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ドミノ倒しになること

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日産工場操業停止の教訓、半導体の調達難で玉突き  (東洋経済オンライン 2010年07月29日掲載) 2010年8月10日(火)配信
 効率化優先の代償なのか。7月14日から19日にかけ、国内外6工場で3日間の操業停止に追い込まれた日産自動車。日立製作所が調達しているエンジンの燃料噴射を制御するユニット(ECU)が計画どおり納入されなかったことが原因だ。
 日立はECUの主要部品であるカスタムICを、欧州の半導体大手STマイクロエレクトロニクスから購入していた。が、7月2日にST社から、「7月の契約分12万個のうち10万個しか納入できない」と連絡が入った。
 急きょ日立の自動車事業の幹部がST社に飛んだが、納得がいく説明はなし。7日に連絡を受けた日産も突然の事態に対応できず、「自動車メーカーにとって大きな決断」(志賀俊之・日産COO)の生産ライン停止に至った。
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真相は明かされず
 日産の操業は20日以降正常化している。当該ECUを搭載した車種とそうでない車種が混じり合った生産ラインの調整なども行っており、この先もライン停止は避けられそうだ。しかし、ST社製カスタムICは「8月半ば以降の半導体調達を交渉中」(日立)であり、日立製ECU調達への不安は解消されていない。

 不透明感を強めるのはST社側の対応だ。メディアに「コメントできない」を貫くのみならず、日立に対しても原因を開示していない。このため、「半導体市況の急回復で需給が逼迫したため、日立向けを後回しにしたのでは」など、憶測が流れる。
渦中のカスタムICの7月分発注量は前月、前々月と同水準。4カ月前には両社間で受注量も確定していた。「カスタム品は信用が大切なだけに、意図的な契約違反は考えにくい。何らかのトラブルでは」(外資系半導体幹部)ともみられる。ただ、カスタムICの生産のリードタイムは数カ月。最終工程でのトラブルでもないかぎり、7月分を出せないことはもっと早くに判明したはずだ。
 日立は特定顧客の仕様に合わせて開発するため、今回のカスタムICをST社のみから購買。複数社から買っていれば被害は軽微だったかもしれないが、それは後講釈だろう。
 日産にも同じことがいえる。ジャスト・イン・タイム(JIT)でギリギリにまで部品在庫を絞っていたことが工場の即停止につながった。ただ、JITも集中購買もメーカーが世界的な競争を勝ち抜くためには必要な施策であることも確か。が、一方でこうした効率化は緊急時の「余裕」を犠牲にせざるをえない。
 効率と不測の事態への備え。最適なバランスを追求するためにも、今回の原因を明確にする必要がある。
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STマイクロエレクトロニクスは国際的な半導体メーカーであり、世界的にも優先的地位を取っており、最近はNOKIA社の半導体部門の自社開発中止をうけて取り組みを始めたりしている。この場合、「日立オートモティブシステムズ」が製造する「エンジン制御装置」(ECU)システムの納期の遅れにかかっているようである。特に、日立Grは自社製ECUの約9割を日産に納入しているということもある。(ちなみに「日立オートモティブシステムズ」は日産自動車系の部品会社を吸収合併した後継の部署を含んでいる。)

 不透明感を強めるのはST社側の対応だ。メディアに「コメントできない」を貫くのみならず、日立に対しても原因を開示していない。このため、「半導体市況の急回復で需給が逼迫したため、日立向けを後回しにしたのでは」など、憶測が流れる。

海外の企業においては、これを明示されないことは時々ある。確かに契約を守らなかったということで非難されていないが、契約社会ではこれを守らなかったというのは制裁の元になるわけで、このようなことになったのは説明責任があろう。
ただし、逆に原因を求めているとしても、たとえば工場の設備が故障したにせよ戦乱があったにせよ責任があると明治した段階で損害賠償になることになる。このため、日本企業のように原因を明確にして対応するということによるということは『お金のかけ方一つ』とされることもある。誠意をどうこういといっても通じない文化の違いがある。そもそもそんなに大切なものを発注するなら、なんでクロスで発注しないのかということ、かつ物流の責任を負わせるのは賠償額にするかなどの話しがあって、そのあたりの対応を問題とするなら国際購買をあきらめるしかないか、物流ストックを多めにするしかないといえよう。
さて、複数社から買っていれば被害は軽微などであるが、実際はICの中の構成・技術評価はおのおのの企業ごとにしなければならない。自動車部品の場合品質保証や特性把握を考えると、仕様をあわせても2箇所に発注するのはコストがかかるわけで、従前はそれでも仕様をあわせて併注をかけていた。そのころの場合、ラインダウンや不良品のリスクが高い時代は有効に活用できたのだ。
一方、最近はこのようなサプライヤーごとに細部仕様を公開してということは、相互に嫌がる企業のほうが海外では普通である。(保守技術に関する見方の違いもあり、メンテナンスでアッセンブリー交換をするほうが普通という考えも多い)そのため、すでにイニシアティブはST社にあり、そのようなラインストップなどに対しては責任をとらないといえる。しかもST社もほかに発注をかけようにしても選択肢がない強力サプライヤーなのである。
後もうひとつは、ECUの調達を日立1社に集中させたということの問題点であるが、ECUの機能は自動車の付加価値そのものであり、これもサプライヤーが、デンソーぐらいになってしまうため、技術が他社に筒抜けになることは想定される。となると、あくまで石をばらして発注するしか手もなく、投資回収を考えると、そこそこ規模の大きい企業に委託し、(しかも海外にも供給できるというクラスに頼む)運営するということが、定量的把握は難しいが、最もリスクの少ない選択ともいえるのである。
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じつは、系列取引によっって廉価な購買ができなくなったという問題もあって、(それだけではないが)そういう関係をなくしたのが日産で、これが当座は経理上の利益増と、資産価値の向上と投資の呼び込みに成功したのだが、反面、開発能力の低下(ゲストエンジニアの招聘などという、すり合わせ開発ができなくなった)を引き起こし、国外では既存製品の改良製品が製造できるが、新規製品を開発する能力が低下したという側面があった。
これとは違う側面で、このときの購買条件の切りつめが今でも遺恨を引いていて、購買条件がかなり切り詰められてしまう上に、人的つながりが立たれてしまうことが重なり、以前は鉄鋼会社から素材材料高騰の際に鋼板の支給を一時的に止められたりしたこともある。
したがって私は、そもそもJITシステムを強力に推し進めることは文化圏と、商慣習の重層性からできた側面があり、同格の企業が平坦に展開する契約社会では、開示義務を求めても(もし契約書面に書いても片務的とされるであろう)なりたたないと考えられる場合があるということを考える必要がある。したがってリスク回避は、ストック増加・適正在庫の積み上げ(JITの概念を否定するが)か併注という手法しかなかろうし、その意味ではラインストップというのさえ否定できないほど、日産が発注先が有意でなくなっていると思われているかもしれない。
ただし、日本企業への販売を納入条件の問題で行わないという企業が欧州に多い(アメリカでは少ない)というのもある。そういった場合でも日本企業からの購買はするというのもまた多いのであるが。
今回は鋼材のときの話とはモードが違うが、今後はほかの企業でも思わぬ部品供給を国策で止めるだけで倒産する、風が吹けば桶屋が儲かるのごとき、ドミノ理論の実践事例のような企業倒産が、多くでるかもわからない。

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