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公益通報保護(2/3)

(承前)
もっとも問題ある場合
(1)事業者内部の窓口  への通報が真っ先である。これが決まったのは企業に勤務している以上秘匿内容が必ずあるため、内部処理をすることが前提というのである。問題はその内部処理をすることで、不手際のある行為を行ったとは思うのだが、当然その告発のための意図しない処遇は受けることが前提である。というのは、その情報が有効であって、もし上司に事前通告をして拒絶されたということが先にあったと推察したとするなら、もちろん上司の資質にかかわるのだし(実はここでは上司の処遇が不明である)直接的にこれでこの報告者が優遇されたということは、むしろ反対に社内に管理能力がないことを示し、企業倫理として問題である。
(2)処分権限がある行政機関(3)マスコミや消費者団体など外部機関 というのはすでに機密行為を企業外に出したということに成り雇用関係を打ち切ることはやむをえないと解される(ただし、実際は社会的事情で雇用をつなぐことはある)
この場合、告発者にも、折衝のまずさはある。というのは維持されるのは雇用自体の確保(これが実は、仕事をささせなくてもいいということにはなる)だけで、地位確保は別なのである。また雇用者にはコンプライアンスヘルプラインの存在意義をまったくなくしたということにはなる。ただし、この段階では一見すると五分五分というところであろうが、トータルで、内部告発者が不利な扱いを受けているということに見える。
雪印事件にせよ、牛肉ミンチの品質表示偽装事件(いわゆるミートホープ事件)にせよ、告発者は結果的に自分の立場を崩して執務を行っている。内部告発のために企業を退職することを前提にすることをして、かつ影響を与えるという立場でないと動けない。これは内部告発という概念が雇用が流動化しているという前提で、退職して雇用関係がなくなり、秘匿義務が相互なくなったに近い状況になった前提で告発することが、告発者の経済的不利になりにくい環境でこそなりたつのである。(アメリカでも企業城下町などではこれが効かないことはある)
その意味では、内部告発はもろ刃の剣で、腹を切る覚悟の行為である。当然、自分を殺し、対象の人たち両方を傷つけるものである(ただし対象の企業をいうことは倫理的・時に社会経済的しか意味がない。もちろん内部告発の結果、公衆という不特定かつ多数のもののの利益ということに大きな価値があるという論理的思考を組立ているならいいのである。その段階で、熟慮に熟慮を重ねないと利得がないことは覚悟するべきである。したがって専門家でも躊躇するというのはここである。組織や社会全体を理解していない場合、内部告発を実行に移す前に、利害関係のない社内の人に相談するしかないだろうし、むしろそういう相手を作るにたる知見や、お付き合いできる相手をつくるのが近道になるのであろう。
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私は、この教材を用いることはあまりしない。(存在を示し自己啓発にゆだねる)のだが、全米プロフェッショナルエンジニア協会作成の技術者倫理の教材に「ギルベイン・ゴールド」というものがあり、好んで使う人もいる。(ビデオテープが 1989年に発行され、日本でも貸し出す機関がある)たしかにこれに対する教育プログラム。検討事例が蓄積されているのも事実である。しかもどうもこれの日本語吹き替え版があって声優さんが仕事の一つとしているというのもあるらしい。
架空の市である米国ギルベイン市を舞台に、技術者の責任、法の問題、企業の内部告発等について考えさせるための架空の事件の物語である。NHK教育の道徳番組見たいな感じがするが、実際はもっとサスペンス物チックで面白いそうな。

<経緯>ギルベイン市は、10年前コンピューター部品メーカーの「Zコープ社」を誘致し、市の行政として汚水処理場で、Zコープ社工場から排出される汚水を処理し、一方処理場に堆積した汚泥を使って肥料「ギルベイン・ゴールド」を販売して市の収入の一部としていた。
ギルベイン市は過去に税金の優遇政策を取ることでZコープ社の工場を誘致したものの、工場が操業を始めた後で、汚水に対する環境基準を国の10倍という非常に厳しいものにした。
このため、Zコープ社の工場はなんとか黒字を保っているが、それでもZコープ社はギルベイン市に多額の税金を納め、工場は多数の雇用を生み出し、ギルベイン・ゴールドの利益が市民一家族当たり300ドルにも相当するのも事実であった。
<案件>ある日、Zコープ社の若手技術者デイビッドは、工場の排出汚水に含まれる鉛とヒ素の値が、市の定めた基準値を少しだけ上回っていることに気がつき、会議で基準値を上回っていること、ギルベイン・ゴールドが鉛とヒ素に汚染されている危険があることを社内に発表する。
しかし市の定めた測定方法では精度が悪いため排出レベルが基準を上回っていることは分からず、また上回っているといっても多少であり、すぐに環境に影響を与える量ではない。「その対策費用は莫大であり、受け入れられない。市の規制は濃度規制であるから薄めれば良い。」という幹部の意見から、釈然としないながらも、彼の上司でや社長の言うままに隠してきた。
それから時が経ち、Zコープ社は日本企業と提携し、工場の大幅拡大と5倍もの増産に踏み切る。この事態をデイビッドは危惧した。友人と相談し、Zコープ社工場の排水が環境基準値を上回っていること、市の定めた基準値は汚水中に含まれる有害物質の濃度のみを定め、排出総量は定めない(つまり、有害物質の排出量が倍になっても、流す水の量も倍にしてしまえば濃度は同じなので規制に引っかからない)ことを情報としてテレビ局にリークする。

なんでここに日本企業が出てくるのかORZであるが、1989年というなら詳細事情が分からない位置にある企業ということでまああるのかなあ。確かに、汚泥で肥料を作っている事例は日本でもあるが、たしかあれは、生活排水と汚泥だったかな。(続く)

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