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食用油の分析結果が見たい(2/2)

(承前)
1か0かに二分法で議論する議論ですべてを判断することは、数値的や解析的理論構成とは違うのであるが、これは感性の議論でそもそも理論的や実証的見識とは相容れないものである。そこを反対者が議論に持ち込むと、そもそもプラットホームが違うから議論にならないのである。また、可能性が限りなく零に近いというのと零であるというのは、論理的にまったく異なるというのが科学での見方であり、感性依存ならありうる1か0の判断とはことなる。誤解を招くことを覚悟で言えば、アナログ指標とデジタル指標の差である。
まず、化学分析に即した理論で見ることを前提に続きを見てみよう。
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ちなみに、エコナに関する安全性についての議論は以下のブログで丁寧に解説されています。
有機化学美術館・分館「エコナの件」http://blog.livedoor.jp/route408/archives/51420248.html
このページの内容を大胆にまとめると、以下の通りです。

a)動物実験から想定される、ガンを発生するために必要なエコナの摂取量は1日27kg、一升瓶18本分。

b)ヒトと動物との間で発がん性に差がある危険性を考え、この100の1量(安全係数)を考えたとしても1日270g。

1日270gエコナをとることは、おそらく普通の生活ではないでしょうから、実質エコナの安全性には問題はないという結論になります。

このような議論は、厚生労働省へのトクホ申請時に、花王の社内でも行われているはずです(新薬開発の時と同じ方法論)。専門用語などをたくさん用いているので、社内の議論をこれほど簡明な書き方では表せないとは思います。しかし、一般の消費者に対して、よりわかりやすい表現を用い、数字を用いた明確な説明をする責任が、花王(企業)にはあります。

「当事者以外の一般の市民が、市販製品の安全性を解説しないといけない事態」というのは、あまりほめられたものではありません。企業の説明責任が求められる時代、一般市民に対する説明の仕方について、企業は今一度見直すべきではないかと考えます。

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原典である「有機化学美術館・分館」においては分子構造までおいかけた分析を読者の意見を取りいれながら展開しており、きわめて誠意があり好感が持てる。但しこのように、「当事者以外の一般の市民が、市販製品の安全性を解説しないといけない事態」というのは、ちゃんとした判断を花王さんはしてるのに、開示できないというのは、数値を第三者が解釈する怖さを考えてるのかもしれない。

たしかにてんぷらを食べたぐらいで270gの油を飲むかというと疑問である。あえていうとサラダにかけたということになるだろうが、これでは油漬であるな。(安全率という形で100倍のマージンをとっている。これは危険性が1%という議論とはちょっと違う。)マージンが1万倍とすれば、危険性は天文学的になるが、一日2.7gの消費(これはサラダにかけるならあるかもしれない)で危険ということになる。科学にかかわる人の感覚では非現実的でありえない議論であるが、感覚的に視点を持つ人が万が一という言い方をするとこれはダメということになる意見が出てくる。

そういえば環境庁が「内分泌攪乱作用を有すると疑われる化学物質」をリストしたら「環境ホルモン」の言葉が登場するようになったのだが、後に検証実験事実が蓄積されると、ほとんどの物質は哺乳動物に対する有意の作用を示さないことが一部に報告されている。この関係からポリカーボネートという頑丈な樹脂(透明性・耐衝撃性・耐熱性・難燃性がある樹脂。透明性もあり光学用途に使用することもある。サイトグラス、無機硝子の一部、象が踏んでも壊れない筆入れが有名。但し、アルカリ剤、溶剤では劣化。加水分解する場合も有る。)が哺乳瓶や食器が多かったのに、急に給食・食堂からなくなってしまった。しかし、実際は物性が安定しているため、人体への悪影響は小さいだろうという見方も多い。

食器や日用品に利用されるメラミン樹脂は安定した材料で毒性は知られていないが、元の素材であるメラミンは急性毒性は比較的低いようだが、中国産食品でタンパク質含有量をにせる為に利用されたことで、腎不全が犬猫や子供に生じた。(実際はメラミンとシアヌル酸の混合物が原因ではないかという)。このときも溶出などの状況の把握よりも、使っている材料が危険であるから、使うことは危険という判断の単純なデジタル化が見られる。

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このように、本当なら安全係数の考え方も含めた情報の公開が必須であり、専門的な情報についても、その人たち『が』業者の立場を理解できるようにするのが本当は大事である。残念ながらこのメカニズムがあまねくわかるという環境には、その難しさからして無理はあるかもしれない。少なくともトクホ認可の段階で蓄積したデータはこのようなときに提示できるのではと思う。

ただ、この段階でトクホ認可というの自体が申請されたことを役所が追認することはデータの上だけで実験ではおこなわれているとはいえず、偽証をしてもわからないことをいう報道があった(実際には方法論が決められており、逸脱は恣意的に図らない限り難しいらしい)以上、そのデータを出すことがいらない予測を出しかねないという現実はあるのかもしれない。

元来企業倫理として、社会の中の企業としては、その段階がちゃんとして公明正大で有る以上、判断基準を合わせて公開することが重要なことと思う。肝心の数字を曖昧にするという姿勢は、それ自体がデータのごまかしや隠蔽を想像させてしまう。但し、細かいデータに対し、その解釈をすることはこの場合余りつめられないだろうし、説明責任を果たす行動自体でも、理解できず感性のみを判断基準にする人が多い場合、説明責任が素人に苦もなくわかることにならない工程がある製品を食品として用いるなという判断になることも多い。論理の複雑性をもって法廷闘争に持ち込まれた事例もある。従って、何をやってもいい結果にならないというなかで、データをその混入毒物の定量的な評価ができるまで出したくても出せないという場合もあるし、善意を語った悪意が混入している場合も有る。

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ラルフ・ネーダーという有力な社会運動家がアメリカで社会問題になっていた「欠陥車問題」をとりあげたことがあり、これはアメリカ企業の品質に関する評価を、顧客志向にしたといういい方向性をもった。

この時期日本でも欠陥車糾弾の動きが生じ、当時のベストセラーカー「N360」に重大な欠陥「ヨー特性にロール特性がからんだ不安定さ」を指摘、未必の故意による殺人罪で社長本田宗一郎を告訴した。かくてイメージダウンで「N360」の人気は急下降し、販売を終えた。ホンダは商用車(軽トラ)のみ残し軽乗用車から一時撤退した。(下記の判決確定後再度参入した)

但しこれには当時の認証法規や技術標準を大幅に凌駕した製品だったので、こんな自動車の出現を予知できず、予見不可能という意見が専門技術者により公式に出ていたという。また、同一の技術問題点を最も売れた車のメーカーに集中してした(他の車は不問になっていた)という戦略的訴訟面もあるらしい。

なお訴訟自体は有効で、メーカーの責任はあったが、この途中で示談金を要求した団体は恐喝で告訴され(有罪)た。全部の判決確定には、十数年の年月を要した。

このような事例は類似事例を含めると結構ある(し、一見すると特殊株主の行動にちかい側面もあるのが悩ましい)。残念ながらこちらを考えてるとしたら、正当な企業倫理の遂行をエキセントリックに妨害するということも有るわけで、しばらくデータの提示公開まで時間がかかるんではないかなといささか憂いているのである。

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