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廃線(2/2)

(承前)
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再建議論 廃線も視野  (2011年2月2日 読売新聞)
 府や兵庫県などが出資し、深刻な赤字経営に陥っている第3セクター「北近畿タンゴ鉄道」(KTR、本社・福知山市)について、府は、新年度に兵庫県や福知山市、同県豊岡市など沿線7市町の代表と有識者を交えた検討会を発足、抜本的な経営改善策を考えていく方針を決めた。経営効率を高めるため、運行の減便や、一部路線の廃止も視野に入れ、議論するという。(上野将平、森秀和)
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 府交通政策課によると、検討会では
〈1〉電化区間の福知山~宮津~天橋立(延長34.8キロ)
〈2〉宮津線の東側(宮津~西舞鶴、延長24.7キロ)
〈3〉宮津線の西側(天橋立~豊岡、延長54.5キロ)に分けて、経営の現状を分析。

 これまでは路線の存廃にまで踏み込んで議論することはなく、もっぱら利用促進のための施策に力点を置いてきたが、2008年度以降、急激に経常赤字が膨らむ事態になっており、一部路線の廃止も選択肢として、経営のあるべき姿を考える。路線の廃止や減便した場合、経営効率がどう向上するかも試算してみる。
 KTRは2009年度決算で7億1570万円の経常赤字を計上。うち宮津線が約7割を占めている。なかでも主に過疎地を走り、走行距離も長い宮津線西側路線(〈3〉)で厳しい状況が続いており、検討会の議論でも、この路線のあり方が最大の焦点となりそうだ。
 また、KTRに対しては、赤字補填などのため、府、兵庫県、沿線の7市町が毎年、経営対策基金を負担。
 ここ5年で、(京都)府が11億7500万円、兵庫県が5300万円、京丹後市が3億3500万円、豊岡市が7600万円など、全部で24億8100万円が投入されており、財政難に悩む各自治体にとっても重荷になっている。
 検討会は来年3月のダイヤ改正を見据え、今年9月頃に結論を出す見込み。
 検討委では宮津線西側路線の立て直しが大きなテーマとなるが、仮に廃線や大幅な減便が実行されると、KTRが唯一の鉄道である京丹後市と与謝野町が“陸の孤島”になる恐れがある。
 上り線では宮津・舞鶴・福知山方面への通勤・通学に影響が出るほか、下り線では、京丹後市から豊岡市へは、京都、兵庫、鳥取3府県が共同運航するドクターヘリの拠点でもある公立豊岡病院への通院や、学校に通う生徒たちの「生活の足」を直撃することになる。
 観光でも豊岡駅は極めて重要だ。JR山陰線とつながり、観光客が鉄道で丹後観光と城崎温泉をセットで考える場合、欠かすことができない。豊岡市内にある、もう一つの但馬三江駅も兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園の最寄り駅で、昨年2月、同市が駅舎の改装を終えたばかり。
 KTRの中島茂晴・経営企画部長は「経営状況は厳しいが、京都、兵庫北部を結ぶ生活路線、そして広域観光の足として大きな使命を担っている。自治体とも今後のあり方をよく協議し、経営改善に努めたい」と話す。
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こ前のとあわせた2つは似た側面があると考える。培養性のある鉄道の維持までは保てなくなったという側面である。
今度は困ったのは高速道路という影響があきらかにあるのが、直接的には綾部宮津道路だけであるため、効果算定が難しいことである。
この地域はもともと繊維産業が盛んでそれに伴い、交通流動が形成されてきた。これが(2)(3)であるのだが、近年高級繊維品の需要が極端に低迷し(海外に移動したというのもあるが、それより和服の需要減少が大きい)地域は精密加工などのほうにシフトしているものの、工業立地はどうしても遅れ気味である。(京阪神では新たな工業立地は滋賀県に偏る傾向にある)一方自動車のニーズはどうしても増加していくのは免れず、これに対応したのが高速道路との並行線となった(1)であり、国鉄からの転換後の新設区間である。この過去の投資、そし赤字計上の理由となる特急用新製車両の減価償却という痛みはあるのだが、この地域での宮津市付近の交通流動は一応鉄道での活用実績が維持できたといえる。だからといって決して需要が大きいというわけではないし、限定された要求が分散されたことで収益性が低くなった側面があるのだが、この結果大阪や京都への高速バスがあまり存在価値を発揮しないという側面もあった。KTRの存在がある程度政策的に考慮されているとも言える。(とはいえ、京都と京丹後市間人(たいざ・・・と読みます)には、鉄道が末端部でない(ただし駅からのバスは多くある。今も駅をハブとして機能させている)こともあり、1960年代から長距離バスが走り、高速道路に付け替えて一定の需要はある。)
事実、この地域から舞鶴にも、福知山にも行くのに対してはバスなどの交通機関はすでになく(もともと育っていなかったようである)、競争相手になるのは自動車だけである。必然的に学生輸送などはきわめて鉄道への依存度が高い。しかしこれがくせもので、絶対的に学生の数は減っている。更に通勤輸送は自家用車になっている以上に、以前から地域に軽工業があって、その産業構成が変わった結果、自宅の近くに住むという場合が多いため、近接した工場(繊維が基盤であったことが、逆に精密機器組み立てなどに向いているという産業上の系譜には乗っているという視点がある)に勤務する程度自体の徒歩・自転車程度の交通流動しか生じないというのである。
ここでの問題は天橋立~豊岡間である。ここが赤字の根源となっており、そのために自治体は「駅を人の集まる存在にする」ということから、駅の整備を積極的におこなったものの、そもそも産業の構造変化により鉄道を依存する必要はまず貨物・鉄道に必要ないと考えられる経緯もあった。
更にたちの悪いのは、地域輸送のニーズと遠距離輸送(対京都・対大阪)にニーズが一応ともにあり、地域交通とまったくトレンドや車両の運用から機器までが異なっていることである。これらは乗換えを促すこと自体で顧客が逸走するということもあるため、共用化できそうなのにできないという問題がある。
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「KTRが唯一の鉄道である京丹後市と与謝野町が“陸の孤島”になる恐れ」は、ちょっと感覚的には変な気もする。じつはバスと鉄道の関係が割りと従来スタイル(鉄道と鉄道の培養)で保たれており、そう大きな市場の食い合いをしていない。(峰山-宮津の間にはいくらかバスがあるが、経路が異なる。)そのため丹後海陸交通(与謝郡与謝野町 阪急阪神ホールディングスグループ)ににより代行が効くということがいえる。与謝野町はすでにその先の伊根町などに行くバスが割と列車にあわせてあるため、(1)(2)においては今でも一定の供給があり大きくは問題にならないと考える。(ただし、豊岡側は全丹バスがすでに並行路線を休止している)。ただ廃止となると波及効果が多きすぎ、時間的な問題で若年者の遠距離通学ができなくなることで、単純に親御さんクラスの人口流出が促進されるという側面は想定される。
問題は3億3500万円と鉄道敷設距離に対して1/8の大きな支援・支払いをしている京丹後市(総額では京都府の支援が一番大きいのだが)にとっては、事実上新たな産業の呼び込みや観光ルートの設置が絶たれることになるというのは免れないのである。
一度京丹後市にある電機メーカの製品を使うことになり、上司と工場調査にいくことがあった。(このときは10人ぐらい一緒だったのでワゴン車を天橋立駅につけてもらった記憶がある)。会社の人にそれとなく聞いていたが、工場の従業員はほとんどが近所の人であり(設計などは遠隔地でやっているため人的交流はほとんどない。)通勤には鉄道を使う必要がない人がくるんだといわれた。
そして買い物は高額なものに限り、終日かけて京都や大阪に行ってしまうことになるらしい。このときは駐車場のこともあるからか公共交通機関を使うのだそうだが、それでも天橋立や福知山まで自動車(ただし近所の人と相乗りということにはなりがちだそうだ。まあ意見には個人差があるのだが。
運行手法を福知山ー天橋立-西舞鶴で運用し、分割併合にかかわる工数を削減するなどで、運行分離を図るなどの手法をとるのは現段階ではひとつの手法ではと思う。その意味では列車の連絡を意識しなければならない旧態依然の運行を取っているようなので、全体的な見直しはかなり可能性があると考える。
もうひとつは、(1)のルートに当たる区間が架線下DCになっていることで、これはJRの電車の車籍編入+保守委託という形にしても移管し、ここで捻出する気動車を老朽車両との交換などが行われうると思う。
どう考えてもJR的な鉄道運輸手法から逸脱できない。また残念ながら合理性と最適顧客満足度の追及などの姿勢が持てない経営陣がどうしてもこの鉄道にはかかわってしまい、また変化の存在を阻む社会環境、貧しての窮せずという現状へのあくなき執念が沿線住民にも強いのではとおもうこともある。このようなことを言える第三者の意見を持つ人材(特に民営企業経験者)をもつべきではあろうが、今のままでは現状維持意識が強すぎるという意見は私は車両設計の方向性などを見ても感じるところがある。第三者人材の確保、これがこの会社には必要かもしれない。

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