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問題意識の違いであろう(3/3)

(承前)
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BBC側、日本大使館にも謝罪 二重被爆者の不適切放送で 2011/01/21 20:42 【共同通信】
 【ロンドン共同】英BBCテレビのお笑いクイズ番組「QI」が広島と長崎で二重に被爆し、昨年死去した山口彊さん(長崎市出身)を「世界一運が悪い男」などとジョーク交じりに紹介した問題で、「不適切だ」と抗議していたロンドンの日本大使館に21日、番組プロデューサーからの謝罪文が届いた。(後略)
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さて、たまたまここまで書いて、しばらく置いて旅行に出かけたのですが、帰ってみるとこういう記事。
加藤祐子さん(翻訳家)による記載です。
1:http://news.goo.ne.jp/article/newsengw/world/newsengw-20110125-01.html?pageIndex=1
2:http://news.goo.ne.jp/article/newsengw/world/newsengw-20110125-01.html?pageIndex=2
なるほどねえ。この記事で取り合げられてるのはわかります。
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(司会者): でも僕が何に驚いたって、広島に原爆を落としたのに次の日には鉄道がもう動いていたっていうのが。だってこの国だったら……。(略)
(ゲスト): 枯れ葉が何枚か落ちただけで、もう終わりだ。(訳注・イギリスでは英国鉄道が列車遅延の理由として、落葉や「the wrong kind of snow(雪の種類がダメ、違ってる)」と説明して国民に馬鹿にされるので。これに引っ掛けたジョークが以下続く)
(中略)
これは日本とイギリスでの「笑い」に対する感覚の違いだと思うのですが、イギリスのコメディというのは、世の中の現実をありのままに赤裸々に語ろうとする表現方法です。世の中の様々な「負」を、バカバカしく奇妙でネガティブなものを、アイロニーを通じて浮き彫りにしようとする手段です。日本で思われているほど、題材そのものがアンタッチャブルだというタブーはありません。弱者・被害者をわざと傷つける表現方法は、もちろんタブーですが。
-----------------------終了
なるほど。原爆に2回あってそれでも90歳まで生きて社会に原爆の問題点を伝えたというのはこの司会者には強者(きょうしゃ)であるという視点か・・・。何を持って勝者としているかという認識に対して、これは
「世の中の様々な「負」を、バカバカしく奇妙でネガティブなものを、アイロニーを通じて浮き彫りにしようとする手段」と加藤氏は書いているが、これは私は身分社会的地位の固定化などで、結果的に笑い飛ばすしかないという現実への諦観もあろうな。

同じことは国鉄に対しても言われる。国鉄(というか運営会社。ある意味JRに近い)の運営がずたずたになっており、しかし資本投下のまずさと、資本優先の社会論理に従った関係で、現状維持どころかモチベーションが職員から失われ、軌道の修理・車両の保全さえできなくなっていることも同じ諦観状態でしょうな。
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英鉄道事業の優先交渉権、日立製作所の獲得に怒りの声   2009年02月14日 14:01 発信地:ロンドン/英国 
【2月14日 AFP】失業率上昇と景気後退に苦しむ英国で13日、75億ポンド(約1兆円)規模の都市間高速鉄道車両の製造・保守事業に関する優先交渉権を、日立製作所が参加する共同出資会社が英運輸省から獲得したことについて、一部メディアや反対派から怒りの声が起きている。
 日立製作所は12日、英大手ゼネコンのジョン・レインおよび英バークレイズ・グループと共同で、英運輸省から都市間高速鉄道車両の製造・保守事業に関する優先交渉権を獲得した。
 共同出資会社「アジリティ・トレインズ」が、ロンドンと西部を結ぶグレート・ウエスタン本線、およびロンドンと北部を結ぶイースト・コースト本線に「超高速列車」を供給することになる。
 入札に敗北したカナダ、独、英の企業による共同出資会社は、この決定に「非常に残念」とする声明を発表した。
 英大衆紙デイリー・エクスプレスは「Fury as Japan gets our jobs(日本が職を奪うことに怒り)」との見出しで記事を一面に掲載。「英国人労働者のための英国の雇用」を保護するとのゴードン・ブラウン英首相の発言との対比を強調した。
 アジリティ社によると、金額ベースで全契約の70%は英国内で行われ、2500人以上の雇用が生まれるという。ジェフ・フーン運輸相もまた、関連して新たに約1万2500人の雇用が創設されるとの見方を示した。これに対し、この数字に疑問を投げかける反対派や一部メディアは、日立が山口県笠戸に持つ鉄道車両工場で契約の大部分が行われるとの懸念を示した。
 一方、20-30年間運行してきた現在の高速鉄道車両を置き換える計画に日本企業が参加することについて、同国メディアは批判的な論調一色となったわけではない。
 タイムズの論評解説は日本の新幹線にも言及し、「この高速鉄道車両は最上であり、乗客は恩恵を受けることになる。堪能すべき時が来た。英国の乗客は、安物のくたびれた列車での移動から、最高の列車で旅することになる」と述べている。英国政府の発表によると、同国の失業者数は増加の一途をたどり、現在2百万人目前となっている。
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国鉄DD12形ディーゼル機関車・名古屋鉄道DED8500形というものがある。
終戦後、日本にはアメリカ軍を中心とする連合国軍が進駐するに際し、鉄道は戦争末期の空襲などの影響で壊滅状態になっていると予想していた。そこで、日本国内における軍事輸送用に自前で機関車や貨車を調達しておいた方が良いと考えたアメリカ軍は、アメリカの産業用鉄道用されていた標準軌用のディーゼル機関車をベースに狭軌仕様として製造していた機関車を移送したのがこれである。(ここまで戦乱が激しいと、大概の国では鉄道システムが壊滅していたようだ。しかもこのように機関車までもっていくのは当時の戦争では当然の行為である。)
ところが、進駐してみると、日本国内の鉄道網は一応既存システムを維持してなんとかではあるが稼動でき、またシステムも維持できる能力が案外高かった。コスト面もあり以降鉄道による進駐軍向け輸送は、国鉄・私鉄が保有する状態の良い車両を徴発し、優先的に整備・運行させることになった。ただしこの機関車は信頼性・保守性・操作性に優れており、米軍から鉄道会社に払い下げられ、後のディーゼル機関車普及の見本となった。

つまり、この段階で「日本の運営技術がなぜかそれなりに運用されていた」というのは、当時の状況に加え、なんと今の英国・・・しかも「鉄道」を開発した国・・・では考えられな所業で、それがいま英語で話題になっている問題しかも失業問題までにかかわるということを考えると、この取り上げ方はなかなか難しい側面があるようだ。

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