« 職場でのコミュニケーションが苦手だ | トップページ | 主観と客観 »

今読めなくてもいいんですよ

総合管理技術」という講義を工学部の卒業前の半期に選択必修で行っている学校がある。これは、なにかというと・・・

●. 経済性管理(事業計画・品質/工程/原価/設備管理 監理の数理手法)
●人的資源管理(人事労務管理・労働関係法と労務管理・人的資源計画・人的資源開発)
●情報管理 (通常業務や緊急時の情報管理・情報ネットワーク・情報セキュリティ)
● 安全管理(リスク管理・労働安全衛生・未然防止・危機管理・システム安全工学手法)
●社会環境管理(環境と社会・法制度・環境経済評価・アセスメント・組織の環境管理活動)

というわけで、実は技術士のある試験範囲にたまたま近いのである。(名前が少し違い、内容も純粋にいうと技術的内容ではなく、運営の上での問題解決ことに注意)
ブログランキング・にほんブログ村へ
さて、これらに関してはかなり高度なテキスト(国内の有名シンクタンクの著作)を使っている。テキストとしては、国内の研究機関としては非常に実績をもったところのものであるのだが、もともとこのテキストはきわめて難しい内容である(癖もある記載もあるが、そこは講義で補足しているのであろう)。とはいえ、これを網羅する有効な基本書が本邦にほかにないというのもわからなくもない。

講師は、全15回(90分)講義を4人の講師が4回ずつ行うが、この講師は企業の現役技術者だったり技術者を経験した経営幹部が交代で行うという。生々しい内容であるから、学生の興味も高い上に、アンケートや講義の学生による逆査定でも評判が高く、かれこれこの講義は7年間も行われている人気講義である
---------------------------------
ところがこの講義にはひとつ問題がある。というのはテキストが難しすぎるという苦情である。
そう考えれば、実感がわかない内容という側面があるのかもしれない。事例をふんだんに入れた内容だから、わかりやすいと思っていたのだが、そもそも社会人経験を持たない場合ぜんぜん未知の世界に学生たちははめられるために、わかんないということになってしまうんだそうな。

こまったことを聞くことが、最近の学生が苦手なことなんだそうな。私も感じていた。
一方で過剰なほどのプレゼンテーション至上で、そしてそれがないことには技術提案ができないという社会通念が普及している現在。内気であるが決まったことを突き詰めてこつこつ結果を出す人は、その結果が第三者から有効か有効でないかを査定されて結果を評価されるから、直接的な評価を社会からされない憂いがある。いくら大切な研究活動のスキルであっても第三者の評価が低くなりがちであるとか、成果の中間搾取をされる場合もある。その分、ある程度確定化された内容をプレゼンすることに徹する人は評価が高めに評価されるところもある。過剰な存在価値の訴えのほうが社会の評価が高くなりがちなのは問題であろうが、その分そのスキルに満たないと自己規制すると、質問さえしないというところに陥るという。 つまり、困ったことを聞く行為、聞く相手を作ることが苦手であるというのは、高度なプレゼン技術を見慣れ、その基準で第三者が反応し、不本意な質問だったら聞いたら叱責されるという反応に陥るのであろう。
だいたい、経験しなければ、それなりのプレゼン技術を得ることもできないし、そもそもプレゼンという手法は本当は雛形なんて存在しないのだが・・・

けど聞けないという心理状況をとりあえず肯定するなら、私はこの講義については、テキストは多少高度なものを選択していることを説明した上で、「ある程度たって、社会人で働いた時点でいろんな場面にあったときに読み返すための本でありこの講義はそのときに本の存在と、問題の考え方が示されている一つの事例があるんだと思えばいいのではないか。だから社会人になって赴任地にいって持っていると必ず1回はこの本を読みたくなる事態に出会う」と言えばいいと思った。
この問題を話ししてくれた技術者(いまは大学の先生でもある)にもそう話しをしてみたのだが、そういうとあまりにも先の事象すぎて(・・・って、講義の時期を考えるともうすぐ卒業なら、就職先が決まってる時期であろうが・・・)興味が持てないという生徒も出るという悩みもあるという。たしかに、そういう学生も居ないわけでない。特に「答えはひとつしかない」と考えたり「既知の知識にしか回答がない」という見方をする人は、実はかなりの割合で日本人の中に居る。それならばこういう話し方はいかがだろう。

デハボ「あなたは頭痛がおきたときに、薬を荷もうとするでしょうね。どんな薬をのみますか」
学生A「ノーシンとか、アスピリンとか、バッファリン、エキセドリンとか・・・・」
デハボ「はいはい、まあ、どれを飲んでも似たものと・・・て感じですかな。さて、翌日また頭痛がおきとしたら、またノーシンとか、アスピリンとか飲むことになりますが、もっと根源的な根源的なことも考えなければなりませんね。そういう場合、何を疑いますか」
生徒B「肩こりとか、目の疲れとか・・・・」
デハボ「そうですね。私は肩こりということが多いです。さてこのようにすぐ効果的な薬があるように、すぐ効く薬を使うことは、事態を悪くする前に何とかするという意味では有効です。しかし、本当の原因をじっくり直さないと、またおきてしまうことも多いです。この講義は、すぐに効く講義ではないかもしれませんが、これから社会人を30年以上やっていくのなら、そういう根源的な対策の必要性を感じる機会はおきるのです。格好私も火の粉を浴びました。そういうときのために、この本のイメージを講義で感じてください。」

あなたは高校の時の教科書、ないしは大学のときの教科書のうち必要なものを、手元に持っていますか?さもなくば、半生の友となる技術図書を身近に持っていますか?そして、半生の友をもっていますか。

|

« 職場でのコミュニケーションが苦手だ | トップページ | 主観と客観 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100146/49279867

この記事へのトラックバック一覧です: 今読めなくてもいいんですよ:

« 職場でのコミュニケーションが苦手だ | トップページ | 主観と客観 »