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企業一式3500億円

ある意味神奈川県在住者には地元の話題です。藤沢と小田原に大きな工場あるんでね。
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日立、HDD事業を3500億円で米社に売却     2011年3月7日(月)22時2分配信 読売新聞 
 日立製作所は7日、ハードディスクドライブ(HDD)事業を、HDD世界最大手米ウエスタン・デジタル(WD)に約43億ドル(約3500億円)で売却すると発表した。
 日立は03年に米IBMのHDD事業を買収し、一時はHDD世界最大手となったが、収益の変動の大きい同事業を切り離し、経営資源を原発や鉄道など社会インフラ事業に集中する。
 日立は現金35億ドルとWDの発行済み株式数の約10%相当の株式(2500万株)で売却する。関係当局の承認を経て2011年9月末までに売却手続きを終える方針だ。日立は取締役2人をWDに派遣する。
 日立のHDD事業は当初、赤字が続いていたが、需要増とコスト改善で収益力は改善していた。日立は、今年上旬にもHDD事業子会社を米国で上場させる方針だったが、WDが好条件を示したことから売却を決めたとみられる。
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IBMから買った時期には、BMからの買収に約20億ドルという巨額を投じて、もう儲からないものを・・・と思っていた人もおおかろう。事実一時期は赤字が続いた。
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 この子会社、日立グローバルストレージテクノロジーズ(HGST)は、日立が2003年に米IBMから買収した(これが日本では藤沢事業所)、日立自体も大型のHDDをもっており(というか大型電算機用として残っていたわけで、この2つはそうテリトリーがぶつからない)

そのうち、生産拠点の見直しなどを進め、相当苦労して08年には黒字になった。注意しなければならないのはこの会社、あくまで米国法人の会社であるため、日本の経営指標などの慣習や手続きにとらわれずに動くことができるという特徴がある事だ。HGSTをアメリカでの上場で段階的に持ち株比率を下げていく道筋だったのだが、意外と競合相手だったウエスタン・デジタルが高く買ったとかいうことかもしれない。しかも日立が筆頭株主となるわけらしく、売却というよりは合理的運用のなかでたまたま「売却」に見えたというのか、資本提携の一形態という見方もできる。

 日立はもともと投資によってじっくり技術と人材を育てて、創業者利益を得るビジネスモデルをずっと採り続けているが、これは慣性重量も大きく、NEEDに従って顧客の予測できない需要に対応するのが不得意である。(家電に対して儲けるスキームは、顧客のニーズに対応した新製品の創出というより、技術開発に関するロードマップがきわめて長いものを作りこむということが人材育成・蓄積でも得意である。逆に、この視点が強いから関西の家電大手さんのやり方に対しては、儲けるのはすごいが、企業としての倫理観にはなじめないし、協業は金銭ベースでしかしたくないいう愚痴をいやほど聞くのである。儲かる以前に企業の社会的価値をどうとるかが基本的に違うのである。
そのため、トレンド対応的な視点で、HDDのような市況の変化が激しい分野はすでに自社対応をするべき商品とは認識していないようである。だからといって、鉄道や原子力発電システム、スマートグリッド(次世代送電網)など、海外での社会インフラ事業に注力するのが無条件に勝算ありとしてるようではないともおもうのだが。
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但しHDDに対してはあんまり競合相手(たとえばほとんどの事業がぶちあたる海外のコングロマリット)に合弁をするのは社内の士気をそぐのも事実である。そもそも、数十年にわたってじっくり技術と人材を育てて、創業者利益を得るビジネスモデルをとるのでは、それ専門の人材・技術資料・研究機関とのコネクションがあるわけで、それを単純に縮小とすることで社会に放つことは、今までの蓄積をとして人材や技術を流出させ、研究機関とのコネクションを失い、事業継続のスキームを崩してしまうところか、競合相手を勇気つかせてしまう。この状況では相手先を見つけず、独自に持ち株比率を下げていくしか、事業スキームの維持が「日本では」できないということに気がついたのであろう。事実このような仕事の整理は、こと日本企業では人材流出と、競合相手への付加価値向上への進め方加速という、皮肉な状況になっていたのである。(欧米のスキームと違うのは、質の高い人材を押さえ込む資力が日本企業には既にないということもある。)
しかもHDDの中の部品がほとんど日本企業が全世界に供給している(例:日本電産・TDK、NHKニッパツ)ということもある以上、こことの関係は企業の間の関係悪化を促してしまう。縮小再生産でしか成り立たせられないということもあるし、また商品化自体でなく支援技術に関しては、それ自体は技術として売れないが蓄積があり、付加価値という見えない製品力に寄与するということかある。つまり専業メーカーウエスタン・デジタル社とくんだからこそ、このようないい関係ができたということである。
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一方、ウエスタン・デジタル社はもともとアメリカの大手機械・電子機器製造業エマーソン電機に支援をされて創業時は気を吐いたが、途中で一時的に支援がなくなるなど基礎的な開発原資を得るのに苦労している。(偶然だが最近エマーソン電機のモーター部門を上述の日本電産が買い取るという情報もある。なお電子機器として日本エマソンという販社があり、時々私もここの製品を使っていた)。更には一時は同業のIBM(その昔のHGSTの源流)まで支援を仰いでいる、日本ではないような話もあった。
要するにウエスタン・デジタルとしては、そもそも利潤確保が極めて不安定(多いときはとても多く、少ないときは大赤字)な業界においても、資産的な安定性を求める必要性があり、そのなかで日立の投資可能な資産の授権可能性と、以前を知っているIBMの技術と関連性のある商品群との結合、さらに品質面では評価が高かったHGSTと、安価に製造できる製品群も選択できるウエスタン・デジタルのセットは(同じ米国法人でもあり)お互いに補って余りあるわけだろう。
特段大きな株主を持たなかったことで財務が鉄壁ではない、ウエスタン・デジタルに経営陣を送り込むことが出来(実際に社長は米国人だがHGSTの出身となる。会長がウエスタン・デジタルの人。ほかにも役員をいれるらしい)さらに日立は10%株を持つ筆頭株主となる。
研究開発資源の脆弱なウエスタン・デジタルにはその開発陣容を払拭できるチャンスができたわけである。他方日立は経営資源を集中できる上に既存技術・技能を競合他社に無為に流出しなくてもいいし、かつ、日本的CSR・企業の永続性が極めて強く評価されてしまう日本の環境でも問題がなく移管できるということである。
もちろん市場占有率が容易にふれるのがHDDの特性ではあるのだが、今の市場でみるとウエスタン・デジタル+HGSTの市場占有率は49%というこえまた微妙に利得がれられる値。これは、独占ではないが十分価格設定能力が得られ、お互いに価格のダンピングで疲れている業界のなかでも価格支配権をもち、有意な利潤を得られやすいともいえる。
さらにHDD自体が記録媒体として新たな用途に再度評価されている側面もある。つまり既存の製品にHDDを組ませるということは免れないが、一応影響下にHDDメーカーがあるということだ。こうなると、人材の永続性雇用と永続的活用を社会のコンセンサスとして持たなければならない日本の事情を、うまく組ませたものだと思っている。
残りは日本工場のある程度安定した雇用維持(研究開発の継続)を望むものである。
とはいえ、この規模の日本企業の中では財務基盤が弱いのも日立Grなんだが。

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