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続:瞬時で判断しなければならないスパコン(1/3)

話はスパコンに限定して進める。

行政刷新会議仕分け作業を在る女性誌が、「大の大人の痴話喧嘩」と揶揄しているのをよんで、あんたがいうんかいとあきれたのだが、よきにせよ悪しき話題にはなっている。
時に蓮舫氏は「(コンピューター性能で)世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか」とディベートの中であるが発言して、物議をかもしたが、そこまで目的意識(これは予算を縮減することが国の再構築に必要で、それがあってこそ、その次に産業振興という見方であろう)があるということは私はある意味純粋な意志を持っているのだろうと思うし、そのリスクをおって仕事をしている感じもする。
但し、その目的意識の中で注意しなくてはならないものはある。
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先に述べたように、研究開発における、ロードマップ・工程表を引くことは大きい仕事である。研究開発は

基礎研究・前期開発・後期開発・商品化開発
というわけかたをする。大概は前からすすむのだが、一部の学問は習慣的に行なわれている事実に対して検証を加えることから逆流することはある。

そこで、基礎研究というものの材料が応用研究の結果をツールにして行いというものが多くなってきたのが事をやっかいにしている。今般の「仕分け作業」も「基礎研究」に国税を投入することが「ムダ」かどうかという議論だが、応用研究であるか、基礎研究の材料かという判断は極めて難しいし、しかも外部に対しては両方に使うことを前提で進めていることであったりする。
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事業仕分け:ノーベル賞受賞者の田中耕一さんが傍聴  毎日新聞 2009年11月17日 21時47分
 17日の事業仕分けには、ノーベル賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェローも訪れ、技術顧問を務める文部科学省の「計測分析機器の産学官連携開発事業」の審議を、傍聴席の最前列から見つめた。
 事業は、研究用分析装置の大半を海外製に頼る現状を改善するのが狙い。たんぱく質などの質量分析技術に関する田中さんの受賞を機に02年に創設された。概算要求55億円に対し、仕分け人は他の補助金との重複を避けることなどによる「1~2割削減」を求めた。
 田中さんは「削る場と思っていたが、装置開発という裏方の仕事が重要との意見もあり、うれしかった」。一方、製品化など成果への質問が多かったことに対し「人材育成が一番大切。国内で開発が進めば、若手の意欲が導ける」と語った。
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この場合、明らかに明確なのは「研究用分析装置の大半を海外製に頼る現状を改善」ということである。さらに、製品というところで収益性などが見出し安いということはあり、商品化研究という側面で一度は結果が見えることが、解釈をしやすくしていると見える。つまりこの開発は、バランスシートがかつかつにせよ成果が「見える」のであろう。即物的に。
ところが、先に述べたように純粋な基礎研究で儲けることはもともとできず、資金提供してくれる場が現在の日本には存在しないのも事実である。元々民間からの寄付という概念が日本の社会に存在しない(同じことはアジア全体に言える)ということが問題なのであろう。というか、企業の開発では、資金回収の目的意識が必要であることが大前提であるし、また基礎研究を行なう場合はその見返りに対しては「人材育成」という投資で考えていたのである。従って、研究開発費が多くなっていても、そのほとんどは直接人件費と間接人件費(つまり協力工場に研究依頼をしていたり、試作品を作るとなるとそれなりに人件費がかかっている)ことになる。
しかも実際の製品開発に向けていた人材を研究に振り分けることが、日本的な雇用を維持する前提では欧米より楽にできるということはあるので、研究に振り代える雇用分配が割と行ないやすい側面がある。
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赤字脱出の処方箋となるか トヨタ、研究開発投資額で世界トップに浮上 EU調査 2009年11月22日(日)13時30分配信 MONEYzine
 トヨタ自動車が2008年の研究開発投資額で世界一となったことが欧州連合(EU)の欧州委員会の調査で明らかになった。
 2008年度(2009年3月期)決算では、59年ぶりの最終赤字に転落したトヨタ自動車だが、08年の研究開発(R&D)投資額で世界一となったことが欧州連合(EU)の欧州委員会の調査で明らかになった。不況になると多くの企業ではコスト削減せざるを得ないが、研究開発は将来への投資であると同時に経営危機から脱出するひとつの手段でもある。07年に4位だったトヨタは、同年首位だった米マイクロソフトを抜きトップに躍り出たことは今後の同社の経営にどのような結果をもたらすのだろうか。
「乾いたタオルを絞る」ように経費を削減し、原価低減運動を推し進めてきたトヨタは、事業が好調な時からキャッシュフローを金融分野の拡大よりも研究開発費や設備投資などに積極的に回してきた。損失の穴埋めに奔走する今期(10年3月期)こそ研究開発の見直しを行っているが、この部門のコスト削減は最終手段となっている。
 他に日本企業ではホンダが11位、パナソニックとソニーはそれぞれ14位、16位にランクインするなど、上位50社に13社が入り、07年より4社増加した。世界的に景気が低迷する状況でも日本企業の研究開発に対する投資意欲が底堅いことを証明した形だ。
 欧州委員会の調査は世界の主要2000社の昨年の投資額が対象。トヨタの投資額は約76億1000万ユーロ(約1兆200億円)だった。10月の世界販売台数は63万台強と前年同月と比べ4%増え、15カ月ぶりに前年同月を超えた同社だが、本格回復には研究開発によってどれだけ魅力的な新車を生み出せるかがカギとなりそうだ。
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だから見かけで金額が膨らんでいる側面があるのであって、このあたりはこのような分析の中身には注意しなければならない。しかし、仕組みとしては応用研究から基礎研究に移行している側面はある。
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次世代スパコン開発「異議あり」  ホリエモン「自分の稼いだ金でやれ」  2009/11/16 19:58  J-CASTニュース
政府の行政刷新会議の「事業仕分け」で、事実上の凍結となった次世代スーパーコンピュータ「京速計算機」を巡って、ホリエモンこと堀江貴文さんが、こうした開発費用を政府に頼るのをやめ、「自分たちの稼いだ金でやれ」と提言し、注目を浴びている。
行政刷新会議は2009年11月13日、10年度予算概算要求の無駄を判定する事業仕分け3日目で、文部科学省が官民共同で勧めている次世代スパコン開発を「限りなく予算計上見送りに近い縮減」と判定して事実上の凍結にした。
「世界一でなくていい」「必要性を見直すべき」
次世代スパコンは、1秒間に1京回の演算性能を持つ世界最速のスパコン「京速計算機」を目指して06年から独立行政法人の理化学研究所と、富士通、日立製作所、NECが共同で開発をスタート。多様な分野に応用できる汎用型という触れ込みで、12年度に本格稼働する予定だった。完成すれば現在世界最速とされる米国製の10倍の速度になるが、開発には総額1230億円が必要で、10年度概算要求でも約267億円を要求。
行政刷新会議では、「世界一でなくていい」「必要性を見直すべき」などの意見が相次いだ。理化学研究所の理事長で、ノーベル化学賞受賞者の野依良治氏は「スパコンなしで科学技術創造立国はありえない」と憤っていたという。
これに対しホリエモンも11月14日と16日、「政府に頼るのをそろそろやめないか」というタイトルでブログを書いている。
そもそも「補助金なぞを当てにして仕事をしたり研究をするという感覚が全然理解できない」。もともとは国民の税金なのだから「文句を言われたくなければ、自分たちの稼いだ金でやればよい」という考えだ。
さらに、日本の研究機関・大学は、自分たちの研究の事業化に稚拙であると指摘する。事業で得た利益を研究にフィードバックする仕組みができていないために、大学教授は研究費の獲得に汲々としなければならない。
ではどうすればいいか。ホリエモンが引き合いに出すのが、当の理化学研究所が戦前形成していた「理研産業団」という組織だ。理化学研究所の発明を、そのまま研究所自身で製品化する組織で、1939年の最大時で会社数63、工場数121にも及んだ。ビタミン剤を始めとした製品を次々と事業化し、理化学研究所はそこで得た利益を研究予算につぎ込んでいたことから「研究者の楽園」と言われていたという。
京速計算機は「ビジネス的な意味もない」
ホリエモンはこれを見習い、
「大学や研究機関なら儲かる応用研究分野がスピンアウトして出来た株式会社の上場益を、その出自の研究機関や大学に還元できる仕組みを作ればいい」
と提言している。
「世界一有名な科学者に与えられる賞。ノーベル賞のもともとの資金源になったのはノーベルがダイナマイトで儲けた金だ。補助金じゃないぞ」
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http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10388307626.html
http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10389451643.html#main
たしかに、堀江氏はコンピューターの技術者であったことから、普通の技術者以上に視点が細かいとは言える。その上、なかなか面白い議論がこの原本に隠れているのである。
政府の補助金申請など一度もしたことのない堀江氏からすれば、巨額予算自体がとれない事業の損したような気分と、補助金を当てにして仕事・研究をするという感覚が全然理解できないようである。(確かに一度でも予算関連の仕事をすればこの苦渋は理解できる)だから、「科学技術に興味ないやつは、なんでこんな予算つかってんだ!と怒るのも当然のこと」という認識である。たしかに彼の業務は国からはその意義を理解されていないため、辛酸をなめたというのは事実である。

ところがこの見解については微妙に鋭いことを言っている側面と、隠蔽されて出てこない側面があるという感じがする。
本当に必要な技術について本当なら募金などで募集するべきであるという志向はあろう。彼は世界から基礎科学研究に必要な資金を寄付で集めるというのが現実的とまで言っている。ただし、この考え方は極めて甘いと私は思っている。つまり、この研究案件提示をする段階で競合相手は研究をスタートさせてしまうのである。協力などをすれば自分たちの成果がなくなる。資金の妥当性を説明でき、寄付控除が制度化されれば、日本でも十分に資金を集金できるということはあるのだが、逆に他国からの参入者を増加させるということで、妨害をされても文句が言えないのである。寄付で集めるというシステムは、それなりに効果があるようだが、では寄付についてはどっちも「寄付疲れ」という現象が出ているようである。寄付募集には「米国と日本は寄付文化が違う」と言う意見があるが、このところ、米国での寄付のマインド低下(日本化)、日本での寄付の寄付マインドを意識した規制緩和(国立大学の寄付株式保有が緩和するということ。米国化)等、様子が変わってきたという指摘もある。

もっとも、堀江氏の意見を見ると、インキュベーション活動をやっていた人らしい言動が見える。従ってこれは不祥当方もその一翼をになっている人間には、いい加減なことを言っているとは無視できないところも在る。
日本の研究機関・大学は研究の事業化について、得た利益を研究にフィードバックする仕組みができてないというのは、かなりのところ事実である。所が、研究の事業化をする場合、実用化研究の熟成度が低い技術が多いから成り立たないとぼやくのも多いのだ。というか、これはユニット型の欧米型開発システムでは大学からの研究成果が直接的に販売製品につながりやすいのだが、日本の場合はそこを一度企業側の志向性でで全部組みなおす(各々の企業ごとに手法が異なる)ことをしないと、製品保証などが構築できないという投資が伴う。このようにある程度オープンで技術を売らないといけないことから、どうしても企業からの研究費が小口を沢山という形でしか大学には得られないという悩みがあるようなのである。このようななかで、大学教授は科研費の獲得に汲汲としているのもあるのは、どうも(科学研究に限っては)大口の研究費が得られないという事実もあろう。確かに、大学に対する寄付金を出すのに研究委託という形で行なうことは、ほとんどなく、わたしの業務でも、奨学寄附金という形しかできなかった(得意先や同業とコンソーシアムを組んで依頼研究にしたことはあったが、その成果の分配は基本的なところにしか及ぼさせられなかった)。機械製造業の場合、大学への委託研究を明らかにすることは以前ほどは問題がなくなったが、得意先企業から「企業における技術的問題を、研究者の出すこと自体が取引上許されない」ということになってしまうとか、「社内技術が低い」と判断されることもあるのである。ようするに技術の囲い込みが前提で動いていたと思う。
この囲い込みということ自体は、IT技術のうちソフト系のもの、また論理的な志向でモノを組み立てることが商品性と両立しないものに関しては、すでに成り立ちに無理がある。そのため、囲い込みを絡まないものに関しては影響を与えない場合が多い。その視点から見ると、堀江氏の経験しているもの(たとえばこれもそうらしい)では、が???いう意見を持つことはある意味当然であろう。
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堀江氏の意見には、基礎研究の重要性を理解していると自称しているところがある。たしかに専門的な意見もあるから、一応の経験を持っているようである。政府を通じると全く無理解な国民や役人や政治家を説得しなければならないが、現実その理解を求めることは、不可能であるという意見である。(これ自体に大きな問題があるがあとで述べる)そこで、成功した人が科学研究に寄付をする仕組みづくりとして、納税額の一部を寄付できるようにする仕組を考えているようだ。同時に所得税や法人税の税額控除も必要であるとまで考えている。
これがうまくいくか。
大学や研究機関に寄付することは、なんらかのその寄付先に対して、有形無形の見返りを求めるというのが日本ではきわめて強い。従来政治家に献金している場合も企業ではこのような問題があることは知られているため献金先を絞るとか、政党が全部仕切るということが言われているのだが、結果的にこのことは起業が献金をしないことに直結すると言うことになりそうである。(実際、工学系で国立大に研究を委託する企業がかつては少なかった理由を聞くと、研究内容を「国立」大学は公益性を求める内容にかつて(国立大学法人になる以前)は限定されており、研究内容は減速として全部公開されることを前提にしていたからともいえる。これがなくなったことで最近は寄付が増えているとも言える。)
寄付者が自分で選んだ先に寄付ができるし、その後の成果についても注視するということを堀江氏は求めているのだが、寄付に対してきわめて厳しい社会である日本では、の成果についても注視するような必要の在るような先に寄付をする気がないのである。ようするにネガティブ視点で前提で行なうと、寄付された側は寄付者が理解しやすいような研究内容に偏るのはまあいいとしても、研究が一度とどこおると、その説明責任を追及させるため苦労する。政府補助金が「素人」への説明に汲々とするのが問題とはいえるが、結果的に問題の矛先が変わっているだけである。
もう一つは、「成功した人が科学研究に寄付をする」という前提に、最近はかなり無理があるという側面もある。企業がたとえば上場などをして資産を高めると確かに寄付を必要とするが、その歯車はかなりさび付き始めている。上場廃止をする企業に、経営権の安定という事例が極めて多いことの言いかえにもなるのだが、とりあえず企業価値を上場するクラスまで高めたとしても、公開企業の多く系列化で支配的な志向に逆流しているように、じつは成功した人は成功してから継続した経営をする(日本においては企業となると、雇用責任や退職金債務、地域によっては社会的な環境と投資を先に求められる)ことのほうに資金を投入していくことのほうが重過ぎているようだ。新興市場の企業が全然その上に行かないどころか、無理して上場したため廃業を余儀なくされているというのはこれだろう。つまり「成功した人が科学研究に寄付をする」ためには相当な企業にならないと、回収ができない可能性がある相手(研究内容)に投資ができない。もっというと、本来は大学がサポートすべき優良な事案を投資して育成しても、その市場が新規なものを受け付けないし投資支援をしないことで資産保持を図る以上、不安定な株式の売却益を研究予算にフィードバック当てにはならない・・・・というように、確定利益を求める以上、難しいことになる。
というのは、ベンチャーに投資したり、ベンチャーの製品を精力的に購入したりすることは、中堅企業にとってはかなり困難なことである。また個人投資家自体が、小口投資家が多いこともあり、更に、投資するぐらいならもしものときに融資しないという銀行も多い。(これとて資産の保全のためである。融資案件を確実に査定しないで、倒産後後おいで責任をもとめられた銀行も実際多い)そもそも、敵対的買収が海外においてそれなりの評価を得るのに、日本では企業価値の低下を招くのは企業自体が社会の立脚条件になっているから、社会インフラを勝手に融通しているの等しいからである。
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政府を通じると全く無理解な国民や役人や政治家を説得しなければならないと堀江氏はいう。現実その理解を求めることは、不可能であるという意見だが、実際このようなことで悩む事例は多い。
説明責任というものは技術者・研究者に説明しているのだが、実際投資先に説明できるようなら、じつはすでに研究が終わっているのである。つまりないものねだりが前提なのである。その回避のためには、日ごろから信頼できるような立場を持って業務にまい進していることが前提であるといえるのだが、少なくともそれを如何に説明しても、論理的な説明というものを否定されている人がほとんどだと、存在意義を理解することができず、それこそ明日の予測ができない以上そのような投資をすることが否定される場合も多い。もちろん同じことは官吏にもあるのだが、彼らは今までの経緯などを知っている上に、必要性を理解してなくても信頼性があるから、その方策が建てやすいところも在る。(当然ごまかしや温情の入る余地はある)

相手が異なると、今度はどうなるか、多分査定を毎回受けるということは研究が公共の物になるため投資内容としては好ましかろうと考える、ただし公共の物にならない研究のベクトルは、本当に社会のためになるのかという自問自答をしなければならないようである。(続く)

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