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需要低迷というよりは商売の見方の差(2/2)

(承前)
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米エクソンモービル:日本国内のGS事業の大幅縮小検討 毎日新聞 2010年10月1日 21時13分(最終更新 10月2日 0時46分)
 石油業界最大手の米エクソンモービルが、日本国内のガソリンスタンド(GS)事業を大幅に縮小する方向で検討していることが1日、明らかになった。人口減や低燃費車の普及でガソリン需要の減少に歯止めがかからないためで、地域ごとにGSの営業権を段階的に売却していくと見られ、手始めに収益性が低い九州地区にある約400店のGSの営業権の譲渡を伊藤忠商事など大手商社系の石油販売会社に打診している。ガソリン需要低迷でエクソンの石油小売事業は苦戦しており、将来的に成長が見込めない日本でのGS事業から撤退する可能性もある。
 エクソンは全額出資の日本法人エクソンモービルを中核に「エッソ」「モービル」「ゼネラル」の3ブランドで全国に約4100の系列GSを展開。「エネオス」ブランドなどを展開するJXホールディングスグループ(約1万2000)に次ぐ規模となっている。
 しかし、ガソリン需要の減少でエクソン日本法人の業績(09年12月期)は売上高が前期比34.4%減の1兆3475億円にとどまり採算も悪化していることから、GS事業を縮小し、化学製品の製造販売など収益性の高い部門に経営資源をシフトさせることを検討しているとみられる。
 エクソンは全国で展開するGSの中でも収益性が低い九州地区(約400店)のGSの営業権の売却を急ぎたい方針で、伊藤忠商事や三菱商事などの大手商社系の石油販売会社に打診。交渉次第では、国内の他地区のGSの営業権売却も進める見通しだ。
 国内GS業界は需要減少に加え、価格競争の激化で収益が圧迫されており、各社ともGS統廃合を進めている。00年度末に全国で約5万3700カ所あったGSは08年度末には約4万2000カ所に減少。経済産業省の石油製品需要見通しによると、ガソリン需要は14年度に、09年度実績比で14.8%も減少する見込み。エクソンの今回の方針はGSの淘汰(とうた)や再編を加速させる可能性がある。【宮崎泰宏、米川直己】
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さて、この運営経費の縮減というところに対し、エクソンの手法はある意味合理的と考えられる見方であった。この考え方は今回も、「効率性と長期的視点を重視する同社グループの事業方針の一環」という言い方をしている。

(1)近隣スタンドの併合・再配置でスタンドの大型化
(2)セルフスタンド化
(3)中央統制型の販売手法の確立

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じつは(3)の手法によって、中小のスタンドの廃業(統合)を促した。ところが、これがうまくいかなかった。そもそも地域インフラとしてスタンドがあるとか、プロパン併売などの業務を行っているところが多かったことや、薪炭商由来で創業が長いという店舗がこれらに大して異を唱え、他の系列に移ってしまうということが促進されたり、地域によっては全部のスタンドが商社を変え、集約したくても集約する核となるところがないというのもあったらしい。これが多かったのが九州・中四国地域である。つまり、この段階で「効率性と長期的視点を重視する同社グループの事業方針」は強いトップダウンの行使であるということで、これが「効率性」というものが日本では企業の存立とはそう反するというイメージにあるといえよう。
そのいみで大型化したスタンドはその多くをセルフスタンド化できるようにし、これに併売システムを整える(たとえばコーヒーショップ)ことで商売をすることにした。これに関しては確かに収益性はUPしたのだが、セルフスタンドに関する機器の設置基準や決済手法の厳格化(アメリカのシステムに比べ企業経理などが厳格化されている事情と、税金収受(燃料油の場合日本はこれが最も面倒である)の問題で、これを合理化するためにはPOSを厳格に使い込むような機器を購入配置する必要が出てきた)ことから初期投資が意外と多く、相当大きなスタンドしか収益が取れないことになった。さらにコンビニに関しての統合は、ガソリン販売とコンビニ販売のノウハウが法規上の差異、POSシステムの互換性のなさにも影響するのか、自社運営ではうまくいかず、他社コンビニとの協業にとどまったといえる。(am/pmがスタンド用のコンビニブランドだったが、日本ではうまくいかなかった上に、コンビニ自体がある意味独自発展を遂げてしまったということも同じ側面がある)
さらに計算違いだったのは、(1)のようにスタンドの統合でひとつの地域のガソリン収益がそのまま移行すると踏んでいたのだが、こと日本ではスタンドの数が1/3に減ると、統合された販売燃料量も1/2(1/3ではないらしい)に減少するという傾向があったことである。つまり購買機会によtって需要が増大されている側面があるというので、これは市場飽和の典型例である。
もっとも生業ということで企業に永続性を求め、それを見たすことが社会の企業の存在価値というのは欧州の概念にもあるものの、逆に拡大する世界企業では否定されるところもある。その実でこの経営方針が日本では運用の限界があるのかもしれない。
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九州地区のエクソンモービルブランドのガソリンスタンドの売却となると、上記の伊藤忠商事(伊藤忠エネクス)や三菱商事(三菱商事石油)などの大手商社系の石油販売会社になるのだが、これらは独自ブランドで展開をしている上、これらは燃料油自体を卸している先でもあるので、合理的な選択である。特に伊藤忠エネクスは九州では活発な運営をしていること、反対に三菱商事石油は旧三菱石油の経緯でJX日鉱日石エネルギーと関連もあるため、たぶん私は伊藤忠エネクスへの委譲に落ち着くと考える。
これは同時にエクソンのブランド(「エッソ」「モービル」「ゼネラル」)にブランド価値がないと自ら認めていうことになる。大体スタンド同士の競合があって、「エッソ」「モービル」「ゼネラル」のブランドを打ってるものが同じでも統合できなかったというのもあるので、ブランド価値を統合でまとめることもできなかったようだ。(スタンド統合の際も障害になった)ただし、それに加え、他社のブランドにも優位性がないという判断をしているのかもしれないし、現実にはこの判断は正しいのではないか。この傾向はそもそも味とかで判断できるものでない嗜好性が少ないものであり、品質担保が図れているものこそ市場に出てきているということもあり「顧客は価格のみで製品を選別する」という特性が前提であるからである。
だからこそ独自ブランドに現地の経営を任せて卸に特化するのは正しいし、また西日本には「効率性」のある運営と企業の社会的責任がスタンドでは相反するという見方が強いことも、自分たちが扱っても無理があると感じた経緯かもしれない。また経営効率を上げるための投資・集約は店舗網の縮小では日本では商圏縮小につながる以上、経営論的な原理原則を適用するのは無理であり、フリート業者(運営業者のひとつ。フリートSSは、運送業者が専用カードで契約料金にて給油できるサービスを扱っているSSで、大規模の運営ノウハウと掛売りシステムを広域に持っており、物流業界に強い。ひとつのフリート業者でも元売業者は複数である。、「宇佐美」・「コーナン」・「鈴与」・「新出光」など)を束ねるようなところに任せることを意図したと考える。ある意味こここそが総合商社の得意分野だからね。じつは運営業者としてか、中間卸として委譲を考えているんかは今のとこわかりにくい。
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さらに、ほかの地域でも最低限の店舗はブランド維持のために残すことはあろうが、私は、エクソンもー^ビルは商社系の運営会社を前に打ち出し、基本的には石油精製工業の運営に集約していくことになろうと考える。化学製品の製造販売など収益性の高い部門に経営資源をシフトするにしても原油から精製するなかで、ガソリン分や燃料油ができない工程はないこともある。化学製品(潤滑油・溶剤)製造の際にどっちにせよ「燃料油」の「副産物」として生じるからである。
また、「現在35か所ある「セブン・イレブン複合併設店舗」の展開」というのも、現実にはコンビニまで飽和している結果、決して安泰でなく、販売ネットの維持ぐらいしか効果が得られないと思う。

かつて、エッソはブランドイメージの維持としてかCMで、スラッジが少なくなるガソリンという言い方をしていた。これは意外なことだが、いわゆる揮発分がガソリンの中に多い(いわゆるGAS)組成を販売しており、そも原油が軽質油だからこそであり、燃焼温度が高めになることから、このCMはある意味根拠が明確であった。(だからかエッソ系のガソリンは匂いがきついし、ポンプの性能も制限される。反対に旧三菱石油を筆頭にして、JX日石系は重質系の油が多い傾向にある)けどそれは、指名買いにつながらないことからみて、日本市場では結果に結びつかなかったのかなあと思う。

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