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そば2題

各地で駅そばを食べることは多いが、どうしても最近出向く静岡県内でそばを食べると、こういう味付けもあるのかと感じることがある。
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一般には、静岡県内で「かつお出汁に濃口醤油」の関東風、三重県は名古屋の影響の強い北部でも薄口醤油による関西風のつゆが主流という。愛知県内でも、東三河地方(豊橋市付近)では、静岡県と同様だが、尾張地方(名古屋市など)・西三河地方(岡崎市付近)では味醂等の甘味が強いかつおだしベースのつゆである。そして、米原駅の立ち食いそば店は、薄口醤油と昆布の風味を生かした、明らかに関西風のつゆの立ち食い店であたっという。つまり「関ヶ原」が東西の境目になっていると言える。このような見解は種々の調査結果がある。
この感覚は先日、名古屋にいった際、きしめんを食べてさらに感じたことであった。
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但し、沼津駅や三島駅・御殿場駅の蕎麦屋さん(桃中軒という駅弁の会社でもある)で食べるそばは、もちろん色からして関西のものとは大幅に異なるが、いざ食べてみるとかなりの違いがある。

(1)だしが甘い
この店の売りであるとの触れ込みだが、関東風の風味ベースであるがかつおの味はともかく、甘みが極めて強い(砂糖なのかみりんなのかわからないが、みりんとすると相当使用量が多い)。かつおだしが強いのは海産物がリッチな地域の特性のもあるのだろう。なお駅前の別の蕎麦屋でもこの傾向がある。
(2)てんぷらが極めて薄い
これは他の地域にもあるのだが、あまり油っぽくないが単体で食べてもまったく食べ応えがない。浸してふやかして食べるものである。なお海老のかき揚げなどになると、他の地域とはそうはかわらない。
(3)ネギ
ネギは関東の青ネギ系の長ネギでなく関西で使われるのに似た細ネギ(万能ネギ)である。静岡県のそばはこのネギを入れるらしい。ただし、店によってはこのネギが凍っており、だしを上からかけることで融かしているようである。
なおそば自体は冷凍ではなく、比較的そばらしく太くて、駅そばのレベルとしてはおいしいものである。もちろん関西のようにうどんでさっぱりと・・・とならないのは自明であるが、食べた後で水がほしくなってしまう感じである。

これが、熱海まで行くと静岡というより、関東風(また熱海駅はJR東のエリアである)しっかり濃い口。すなわち会社の境界は文化圏の境界であり、そばのダシの境界となる。実のところ熱海から沼津方面への通勤通学は普通にあることで人的流通はあるのだろうが、この人の流通は丹那トンネルができたことによって生まれたものであるらしい。ちなみに伊東に行くと沼津と似たようなそばが出てくるようだが、これは修善寺方面からの人の流通があったかららしい。(今は本数がなくなったが以前はこの間に結構バス便もあった)
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一方正月に私は親族が住んでいる滋賀県大津市の坂本というところに行き、蕎麦屋さんにいってきた。当地には日吉大社という神社があり其の門前に「日吉そば」という名物そばがある。
比叡山で断食の行を終えた修行僧たちは、弱った胃を慣らす為に蕎麦を食していた。(ちなみに坂本は山を降りた老年の僧が暮らしていた宿坊が多くある)比叡山延暦寺は昔から天皇家が御座主(宗派の長)としていたが、他方山上では食物も不自由な為、累代の祖先がそば調整の為山上で献上したらしい。このためなんと「宮内省御用達」の看板が店の前にあり、そばの店舗自体登録有形文化財である。
このため、坂本というところはこれらの宿坊・ひいては比叡山の門前町として栄え、今も延暦寺に行くケーブルカーの発着がある。また、日吉大社の門前町でもあり、この地は重要伝統的建造物群保存地区でもある。比叡山の領地の関係からここのそばは信濃の系統をのこしているとか。
ちょっとこの当たりは面倒なことも在る。
本家の鶴喜蕎麦は支店を持っているが、ほかにも鶴喜蕎麦という名前の店は近郷にあって法人が異なる(比叡山の上にあるのはこの別法人)。また隣接地に「日吉そば」という店名の、こちらも古くからある蕎麦屋さんもある。司馬遼太郎が、本家の「鶴喜蕎麦」を目指して来たが、間違えてこの隣接地にある「日吉そば」に入ってしまうくだりが「街道をゆく(叡山の諸道)」にあるのだが、では、日吉そばがバッタモノかというと、これはこれで明治時代からある古い店、手打ちでおいしいそばには違いないそうである。親族は「私はこっちのほうが好き」といっている。鶴喜蕎麦は「田舎系そば」でで日吉そばは「更科系そば」とか言うそうだが、いずれにせよ信州の影響があっるという。
関西の標準的なそばの出しにするとやや辛いし黒いのがが、之は之なりに評価できるものである。(逆に「にしんそば」はない)

そばに限らず、地域食材は一杯あるのだが、それらが交通の影響で消え去るとかいうことは一切起こらないように見える。(実はそのなかで画一化は微細ながらも起こっているのだが)よくいう市場経済の拡大により世界の一体化は進んでいるが、それが無限大に生じるという前提で経済活動を推進するのには当然リスクと問題点があるということは前提であろう。どう考えても三島と大津では一緒のものを食べていることにならない感じが残る。

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