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案がない(2/2)

(承前)
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風土計  2011.2.8 岩手日報
▼東北経済産業局の幹部から先日、高校新卒者の就職先を示す資料を見せられ、がくぜんとした。東北、九州から猛烈な勢いで若者たちがいなくなっているではないか。
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▼もう少し正確に言うなら東北各県の中でも宮城県は出入りが均衡、九州も福岡県は県外からの就職が県外への就職を上回る。富山、石川、福井県など北陸地方も比較的地元就職率が高いのが目を引く。

▼若者たちの「入超」がズバ抜けているのが東京都、神奈川県などの首都圏だ。愛知県、大阪府、広島県も移入が流出を上回るが、一人東京だけが圧倒的な力で若い頭脳とエネルギーを吸い付けている構図だ。
▼東北経産局幹部は「だからこそ、東北は企業誘致が重要。自動車産業のさらなる振興を」と力説するが、何か変だ。既に長年にわたって県や市町村が競って工業団地などを造り、企業誘致には力を入れてきたからだ。
▼この数十年間、地方は、東京一極集中の是正も叫び続けてきた。にもかかわらず、ますます若者たちが東京へ吸引されてゆく。このまま少子高齢化が進めば地方は持たないだろう。
▼8日から県議選立候補予定者への説明会が始まる。若者流出の一事が示す通り、地域は存亡の危機に立つ。こういう時代こそ地方の未来を開く志の高い人物が続々出てきてほしい。
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前述の岩手日報の記者による分析では、「一人東京だけが圧倒的な力で若い頭脳とエネルギーを吸い付けている」と書いている。情報格差ということもあろう。ただしこの情報格差はITで解消できるものではない。つまりIT技術であるレベルの情報格差が国内ではなくなったのだが、その結果コアな情報でIT的なものにのりにくいもので差を得るしか差別化による価値創造と利潤確保が得られなくなる。つまりITで情報格差を地域間でなくしたつもりが、コアなところの情報の価値が相対的に上がってしまうため、東京近辺に集中することになるのである。またその知的資産の創出による価値が、実態生産物の価値より高くなっているのだがら、微小な譲歩格差と時間距離でこの知的生産物の価値が滅却してしまうのであろう。
このようなことを考えると、地方の空洞化は、もはや是正の余地がないと想定し、それを前提にして地方にとどまる人の経済的活動を考えるという視点で考えなければならないということに、落ちつくしかすべがない。
地方は、東京一極集中の是正も叫び続けてきたのは、その土地にかかわっていくしかないひとになる。もちろんさっさと見限った人もあろう。是正を図る手法はさまざまあるのに成り立たないのは、知的財産などによる価値創造以外に利潤を得る手法が既に閉ざされているという実感が、目の前に現実として示されているという認識であろう。
ただし、若者たちが東京へ吸引されてゆくとしても、ある程度の年齢になって郷里に戻るという形は実のところあったはずである。このまま少子高齢化が進めば地方は持たないだろうとはいうが、生産人口はこのようなUターンがあれば人口の減少はそこまで急激にならないはずである。そして子供がいる人でも小さいならば、その地域の出身とみなせるサイクルが生じ、緩やかではあるが老齢化の進行はなくなるはずである。しかしそれさえもない。
岩手日報では、最後に「地方の未来を開く志の高い人物が続々出てきてほしい。」という文言で閉めている。しかし、価値として対価が期待できる産業が知的産業で、知的産業は限りなく人の多い世界でこそ活用され価値を発揮するとなるなら、地方の未来を開く志の高い人物はいてもその実現には既存の社会自体の自己否定にかかわるというジレンマに気がついたら、かなりの割合でドロップアウトしてしまうことになるのではないか。
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ところで、じつは人材供給基地として地方が生き残るというのは、ある意味健全という認識もある。資産価値が極めて低くとなっても、その中で極限まで人が減ったところで、たとえば荘園的な活動ができるとかで、それなりに金銭的にも都市部とはまた違った差異が作られる村ができるとかあれば、創業者という形で生きる手段もあろうし活性化とまではいかなくても、村落の有効活用はできると考える。けどこれを実施するには代替わり(つまり40年以上のサイクル)がなければならず、このてんで拙速だったことで、過去の改革はことごとく頓挫していると思う。
それ以上に問題なのはじつはある程度人が戻ってきている村のほうだったりするのである。
もどっても過去の産業がすべて価値を生じない産業になっていたような地域の場合、都市に行った人が都市にあふれて戻ってきたということはやはりあるようだ。ところが、戻っても継ぐに値する産業が既に壊滅しているという場合もある。その状態であっても食い詰めてきた人が結構戻ってくるということになってしまうと、地域に不労家族が増えてしまうということが、積年の結果起きる地域があるらしい。
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というのをある地域に家庭の事情で戻った人が私のところでぼやくのである。この人は家業(農産物加工業)を継ぐため戻らざるを得なかったが、戻ってすぐ町会議員に推されたらしい。(ただし、町議会議員はずーっと無投票だったとか。つまり余り活性化していない町なんだそうである)つまり若い人がたくさんいても、意欲のある人などが既にいなくなっているということで、・・・・社会自体の現状維持のモチベーション確保さえ厳しいというのが彼の悩みのようである。最も、ごく最近まで地方は都市における雇用の調整弁というかアキュムレータとしての機能を果たしていたということはある。それを考えるとまったく今までと代わりはないというのではあろう。しかしこのところになると、戻ってきた人もある程度心あり、意欲ある人は、近くの主要都市に行く(Jターンというもの)ことになって選択の幅を広げる可能性があるところを選ぶのであるが、彼が言うには、ぼろぼろになってしかも何も余裕がない状態になった人が戻ってくるのであるが、これらの人は多くはもう新たな仕事をするという気力自体もなくなって戻ってくるというのである。内向きの、ネガティブな発想しか話がすすめないという人が固まったら、もう少しでも変化が生じても、変化を受け入れないことが是となってしまい、それがますます地域の貧困を招く結果、新しいものへの取り組みが遅れるということになってしまうのであるらしい。
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つまり、前述のように何か変えよう、何か変えないでいこうという判別をその折々にできる地域においては、先の新聞の論評は当を得た判断をしているのだろうが「県議選立候補予定者への説明会が始まる。若者流出の一事が示す通り、地域は存亡の危機に立つ。こういう時代こそ地方の未来を開く志の高い人物が続々出てきてほしい。」と纏めたところに、そもそも他力本願的な突き放し方を感じて、もしかしたら天才の出現を期待するような確実性の担保できない願望レベルのお願いとして書くしかないという、諦めを持っているとさえ見える文なのである。

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