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案がない(1/2)

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風土計  2011.2.8 岩手日報
▼東北経済産業局の幹部から先日、高校新卒者の就職先を示す資料を見せられ、がくぜんとした。東北、九州から猛烈な勢いで若者たちがいなくなっているではないか。
▼もう少し正確に言うなら東北各県の中でも宮城県は出入りが均衡、九州も福岡県は県外からの就職が県外への就職を上回る。富山、石川、福井県など北陸地方も比較的地元就職率が高いのが目を引く。
▼若者たちの「入超」がズバ抜けているのが東京都、神奈川県などの首都圏だ。愛知県、大阪府、広島県も移入が流出を上回るが、一人東京だけが圧倒的な力で若い頭脳とエネルギーを吸い付けている構図だ。
▼東北経産局幹部は「だからこそ、東北は企業誘致が重要。自動車産業のさらなる振興を」と力説するが、何か変だ。既に長年にわたって県や市町村が競って工業団地などを造り、企業誘致には力を入れてきたからだ。
▼この数十年間、地方は、東京一極集中の是正も叫び続けてきた。にもかかわらず、ますます若者たちが東京へ吸引されてゆく。このまま少子高齢化が進めば地方は持たないだろう。
▼8日から県議選立候補予定者への説明会が始まる。若者流出の一事が示す通り、地域は存亡の危機に立つ。こういう時代こそ地方の未来を開く志の高い人物が続々出てきてほしい。
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これを読んだ記事があって、なかなか示唆に富む内容である。もちろんこれは、元の記載に対し更に独自の解釈をしている記載を見ることもできる。下記するのもそのひとつである。
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もはや「地方から若者がいなくなる」のは前提では 2011.02.15 23:30:00 by 夕刊ガジェット通信 谷川茂
 出張や観光で地方に滞在する。テレビをつける。全国ネットのワイドショーやドラマの合間に、地方局が制作した番組やCMが流れる。聞き慣れない方言や素朴な構成を楽しく見ながら、日本も多様なんだなあと思ったりする。
 テレビだけではない。新聞にも地方紙があり、地元に密着した記事を掲載している。そして、多くの地方紙は、朝日・読売・毎日などの大新聞よりも、地元では読まれている。ネットでも「47NEWS」というサイトで、地方紙の記事が読める。
 今回は、岩手県の地方紙「岩手日報」(2011年2月8日付)の「風土計」というコラムを取りあげたい。内容は、就職する若者が東京に吸いあげられて、地方が空洞化しているという話である。
 コラムでは、東北経済産業局の幹部から見せられた高校新卒者の就職先に関する資料を見て、記者が「がくぜん」としたところからはじまる。東北や九州から「猛烈な勢いで若者たちがいなくなっている」からだ。
 若者の行き先は、東京。就職で別の地域へ転出する人数よりも、転入する人数のほうが、ほかの道府県よりもずばぬけて多いのだという。こうした状況について同幹部は、「だからこそ、東北は企業誘致が重要。自動車産業のさらなる振興を」などと、まぬけなことをいっている。ちなみに東北経済産業局とは、経済産業省内の一組織である。
 日本の製造業は、精力的に生産の拠点を国外に移している。その流れが加速することはあれ、減速して日本に拠点をもどすことなど、いまさら考えにくい。ましてや、自動車産業は、生産拠点を海外に移している急先鋒ではないか。
 コラムの筆者は、このまま若者が東京に一極集中すれば、「地方は持たないだろう」と予測する。そのとおりである。地方の空洞化は、もはや是正の余地がない「前提」として考えたほうがよかろう。その上で、地方に何ができるのか、が問題なのだ。
 自動車の工場を誘致すれば、若者が地方にとどまる……。経済産業省の幹部が、そんな若者をなめきったことを考えているようでは、地方に未来はない。 
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この夕刊ガジェット通信の記載は元原稿からの省略をしているところがある。恣意的にはしていないのだろうがかなり問題の取り上げ方がちがうようである。
「九州も福岡県は県外からの就職が県外への就職を上回る。」というのは福岡にという記載もあるが、今最近のところでは他の地域から動いてきた自動車工場での急激な人員吸収が結構効果を挙げている。これは九州の筑豊地域は過去の経緯で賃金が低い割には都市的な環境にも対応でき、かつ国内需要よりも国外需要対応がやりやすいという側面があるという。上記の記載だけでは「福岡市内およびその周辺」というところのみの見方をされているようであるが、だからその事例を考えると、あくまで近視眼的には自動車をターゲットにする工場誘致は間違いないといえる。では岩手という場合だが、ほかの県に比べて自動車関係の立地がすでにあることから、「自動車産業のさらなる振興」というのは少なくとも秋田・青森・山形に関しては成り立たなくても、岩手の場合まだ可能性があるほうなのであろう。なお宮城も自動車系の事業が最近来ている。
もちろん日本の製造業は、精力的に生産の拠点を国外に移している。日本に拠点をもどすことがないかというと、中国に対しての場合コストメリットが減少しているものもあり、多少は戻ってくるとは思う。その意味で都市部の自動車関係の企業体は研究・開発・試作試験に直接かかわる形になると考えると、いくらかの現地生産品はあろうが、プロトタイプ的生産は残らないわけにも行かないので、少なくとも日本企業として自動車メーカーがあるうちは(この仮定が問題なのだが)このストーリーはある程度は成り立ちうるのである。
ちなみに自動車周辺の工業立地まで言われると、少なくとも岩手県中南部、宮城県、福島県中通り・浜通りは既存の企業が一応定着しており、これらがむちゃくちゃな状況にはまだなっていないので、生産というよりハブ工場の立地環境はまだなくはない・・・・。
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という、から元気の言葉を書いたが、それ以前に、若い人に地域に対してこだわる気持ちがさらさらなく、育った地域に定着する必要性がうせているのは感じる。TVでもあくまで都市の生活のアンチテーゼとして田舎の生活は語られているのである。また若年者にかかわらず現金収入の内容がだんだん乏しくなっていくと、それなりに日々の金銭を得て生活を成り立つことがむずかしいという現実がある。
一次産品の価格は海外の輸入との差別化は品質でということになるが、品質の維持の可能な要素は多大な人力(人件費とは言わない)がやはりかかるわけである。したがって労働集中型による生産量の増大で生活費を同じレベルまで維持するという方向性になれば、地方で人員の雇用が薄くなるのはまあありうるだろう。つまり同じ地域で同一の価値創造(生産高と等価である)としてもあながち間違いではないなら、その地域で生活水準を保ちながら生きていける人の数は必然的に減少していく。
では岩手県ではこのような潜在的問題のある産業の問題を回避するためどのような産業をもってくれば、地元にとどまるのかというのであるが、そもそも鉄鋼業(釜石)も工場規模の大型化や生産過程の変化で、需要家の近いところに工場立地を設けなければ成り立たない。岩手県ではほかの鉱業由来の産業は軒並み壊滅しておりその結果、地域を離れるという人も多かった。つまり、自動車の工場を誘致すれば、若者が地方にとどまるというストーリーではなく、自動車の工場を誘致すれば、若者が地方にとどまるための工場を考えた場合、自動車の工場ぐらいしか確実な成功事例が説明できないという消去法の議論のほうが本質なのではないか。手が下せる手法は見つからないのだが、ないということになれば地域の衰退を指をくわえてみるしかない。地元にすがることを是とする人は、少なくても特段の事由がないとか、家業にそれなりに可能性があるという以外はわらをもつかむのは自動車関係・・・となってしまうのであろう。更に、「東北経産局」では農業推進の話は出てこないし専門的問題は説明できないだろうしね。
だから、経済産業省の幹部が、そんな若者をなめきったことを考えているというよりは、彼ら、官吏の権限でできる策はし尽くしてもあり、もういい案は出てこないという社会的な動向ということの手詰まり感の文章かもしれぬ。(続く)

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