どういう意味での生き残り?
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金型の宮津製作所を買収 富士テクニカ 生き残り策 2010.9.18 05:00
自動車用プレス金型国内2位でジャスダック上場の富士テクニカ(静岡県清水町 JASDAQ 6476)は17日、同3位の宮津製作所(群馬県大泉町)の事業を買収し、12月下旬をめどに経営統合すると発表した。金型各社は金融危機後の自動車メーカーによる生産縮小や、円高の影響で経営環境が厳しさを増しており、2社は統合を機に技術開発や海外進出を加速させ、生き残りを目指す。
富士テクニカは、企業再生支援機構から53億円の出資と最大15億円の債務保証を受け、事業継承の資金に充てる。取引先金融機関に約31億円分の債務の株式化を要請し、有利子負債を軽減する。機構からの推薦で、スズキの元専務で現海外工場担当の和久田俊一氏が新社長に就任する。
富士テクニカは1957年設立で従業員は約450人。スズキやホンダ、中国メーカー向けに自動車の車体、ドアなどのプレス加工用金型を手がけるが、金融危機後の受注減や中国企業の台頭に押され、売り上げは減少傾向にある。2010年3月期の連結売上高は前年比18.5%減の158億円、11年3月期も13.2%減の137億円に落ち込む見通しだ。
宮津製作所は1950年に創業し、トヨタ自動車や日産、オペル、ルノーなど、大手向けに金型を作っている。売上高は70億円前後だが、ここ数年は受注が急減し、経営難に陥っていた。
自動車用の金型産業をめぐっては、昨年、国内最大手のオギハラ(群馬県太田市)がタイの自動車部品大手タイサミットの傘下に入った。同社の一部工場も中国企業に買収され、日本の技術の海外流出の懸念が強まっている。
今回の経営統合も、外資による買収攻勢から、もの作りの基盤を守るための防衛策の意味合いが強い。
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オギハラが使われ放題、転売し放題にされている側面には、もともと金型自体の技術構築がIT技術の進歩で現場でのノウハウとIT技術の分担の変化があるためである。しかし一方この技術を単発では使えても、システム的に使いこなせないというあせりも感じる。つまりこのIT技術・ノウハウを生かす社会環境があってこその金型産業のシステムであることが、あまり周知できていないと考える。
プレス技術は
●机上の議論・計画・研究がそのもまま生きるIT技術(その昔のニュアンスでは設計技術)や材料技術(最近は解析技術)と、現場オペレートの積み重ねで決まる側面が相互に絡み合う側面、
●運用を指導するとか、治具工具の設計製作を通じて最適設計を支援するコンサルテーションをつけた販売
という2つの側面がある。そこで自動車メーカーは自社技術である程度の計画をするが、それを金型という治具・工具にし、品質を保証し、その中のノウハウを受け入れることで金型メーカーの業務を活用していた。
こう考えると自動車部品を前提とした板金プレスという産業には垂直展開と水平展開があると認識されよう。もっとも、垂直展開と水平展開の前提を想定することはすべての産業にかかわることである。
日本においてのケータイの営業手法はキャリアと電話機・電話機との統合がある基礎的サービスということで4Grが今ある(PHS含む)海外はキャリアと電話機は切り離しており、むしろ電話機製造は水平統合で規模拡大をしている。
そもそもIT産業においてもインフラ系の構築に強いITゼネコンにぶら下がる垂直統合形が多くなっているのが日本である。(ゲーム系などではこの傾向が薄いが、影響はある)
また放送局と新聞がつながっているが、その新聞が複数系列あるという形は欧米では意見の自由化を否定されるものといわれる。これは新聞の購読者が人口比で多い日本(韓国もそう)という違いからも生じている。つまり日本は垂直統合で報道が進んだという見方もできる。
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このことはプレス加工でもある。
多くの自動車部品のプレス部品製造メーカーは、自動車の部品を受注すると、その内容、要求品質(これはいい製品ということだけではなくて、作業性やその塗装のつき方まで納入先のライン計画にあわせていくこと)にあわせて材料の郷土なども加味したプレス型の設計と製品確認、さらにこれらにくっつくほかの板金部品(ねじとか取るつくための台座とか)まで製造させ(他社にお願いすることも多い)、それらを溶接する治具まで作成していく、このため、これらの企業は金型や設備費用を自動車会社に請求をすることはするが、あくまで、利益の創出は製品の販売である。このためある特定の製品については材料から、自動車の組み立て直前の過程にいたるまで垂直統合をしている。
一方金型や治具に特化する場合は、自動車がメインであってもかなり幅広い顧客を持っており、製品は金型の設計(材料までさかのぼる)から、生産品への金型の品質保証であり、企業の利潤は金型をメインにした治具の設計・製作・技術コンサルティングである。そしてこれらは完全に生産に特化した形の中小企業であることも多いが、一方大手の自動車会社で一部の部品を工場の中で作りたいという場合に用いられる。これらは水平展開である。今回の2社は水平展開の幅広さで社会に貢献してきた企業たちで、微妙に得意分野や客先が重なっていない側面があるので統合しやすかったとはいえよう。
もちろん技術サービスが必要というほどでもない金型は売り切り販売をするが、それでは、金型メーカーとしては安価な販売となるため、付加価値をあげることが求められる場合はしたくない仕事である。金型メーカーが製品製造に展開する場合は、製品販売という加工費の収入で、一定の安定した企業収入を得るわけである。また反対に金型の製造から付帯サービス・付帯技術の展開にいたるというのは企業の経営戦略であり、どっちがいいか悪いかというものではない。
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中国で勃興している金型産業に関しては一時、安価で作るという側面が強調されており、国内の金型工業が打撃を受けていたのは事実。しかしこれは金型「売り切り」であつかうことで安価に見せている側面もあるため、安価だけど、その後の品質維持に関しては、ユーザーがよっぽどノウハウがないと使えないというものもあった。アフターサービスが必要なものを、アフターサービスや部品供給を薄くして安価に(したがって売り切りですむクラスの安価な金型は、日本企業では利潤が取れないともいえる)というのは、韓国でもかつて海外向きの製品でトラブルを起こしたという話もある。(韓国製の鉄道車両のアフターサービスを拒否したので以降発注停止にしたという会社がある。)
このビジネスモデル自体は、中国の企業同士で差別化をする場合にも必要で、海外企業のうち興味と資金があるところが買うのはまあ当然である。ただこのオギハラの技術を有効に使えるかは、金型に対する付加価値の求め方や、コンサルタント機能をビジネスにできる環境が中国にあるか(つまり知的所有権の考え方が低くなり製品販売により利潤に傾倒しているという考え)で変わってくる。
コンサルタント機能を付加価値として販売に結びつけ成功させたのが、オギハラが金型メーカーとしてアメリカにて評価を受けた理由であるし、また『金型というものは図面に忠実に作るものであり、金型のみで高いノウハウが入る余地がない』と考えていたアメリカの自動車企業が日本製の金型をかって、自社内ではその維持管理(これはそれなりに企業ごとの蓄積がある)に重心を置く方向性のほうが経済的かつ実利的と考えたのは、知的所有権の考え方もあろう。逆にこのようなノウハウを買っていくにしても、今までノウハウを持たないところが有効に使えるかは別問題である。
(もっとも、オギハラは北米では自社で垂直統合型の部品生産ラインをいくらか持っていた。プレスの一貫生産ラインをもって、プレス製品を販売していた。これは、国内では水平展開で商売になるが、北米では金型を売っても使いこなせないという企業が多く、メーカーの責任で部品製造することが市場や大口顧客から求められたという事情もある。ここが結果的には経営者が代替わりしたときに全体方針をふらつかせたということは、多少あるのだが。)
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外資による買収攻勢があっても有効にその技術が継承される保証はなく、そこでは技術の劣化の可能性が多い。しかしそのビジネスモデルは、一部では見直されている。国内(しかもこの統合で国内ユーザーはかなり占有率を上げる)を固めると、もの作りの技術基盤以外にも、金型の製造ビジネスモデルを確実にすることが、海外からの高級な金型の購買ニーズがまだ高いこともあり、収益性が維持できると考えたのであろう。さらにチキンレース(交渉において、複数の当事者が共に強硬な態度をとり続け悲劇的な結末を迎えてしまうにも拘らず、双方共に譲歩できない状況)状態での衰退を起こした他業界の観察結果もあろう。防衛というとネガティブに聞こえるが、この金型製造の水平展開を図るのが、独自性がありかつ全世界的には十分ニーズが高い『コンサルタント』ビジネスモデルと考えてわたしもこれを好感している。
もちろん技術は滅却するわけで、常に補充をかけていけなければならないが、ことこの2社は、技術開発などの能力は同業の中でも高い上に継続的な研究をしているほうである。つまり横展開の可能性が高い基礎スキルと、確実な顧客を持っていたことが、再生・生き残りにつながったともいえる。
生き残り策といって居るのは、企業の生き残り策と一瞬見えるし、技術の生き残りもあろうが、趣旨は「ビジネスモデルの生き残り・維持と進展」を支援するのが支援者の多くの意見ではなかろうか。
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投稿: スーパーコピー商品 | 2020年5月28日 (木曜日) 08時33分