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公益通報保護(3/3)

(承前)
もちろん通報業務を議論するに当っては、利益相反が必ずかかわる。そのなかで相反条件をどう切り分けていくかということになる。
この中で考えるべきことは、たとえば

道徳的意見と現実的判断の相反
意見の一致に関する現実的な限界
問題の要因分析をどれだけ行うか

という視点があろう。もちろんこれに対する指導ガイドラインは、問題をどれぐらい把握していくかという現実的状況把握のレベルを議論するというガイドラインが確立されている。
ただし、これらが分かっているため、逆に教材にすると「雛形みたいな答え」しか生徒が作らないのもちょっとつらい。また現実性がないということで、興味を持たない「単位取得のための勉強」に陥る場合もある。そのため私はそのものをなまで教材には使いにくいと思っているのである。
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さて話を戻すと、内部告発者の問題は、周辺の条件を組みあわせて決まる。
内部告発者にとっては、他社の機密情報を握る社員の引き抜きが不正競争防止法違反の疑いがあるという判断が絶対無二という見方があったのだろう。

しかし、この被害は無関係な第三者が不利益を被るわけでなく、また被害は公衆でもなく一部の企業が不利益を被るのみで、公衆の利益が損なわれると考えにくい。(間接的にはともかく)さらに、引きぬいたその人も被害を受けない。(ただし、公的職務の人間を引きぬいたのなら今度は公衆の利益が損なわれると考えることもある)。もっとも告発者とて、告発しないなら金銭的には不利益を被るおそれが少ない。法令違反になるとするならそのデータが不足している。となると、不利益の立証を明らかにする(証拠を担保する)のと、秘匿義務を持つ弁護士に事前相談しておくことが必要であろう。

O社にとっては、この報告だけでは不正競争防止法違反といえない状況であり、もしそうであってもそれを覆換えす権限を持たない機構であったことがあろう。もっとも、情報漏えいと、組織異動(つまり証拠の隠滅)では、内部告発者および第三者には異常に写る。その意味では、内部告発者に対する処遇マニュアルなどの基礎的構築ができていないのだろう。そこを手当てする必要がある。
また、これは確かに多くの企業にあるのだが、コンプライアンスヘルプラインは結果的に、総務部や人事部、法務部に設置されることから、経営から見て独立性がないことが普通である。このことから実は、社外取締役で弁護士資格者に当該業務を充当するか、外部の顧問弁護士にデスク業務を依頼するかという、権限分離を図った上でそこに第一次社内の報告をさせることにしないと、内部告発者の異動などに関しての歯止めにはまったくならないと考える。
これはアメリカなどと異なった雇用形態と、労働法規(雇用保険制度など)を慣習で持っている以上、他国事例にあわせたというだけでは、実態が伴わないことを示している。つまり、契約相手として企業に属することが前提で、契約満了が前提の世界と、コミニティーとして企業が社会に存在し、CSR確立が社会の存立条件の大前提であるなら、すでに汎用性がないとしかいえない。
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ただし、これは今後の審議で変わることはあろう。
T裁判官は主文だけを読み上げると、判決理由などの朗読を省略したということは、ちょっとこの場合、説明できない法律的解釈と倫理概念の差を想起したというきがする。控訴する方針を固めたということもあるし。

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