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アリの視点・キリギリスの視点

イソップ寓話に『アリとキリギリス』というものがある。英語では、The Ant and the Grasshopperなどと表記される。いろいろな表現があるが、概略以下のようなものである。

夏の間、アリたちは冬の間の食料をためるために働き続けている。一方キリギリスは歌を歌って遊び、働かない。
やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからない。そこでアリたちに頼んで、食べ物を分けてもらおうとするが、アリたちには「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだ?」と断られ、キリギリスは餓死する。

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大概、一概にさぼってると困るぞとは言っていない。こと日本では「将来のことを考えずに行動すると、その将来が訪れた時に、困ることになる。将来の事を考え、働ける好機を生かすことで、長期的に大きな効果を得ることができる。」という見方をするのが正鵠であろう。

但し、その国に生息する動物や昆虫に置き換えるほか、民族の価値観によって話が作り変えられているというのがあるんだそうな。

激しい異民族闘争に生きてきた人々の倫理観だと、「非常事態に備えた者は助かる権利がある」とう見方がある。これはまあわからなくもないが「備えていなかった者は亡ぶ義務がある」という視点で「アリはキリギリスが飢えて死ぬのを待って、その死体をも食べ尽くした」という説話の終わり方のほうが多いという。非常事態への備えというのは、今回の地震のためのようなまあ確率的に極めて少ない内容のためにに、貧しかった時期でも現在の消費量を犠牲にすることを意味しているわけで、日本の古来の名君とかにもあるのだが、他人の蓄えを襲う可能性さえあるキリギリスは集団全体の滅亡につながるという視点は、長野県の一部にはあったという話も聞くが、本邦ではそうはないだろうし逆に欧州での記載には最後の教訓には入っている事例が多いようである。
英語版の最後には「夏に音楽を奏でて忙しかったなら、今度は踊ったらどうだ。こう言って蟻たちはキリギリスに背を向けて仕事に戻って行った。人生には働く時と楽しむ時があるのだ。」という結論になっているという話もある。世界にはキリギリスの生き方をそれなりに善しとする民族もいる。アメリカの教科書ではキリギリスは冬になってもアリに食べ物を求めず、反省して今度は必ず準備しよう、と誓うところで終わるともいう。これは、自立心と自己責任を養い「強い個人」に育てようという意図がうかがえる。同じ話でも本邦の解釈は仏教由来や儒教に由来するのか、「優しい人間関係」や「集団の大切さ」になる。
またイソップ寓話は古代ギリシャの奴隷の人生訓、処世術ではともいえる。世界にはキリギリスの生き方を善しとする民族もいる。この説に立ちアリは奴隷たちで、キリギリスは使用者であると仮託したら、この伝承の骨子は単なるあてつけともいえる。(イソップは古代ギリシャの奴隷であったといわれている)
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関根勉がたまたまあるときにいっていた記憶があるのだが、実はキリギリスってのは実は非常に浮き沈みの厳しい世界にいたという見方をしたら・・・という意見がある。企業で一生懸命働いているなど、こつこつ働き・・・働かざるを得ない状態であって、結果的に蓄積は個人としてはないのだが、社会がそれをシステムとして蓄えることがされている。一方歌を歌ったり、フリーや個人単位の自営でやってる人は一見派手だが、社会がそれをシステムとして蓄えることは頭から期待されていないし、それができるような形ではない。従ってこういう見方は日本であればこその解釈ではとおもう。
まあ、そういうと、アリは奴隷たちで、キリギリスは経営者となった場合(上記のあてつけ)でも、経営者の経営能力で外部要因により経営者が破産状態にあるために奴隷や使用者が意図しない苦労をしているということもあるという「類推」もあるとおもう。
アリの視点、キリギリスの視点、どっちにとっても視点が異なって相容れないのは奴隷制の時代ではそれでよかったのだが、資本主義というなかでは、この立場の齟齬の固定化は幸せを生み出すことはなかろう。問題はアリの視点・キリギリスの視点どっちを各自が取る(私たちが取るという総意という形でなく)かという選択枝があることを知って、其の上の判断を各々が典拠を持ってしないと、いわゆるイノベーションが発生する余地がなくなり、社会が進歩しないということよりも、社会が閉塞状態になるともおもうのである。

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