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せっかくいい本なのに・・・・

最近、技術系の本をやたら読むことが多い。
時間もあるという側面も多いが(電車に乗り換えなしに90分乗るとまあ読書がはかどること)、技術情報の内容が段々替わってきてぼちぼち話す前提を変えなければならないというわけである。
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但し、其の中にはこまったことに、専門技術書の中にきわめて強い「人生の生き方」などの自己主張を挟み込んでいる場合がある。

いや学生向けの場合はそこまで議論するべきでないが、そういう本でない場合はやっかいである。技術的見地によるものならまだいいのである。たとえば、

(1)インバーターの高周波ノイズによる機器設置については確立した手法はなく、むしろ現場で調整のうえ機器の設置をおこなうのが一般的である。調整コストが多くを占める。
(2)しかし、其の機器(コンデンサー類)の設置基準が標準化されていないため設置業者のばらつきが大きく、波及的問題が起こったときに対策で時間がかかる。
(3)1990年代後半には原因不明の信号不作動などがおき機器が暴走したりする例がある。(近年では(1)湘南モノレール5000系第二編成が停止信号を無視して冒進し分岐器に衝突する事故の原因が、一部のVVVFインバータが,ノイズで運転士の操作を認識できなくなり力行のまま「固まる」誤作動を起こしたと推測し、改修した事例  (2)大阪市交通局南港ポートタウン線住之江公園駅構内で無人運転の電車が本来の停止位置から50mも暴走し車止めに衝突したのも、配線の脆弱さのため、ブレーキが作動しなかったほか制御が固まったという可能性がでてきている。後者は当時は理由不明となった。)産業機械でもあるようである。
(4)よってこれらの技術ガイドラインは今まで以上に技術標準化とユニット化を機器製造側から推進するような形で技術信頼性の確保をはかるべき。

まあこういう問題ならむしろかまわない。
しかし、たとえば特定の技術手法に対しかなり政治的意見を混ぜるというところがどうしても出てくる。(まあたとえば原子力などだと現状そうなるのは仕方ないが、其の記載のため文献を読む側に強いバイアスがかかってしまい、文献の役目を損じているのも事実)
たとえば、有る文献を読んでいたら、「このような産業用機器は最新の省エネルギーモーターを用いないのが多い。インバーターを用いても最新の省エネ機器を用いない。また用いていても高級機種であり、汎用機種には用いていない。これらはコスト面による製造側の都合であり、海外メーカーに対し本邦の機器の優位性を損じている。」という記載があった。書いた方の専門性を否定する気はないが、これらの省エネルギーモーターには起動トルクと耐熱性を犠牲にして省エネルギー性を維持する場合があり、当該機器の場合は私の視点では換装すると起動特性でモーターが焼ける可能性が高いものである。トレードオフでの選択はやっているようである。

それぐらいは正当な技術評価である。得られたいい技術検証も多いのであるが、問題は「これらの技術検証の中で他国の文化に接し、大学での受講と論文作成をするにいたった」とかの中身を延々記載されても、それがどうしたということを感じる。中身にきわめて面白いものがあっても埋没してしまうのである。
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最も「芸談」( 芸能の分野で,演技者が自身の技芸に関して語る談話をいう。広義には非公開の口伝や秘伝書を含み,芸に関する話を指す。聞き手が質問をして書く形が古来は多かった)がそれなりに興味を持つことを考えるとこういう記載はそれなりに評価されるものである。逆にこのような工学の研究者としての思いなどをしっかり伝えた本もある。
しかし、それを技術の記載と混在することで読む側がしてしまうことで、煩雑だなあと思ってしまうために言いたいことを伝える前に引き返す読者が出る。其の読者の責任といえばそのものであるものの、残念なことである。

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