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気仙沼線が・・・かわる(1/2)

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気仙沼線BRT専用道で試乗会 安全確保、定時性に課題    2012年08月18日土曜日 河北新報
 JR気仙沼線(柳津-気仙沼間55.3キロ(注:運休区間の話))で、バス高速輸送システム(BRT)による暫定運行が20日から始まるのを前に、報道機関向け試乗会が17日、宮城県気仙沼市内の専用道区間であった。
 バスは中古のノンステップタイプで、通常の乗り合い仕様。国道45号から、線路跡の舗装を終えた陸前階上-最知間(2.1キロ)の専用道に入り、最知で折り返すコースを2往復した。
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 専用道はバス以外は通行できない。乗り入れる際は、自動検知装置で遮断機を上げ進入した。単線の気仙沼線の線路跡は狭く、幅員4メートル(路肩含む)の走行路でのすれ違いは不可能。一方が待避所で待つことになる。
 途中、5カ所の交差点(旧踏切)を通過する。ダンプカーなどの交通量が多い「第1長磯踏切」には誘導員が配置され、安全確認のため一時停止し一般車両がバスの前を横切った。今後、信号機や遮断機を設ける予定という。

 JRは高校生の通学の利便に配慮し、夏休み明けの20日に運行開始日を定めたほか、ダイヤも現行の振替バスより拡充した。ただ、当面の専用道は1区間だけで、残りは一般道となるため定時運行が最大の課題。停留所などで運行中のバスの位置や遅れを知らせる「ロケーションシステム」を導入した。
 JR盛岡支社の多田秀彰企画部長は「安全で快適な運行に努め、地元の復興に貢献したい」と話した。今後、専用道を順次延長する一方、年内にJRがバス事業者となり、ダイヤ改正やハイブリッド車両を導入するなどし本格運行を目指す。
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バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit, BRT)は、バスを用いた「都市域用の大量公共輸送システム」を指す。都市大量輸送システムを、地下鉄およびライトレールなどの建設よりも低コストで実現する目的で採用するものとなるとこの場合、気仙沼線の沿線はどう考えても都市近郊輸送ではなく、完全に用語の誤用ではある。もともとは地下鉄並みの都市高速交通(比較対象として路面電車)における代替性を持つものに対しての議論である。単純に専用走行空間を有する路線バス線を指す際にバス・ラピッド・トランジット(BRT)と呼んでしまうことが日本では見られる。けど近郊区間でBRTとして代替できる事例というのが実は少ない。
一般には道路の中央に専用レーンを引いた名古屋市の基幹バスとか日本では法規上鉄道の仲間になるガイドウェイバスである、ゆとりーとライン(之も名古屋)がそうである。しかし、これらは表定速度が高くても19.9 km/hということで、都市内高速交通の領域を出ていない。また北京などには駅の設置が有り専用鉄道然としたBRTシステムがあって、これが都市と郊外を結んでいるのだがこれもそこまで早くはないと聞いている。そうなると、台湾の嘉義バス捷運という路線(約30キロ 所用45~72分 全然通しが20分毎)が、鉄道線の廃止後にBRTを設けた例がある。これも日本で言う近郊私鉄に近い領域の運転で、時速30キロとするとこれがBRTというなら、まあ気仙沼線もにているのかといえる。その意味でBRTと言う表現ではかなり異端の存在ということにしなければならない
なぜ、BRTという専門家の目から見たらまがい物の名前を、ここの運用に使ったと言うのは結構議論になる。鉄道復旧にたいする費用が莫大になる現実と、町の移転などの都市計画による中で駅が今までの位置に近くていいかと言う議論はあるし、そもそも地域住民が生活上の問題からもう戻ってこないと言うことも想定される現実では単純に廃止ということも一企業の上では言わざるを得ないかもしれないが、逆に免許制で独占性の有る業態ではそれをいえないという弱さも有る。そこで、なんらか新しい考えを入れて低コストで運営できるという有る意味妥協の産物を作るのは、妥協と言わず別次元の「わかりやすい」物に話を持っていかなければならない。形態が常設の専用走行レーンとか専用道を有して、一般道・一般レーンの通行速度状況の影響からは隔離されるということで、一番説舞しやすいものはなにかといえば、BRTとしか説明できないことになる。そう考えればBRTの技術ノウハウを用いたバス専用道路システムというのもざっくり妥当かもしれない。BRTとして運用を進めるにあたって当面は不安定な過渡的運用からのスタートで安全確保はともかく、定時性・速達性はまだ不安であろう。そこをこの報道で強く言うのは河北新報さんとして本意だったのかと、ここは疑問に思っている。
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バス専用道路(正確には道路運送法第2条第8項の専用自動車道)というのは、路線バス以外の通行を禁止した道路で、道路の土地自体を路線バスの運行会社等が所有する。道路交通法、道路運送車両法の適用対象にはなるが、私道という扱いになるものである。道路整備コストなどは運行会社で行わなければならないため、維持費用がかかるなどの理由で数は減少し、専用道廃止後は地方公共団体などに売却・譲渡され公道化される場合が多いのだが、これは反対に専用走行空間を有することで、他の交通による運行時間の乱れが少なく、確実に運行できる特徴をつぶして公道化されたら路線バスの利用価値が急激に落ちてしまったと言うことになるのも多い。其の反省の上で鹿島鉄道代替バスは一部を公営の道路としながらバス専用道路とした例がある。
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で、まあ用いる言葉の問題はともかく、この程度の輸送密度においては、ひとつの試験的運用であるともいえる。

(1)気仙沼線の災害区間のうちかなりの部分は、単線ではあるがかねてから津波災害を考慮した高規格の線路であったため、一部の橋の落下はあるのだが、土地を考える必要性が低くなっている。
(2)当該路線は輸送密度が極めて低いのだが、人口希薄地域であることから通学用においては、高等学校が市部に多いため長距離の通学があったことから、一人当たりの乗車距離が長く鉄道の用途が生かされているとして政策的に残された経緯がある。
(3)反面バスにおいて代替出来ないために現在の気仙沼市内以外は並行するバスがすでに代替用のみに等しくなっていた。通学に対して90分以上かかるようなところの通学が常態化していたこともあり、運賃も体の負担上もすでに一般の路線バスでは無理であったということになる。これは道路は現状でも整備されているものの、速度で鉄道が早いことを前提に住民の居住がなされていたということになる。
(4)産業が水産業と其の一次加工業態に偏っているため、通勤用途には期待できない上に、産業構造の改革も期待できないため輸送量の増加はない。

こうなるとBRT導入に対する必要条件は
(1)低コストの運行をさらにすすめる
(2)鉄道並みの高速度 
(3)ラッシュ時においての一定の定常的定型乗客流動がありこれを確保する必要

であり、今までのバスの代行輸送ではこれらは暫定的には有効であっても恒久的にはむずかしいということになる。そのなかで、鉄道としての復旧が旅客鉄道として成り立たない中で軌道敷をつかうことで、これらを成立させるのであるのならば、製品化されているバスロケシステムを使ったシステムを構築できればひとつの可能性があるのではと思う。またバス路線だった経路も住宅集中地域というわけでもないため、高速化には限度があるのも事実だし、其の分鉄道の特性がまだ生かせる地域であったことは考えるべきである。(続く)

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コメント

どうも、はじめまして。
気仙沼線については、通学以上に沿線と仙台方面との都市間輸送のウェイトが高いという印象です。
仙台~気仙沼に運行されていた快速南三陸は、130キロ弱を所要時間2時間前後と、自家用車や高速バスに対抗可能な程度の速達性を有していました。
また、正確な利用状況はわかりませんが、毎日2往復×4両編成で運行されていたことから、輸送密度を少なからず底上げする程度の利用はあったと推測されます。
気仙沼線は輸送密度の減少幅が他のローカル線と比べて小さいことも、この路線の利用が少子化やモータリゼーションの影響を受けにくい長距離客主体でったことの表れかと思われます。
このレベルの速達性・定時制を確保できるかは、今後の気仙沼線にとっての1つの課題といえそうです。もっとも、対気仙沼なら大船渡線・東北新幹線経由でも代替は可能なのですが。

投稿: しょくぱん | 2013年9月 3日 (火曜日) 10時44分

>気仙沼線については、通学以上に沿線と仙台方面との都市間輸送のウェイトが高いという印象です。
少なくとも快速南三陸に関してはその傾向が強かったと思いますが、それでも気仙沼までの客は頻度の多い高速バスに少しずつ移行していたように見えます。(その分普通列車が学生しか逆にいないという印象も)
>このレベルの速達性・定時制を確保できるかは、今後の気仙沼線にとっての1つの課題といえそうです。もっとも、対気仙沼なら大船渡線・東北新幹線経由でも代替は可能なのですが。
実は線形改良の余地がほとんどないこの区間の大船渡線が残ったというのが・・・痛し痒しなんで。

投稿: デハボ1000 | 2013年9月 3日 (火曜日) 23時19分

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