« ロマンスの有様 | トップページ | 手首が痛い(1/2) »

まぜるな危険

http://www.johnson.co.jp/life/knowledge/mazerunakiken.html
市販されている洗剤や漂白剤で「まぜるな危険」と表示しているものがあり、うっかり混在して使うと有毒ガスが発生し、大変危険であるのみならず、周辺にも迷惑がかかる。
ブログランキング・にほんブログ村へ
塩素系漂白剤は、酸性の洗剤などと混ぜると、猛毒の塩素ガスが発生する。これらは頻繁に用いるものであるから、これをした徳島県の女性が、出た有毒ガスが原因で死亡した事故が発生し、大問題になった。しかもこれが伝わると、これを故意に行うやからというのも又おり、残念ではあるが自殺に用いるということが、問題になった。臭気も伴い恣意的な他殺ということはないようだが、巻き添えにより障害事故はあったわけで、十分問題になるレベルである。

トイレ用洗剤には、排泄物を取り除く「塩素系漂白剤」と水あかなどを取り除く「酸性の洗剤」があり、落ちる汚れが微妙に違う。効果的なことを考え2種類のものを混ぜて使用した為にガスが発生した。これらは家庭でなにげなくおいているもので、実際あまりにも各々普及しており市場からの排除は事実上難しい。
この表現は比ゆ的な使い方もする。人間でも一人ではそこそこというのだが、集まるとどでかいことをするとか、喧嘩して周りを巻き込むのもいる。そうでなくて増長してやっちまうのもおるわけで、このコメンター2名なんかは、危ないエロ発言が各々のっかるということを考えると、まさに危険な組み合わせなんだなあ。

さて技術者としてお恥ずかしいのだが私、先日トイレの掃除を珍しく行った。鳴れぬことはしないほうがいいのかもしれないが、塩素系漂白剤をたまたまつかっており、水で流した。そのあと食事をし(1時間置き)、今度は備え付けの塩素系洗剤(成分は希塩酸である)をつかったら、、どうも流せなかった元の薬剤があったらしく、いきなり異臭が・・・ゴホゴゴゴホ・・・。
そうなのである、意図せず「まぜるな危険」を無視したのである。まず外気をあけすばやく避難したが、元来通気のいいところでもあり、すぐおさまった。
---------------------------------------
まあ、これを安全工学の面から見ると、一般ユーザーの通常の行動が以前なら問題ないのに、意識の変化や環境の変化(時に取り扱いノウハウの伝承の途絶)を予見・推察できなかったケースとして言われる。
しかし其の対策として、当該製品が普及しておりいまから市場から退出することが現実的でなく、代替品がないことから、『2つのタイプの容器は外見が類似しており、警告表示も見にくかった。この後、「混ぜるな危険」という警告文字が採用された』のである。
このような家庭用化学メーカーの研究者からMOT研究者に転じた中村 昌允 氏(東京農工大教授)は近著(http://www.amazon.co.jp/%E6%8A%80%E8%A1%93%E8%80%85%E5%80%AB%E7%90%86%E3%81%A8%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E2%80%95%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%97%E3%81%A6%E9%98%B2%E3%81%92%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E6%98%8C%E5%85%81/dp/4274068722)でまさに、自分の業務経験からの本件記載を試みており、セミナーでも語られている。このことでは、私もいつも背筋が伸びる思いで聞いている。
市場のニーズから見ると、企業がとりうるのはあくまで市場に普及していることを前提にすると以下の2つである。
(1)市場にて広告し全部回収・・・・・ニーズが高い製品のため市場に代替品を供給する必要があるが、現実には早期に市場展開可能な達成技術がない。
(2)明らかに其の製品のリスクを明確化した宣伝・広報を行う。・・・・・この企業は塩素系の漂白剤を作っていないため売れ高が低下することで市場から実質上排斥される。
実際には、洗剤メーカーは(2)の手法ををとり、また同業他社も追従した。たしかに一時的には当該製品は売れ高が極端に落ち、一部には撤退する同業もあったようだが、淘汰されたあとには、やっぱり代替品がないということで売れ高はもとにもどったという。
---------------------------------
これはただし、代替品がないということが前提であって、代替品があったり代替品が無くてもその使用者が少なくて無視できるボリュームだと簡単に消え去り・・・ということがある。
六一〇ハップという80年近く販売された、薬効が高い入浴剤では硫黄が主成分であったが、硫化水素ガスを(やはり意図的な薬剤混和で)発生させた自殺への使用が社会問題となり一時販売自粛した。一般用医薬品だから販売者もある程度の資質があるはずで、洗剤よりはそれなりのリスク管理された販売ルートが確立されていたが、自粛終了後も販売の見通しが立たず(専業でもあって)薬剤メーカーとしては廃業し、業務転換した。
愛用していた人間が知人におり、皮膚疾患にくるしんでおり薬では治らない経緯からこれが欠かせなかったのだが、この欠品には相当困っていたようである。また同等品としては草津温泉ハップというものがあるが、なんとこちらも固定顧客以外への販売は休止しているようである。(こちらはある温泉での温泉偽装問題などに絡んでしまったためともいえる)
要するに同様の製剤は市場から消え去ってしまった。上述の(1)の手法ををとることは可能性が無く、また(2)の方法をとるには企業の体力がもたなかったようである。困った皮膚病の知人は、最近は体が悪くなると仕事を休んで草津温泉など硫黄泉に療養しに行くしかないという羽目になっている。かくて彼は「それなら草津温泉で塩素系のトイレ洗浄剤がないかというと、一応どこでもあるんだよね」なんてぼやいている。ちなみに、草津温泉の湯は基本的にはPH2の酸性低張性高温泉であるが硫黄泉なども見受けられ、事実硫黄鉱山が近所にあった時代もある。
このように市場のボリュームがどちらに既に形成されて、それが確定されているかというのは、現実的な判断基準となると理論的や将来的にどうであろとも、事項の判断に対し不公平なジャッジメントが起きる要因になりうるのであろう。余談であるが某カメラメーカの不正にともなう上場維持と、某IT企業においての不正にともなう上場廃止という差異はなんなのかという議論が出てくるのも、根源にはこのような既にある資源が抹消可能か抹消不能か、資産が有体資産(土地・設備など)か無体(ソフト・運用など)という差なのかと思う。

上記の新刊本は長年の指導実績に基づいた記載が多く、きわめて勉強になったが、私は其の研究の学徒としてごくたまに、「ちょっとちがうのでは」と思う項目がある。(1)と(2)はその倫理性においてはどっちもありうるが、総合的リスクを背負えるのと背負えないという資本構成の違いと、それを容認・管理できる社会の資質によって異なる。
多分、社会教育がうまくいかないとか使用言語が混在しているとか、社会教育が徹底できない民度のところでは「混ぜるな危険」という警告はいくら言語をあわせ警告マークにしたところで徹底できない。(ただその代わりそのような民度のところでは、問題が起きても社会全体が元来リスクが高い環境であり、事故発生が埋没されるため問題にならないことはあるんだろうが。)其のあたりの研究内容としては、供給製品の忌避や代替品転位、逃散行為(医療以外の立ち去り型サボタージュ)を含めた内容が必要であるはずのデータを、単純に比較するという内容が目に付いた。
専門家でないと難しい視点であるが、そこまで読み込む必要は普通はないことで、皆さんには得るものが多い本である。最近の「原発リスク」について考える人にも、一度目を通してほしい本である。

|

« ロマンスの有様 | トップページ | 手首が痛い(1/2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100146/54267074

この記事へのトラックバック一覧です: まぜるな危険:

« ロマンスの有様 | トップページ | 手首が痛い(1/2) »