 【共同通信】
 近畿日本鉄道は20日、春のダイヤ改正を発表した。平日の列車の運行本数は全体の4.8%にあたる236本を削減。集計を始めた2000年以降では、一部路線の分社化があった年を除き、過去最大の削減本数となる。3月20日から実施する。
 近鉄の10年度の輸送人員はピーク時と比べて約3割減っており、輸送の効率化とコスト抑制を図る。一部路線では通勤時間帯の特急を増やすなどして利便性の維持に努めるとしている。
 運行本数を減らすのは、特急は京都線や南大阪線など。その他の列車も奈良線、天理線、大阪線、名古屋線など幅広い路線で削減する。
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この場合、今回の減少は全般的な輸送量減少となっており、日中の輸送量を減らしている。それでもまだまだ他の私鉄に比べ投資最小ということから、人員削減も中途半端にならざる得ない。名古屋線では四日市-名古屋間においてはさほどの減便をしていないが、今回の改正で近郊の鈴鹿線・湯ノ山線など日中の本数が2/3に削減となっている。京都線とか幹線系といわれる路線もおしなべて減便になっている。
つまり、通勤時間の乗客の減少は自然減程度で済んでいるようなのだが(これも地域によっては通学需要の低下になっている)日中の一般輸送や観光輸送など余剰所得の減少がそのまま関係していると思われる内容だという。減少が激しいのは特急料金が期待できる特急と、ちょっと用事でと言う日中利用が自動車移行されるか、しない方向で活動を収縮させる傾向から需要減退が生じた周縁部の各駅停車という。
つまり中距離輸送と伴うことが出来、共通運用などでコスト低減が可能な路線以外は都市近郊のローカル輸送を維持できる経済的余裕はまったくないと言ってよい。幸いバスによる運用代替が出来るところはしたいと言うところであろう。こえは企業の固定資産量の問題でなく バランスシートを診ると出てくる問題である。大きな会社だと言っても連続して乗客が減少している現状では経営の安定が確保できない。四日市市は修繕費を補助する方針だが、実はスキームを考えると鉄道会社は車両更新費よりも運営費の補助のほうが要求したいのだろう。
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ところで、近鉄が提案するモデルの一つは、廃線となった鹿島鉄道(茨城県)の石岡市の路線跡に設置された「かしてつバス」だ。
 廃線後、路線の一部区間(5.1㌔)をバス専用道路として整備をおこない、公設民営とした。鉄道時代よりも良くなったと評判はよく、所要時間や料金は鉄道時代と大差ない。しかし、其の工事中の代替バス時代に乗客が6割ほどに落ち込み、現在も戻っていない。これは自動車に移行したと言う認識もあるのだが、どうも純粋に鉄道からバスに移行したから外出をやめると言う需要減退の可能性が多いということで、定時運行ということが確保されたから40%減ですんでいると言う。(普通は半減という)
ただこの石岡市の区間は都市部と言うより郊外路線の区間であるため、もともとのBRTの定義からするとむしろ今回の四日市市の事例のほうが近い。そのため確かに人口約8万人の石岡市と、約30万人の四日市市では交通事情が異なるとしても、本来のBRTの定義に近いしBRTそのものでなくても近い事例(千葉市・厚木市・町田市などの類似例が都市規模で似ている)で成功している立地に近い。リスクをとる姿勢を公共団体がしめすと、無限責任状態で「たかられる」たり、運用がうまくいかないと責任を「所轄官庁の見識不十分」とすることになっている現実では、失敗事例の分析をしても答えが出ない場合
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まあ、 四日市市はこれに反発しているが、むしろ近鉄という大会社が行政に頼るところまで、交通企業の採算性や先行きが悪くなっているという視点になるべきと思う。たしかに市の交通政策として、鉄道の維持を前提とした環境設定となっているというところを一度考えなすと言う視点が必要であろう。シャープが急激に業績を失速させ近隣の亀山市(企業城下町化していた)で工業団地の活況が一変する瀬戸際にあるが、そもそも外的影響が大きいすべての業態において企業が大きいことが責任を果たせるということではないという、新自由主義のリスク面は想定されるべきであるはずなのに。

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