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マニュアルは英語

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中国「独自開発」高速鉄道の不思議、マニュアルはなぜか英語だった―英紙  2010年12月25日(土)23時11分配信 Record China 
2010年12月23日、英紙フィナンシャル・タイムズ中国語電子版は、記事「中国高速鉄道は英文マニュアルが大好き?」を掲載した。
中国各地に一流の技術を持つ高速鉄道が次々に登場していると中国鉄道部は発表。しかも完全な中国製であり、中国人エンジニアチームが開発したと強調している。なるほど、この中国が知的所有権を保有する高速鉄道の開発者たちのレベルは、中国鉄道部の宣伝以上のようだ。なんと新型高速鉄道のマニュアルは中国語ではなく、英語で書かれている。
これは中国高速鉄道最初の運転士である李東暁(リー・ドンシャオ)をたたえる宣伝資料によって明らかになったものだ。李氏が自ら語ったエピソードによると、2008年の北京・天津間高速鉄道開通前、「君に運転は習得できない」というドイツ人エンジニアと賭けをして、わずか9日間で英語マニュアルを翻訳。運転をマスターしたという。
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気になるのはなぜこれほど先進的な高速鉄道を開発した中国人エンジニアが、わざわざ英語のマニュアルを作って、中国語しかできない運転士に見せたのかということ。本来ならば、シーメンス、アルストム、ボンバルディア、そして川崎重工など外国企業の技術を「消化」し「国産高速鉄道」と名乗る前に、マニュアルを翻訳しておくべきだったが、忘れていたということだろうか?
今、中国は海外市場に「国産高速鉄道」の販売を始めている。米国、オーストラリア、ブラジル、タイ、サウジアラビア……。将来、導入が予定される国の運転士には果たして何語のマニュアルが提供されるのだろう。(翻訳・編集/KT)
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うーむ。この見方はもんだいですね。

完全な中国製であり、中国人エンジニアチームが開発というとはいえ、このクラスの車両になると用語などは、必ずしも中国語に翻訳されるべきとはいえない。多分半導体素子(IGBTなどのスイッチング素子)はまだ中国では完全国産とは行かないだろう。もっともその段階で回路設計にかかわる「使用ノウハウ」は蓄積されているのであるから、難しい。
中国語はまた、方言が結構まだあるのも問題である。中国国営のTV(中国中央電視台 CCTV )での報道番組(事実上国家の公式報道をかねる)は字幕が下に流れるのは、アナウンスだけでは通じないからと聞く。聞くと中国語は、地域によって発音の差が激しく、普通話をリスニングできない者も多いが、書き言葉の差異は少なく、広い地域で標準語が理解されるとはいう。このため、中国語圏の映像作品には、中国語の音声に対し中国語字幕が付いていることが多いとか。しかし、専門用語に関しては、日本でも技術導入の際には一般的にあることだがどこまで共通化されるかは難しい。このような段階では、機械の保守や管理は中央による管理でなければならない。そして運転手はもちろんそれなりの技能をもって居る人が選定されているのであろうが、指示に対して的確にということになると中国語がベストかどうか。このようにいくら中国語が普及していても技術的指示などは語彙が確立されている言語のほうが、的確に伝わるのである。
つまり技術を普及させるためには、語彙などの共通化がなされていない上に、また管理部門が現状では中国国鉄だけでの普及のみしか必要がない場面では、英語でのマニュアル製作は必要十分ということになろう。つまり、外国企業の技術を「消化」し「国産高速鉄道」と名乗る場合、技術の導入に対しては英語を用いて運用するということに割り切れば、それは社会のハイソが使い運用することに限る場合はひとつの手法である。先進的な高速鉄道を開発した(剽窃したとはいわないが)中国人エンジニア自体、英語のマニュアルをベースにして運用することが有効だと信じている可能性がある。
さて、中国は海外市場に「国産高速鉄道」の販売を始めている。
米国、オーストラリア、ブラジル、タイ、サウジアラビア……。将来、導入が予定される国の運転士に提供されるマニュアルが・・・となると「正本は英語」になるだろう。じつはこれ自身はまさに米国が販売してきた海外仕様の電気式DL(今でも貨物用のDLはアメリカからの輸出は多い)でも英語の取扱説明書しかつけないものが普通である(しかもメンテナンスマニュアルは「これが故障したらこう変えろ。発注は以下の電話にせよ。001-1-*-***-****)ということと同じになるわけである。そしてこれらの現地向けマニュアルはユーザーが別途オプション発注ということが多いのである。(なお、日本からの輸出の場合は委細の入った現地語翻訳をつける。これは、ODAなどで機器を導入した場合、事後メンテナンスの際に個々の業者から技術者滞在費用をとることが、実際には難しいという現実的な側面があるようだ。)
つまり、英語をベースに構築したということは、国内での使用はあくまで建前で、基本は輸出を意識した設計をしているという視点で考えるべきではなかろうか。そして、タイでは翻訳を付属した仕様を受注するとかサウジアラビアは英語を用いる人材しか採用しないとなればそれですむ。うーむ・・・・これは戦略的だ。ある意味怖いなあ。

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コメント

突然のコメント失礼いたします。

「輸出を意識した英語でのマニュアル作り」は興味深い解釈ですね。将来はアメリカにも鉄道が普及するかもしれませんし、英語というコミュニケーション手段を中国が身に付けたら、もう日本が付け入る隙はなくなってしまいそうです。

投稿: アステカ | 2011年1月 2日 (日曜日) 05時12分

あけましておめでとうございます。今年も考えさせられる記事で勉強させていただきます。
さて、コンピュータの進歩で即時翻訳機器が普及すれば、もう英会話の勉強は不要、読解オンリーで良くなるのかなぁ、などと自分の都合の良いように考えています。読み書きと会話が切り離された場合、言語がどう変化してゆくのかということも興味あるところですね。

投稿: niwatadumi | 2011年1月 2日 (日曜日) 21時39分

本年もよろしくお願いいたします。
さて、「中国鉄道省は米ゼネラル・エレクトリック(GE)や仏アルストムと鉄道技術で相次ぎ提携し、国境を接する東南アジアや中央アジアへの延伸や、米国での高速鉄道プロジェクト受注を政府ぐるみで有利に運ぶ戦略だ。」http://sankei.jp.msn.com/world/china/110102/chn1101022040002-n1.htm
というのがありますよね。困ったのはGEは電機についてはそこそこの水準を持っておりアルストムは元来車体の大手メーカ。

となると発想・目指すものはは一緒でしょね。
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>読み書きと会話が切り離された場合、言語がどう変化してゆく
これは、私もきになることです。(それ以上に私の言語能力があるかはともかく)

投稿: デハボ1000 | 2011年1月 3日 (月曜日) 12時11分

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