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私は髭はそらなくていいです

公共性という意味が人によって違う形になる場合もよく有ることである。
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理・美容店洗髪設備義務化へ  県条例検討委提言と温度差  (2009年9月30日 読売新聞)
 低料金で髪のカットのみをする理・美容店に対し、県は、洗髪設備の設置を義務づけることを決めた。新規出店の店が対象で、関連条例の今年度中の改正を目指し、施行は来年秋ごろになりそうだ。県衛生食品課は義務化の理由を「公衆衛生の向上を重視し、総合的に判断した」と説明している。義務化の是非を議論していた県の検討委員会は5月、「緊急を要して義務化する必要はないとの意見が大半」と提言していた。
 この議論は、個人営業の店が主体の県理容生活衛生同業組合と県美容業生活衛生同業組合が、カット専門の理・美容店に対して洗髪設備の設置義務化を求める請願を県議会に提出し、昨年3月に採択されたのが発端だ。
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 「洗髪しないのは不衛生」と訴えていた県理容生活衛生同業組合の吉野信一理事長は「我々は清潔さが身上の商売であり、安堵している」として県の判断を歓迎。一方、県内に11店舗を展開するカット専門チェーンは「洗髪するかしないかは利用者の判断。義務化に意味があるのか」と冷ややかだ。
 県はこれまで、衛生面の実態調査や県民アンケートを実施、さらに有識者ら5人の検討委を設置して議論してきた。実態調査によると、洗髪設備の有無で衛生状態に差が出ることはなかった。アンケートでも、設備がないことを「特に問題ない」「快適ではないが、不衛生とは思わない」との回答は合わせて6割を超えた。これらを踏まえ、検討委は「義務化の合理的理由は見いだせない」と結論づけていた。検討委の委員長を務めたO高崎経済大教授は「県の判断に反映されたのかは疑問で、違和感がある」と話す。
 県の昨年末の調査では、洗髪設備がない理・美容店は、全6827店のうち47店。また、全国では17道県が設備設置を条例で義務付けているが、17府県は、働きかけはあったものの条例化は見送っているという。
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格安料金が人気のカット専門店。私も愛用しています。
これに群馬県が衛生上の理由…といっても公衆衛生というマネージメント視点…から洗髪設備の設置義務づけを決定。もっとも対象は既存不適格という形でとりあえず営業はOKになり、新規に出店される理・美容店でのみ、来年秋以降に新条例が施行。
昨年8~9月に群馬県が実施した県民アンケートでは、県民の6割以上がカット専門店の衛生状態について「特に問題はない」「快適ではないが、不衛生であるとは思わない」と回答している。また、今年5月には、有識者らによる県の検討委員会が「県内では、洗髪に関する苦情やトラブルは確認されていない」「積極的に洗髪設備の設置を条例化する必要はない」との報告書を提出していた。
ネット上の掲示板やSNSでは「何のための県民アンケート?」という意見があるのだが、ただし全国では17道県が設備設置を条例で義務付けている理由は、洗髪を必要とした場合の機器がないということがメインになっている。
たとえば長野県ではこのような形で条例改正がされた。この場合は洗髪というより、作業者の洗浄を目的にしている。明らかに現状のカットだけの店舗にはないものを太字で示す。
---引用(http://www.pref.nagano.jp/eisei/syokuhin/kankyou/ribizyorei.htm
理容所・美容所における衛生管理の一層の向上を図るため、講ずべき衛生上必要な措置に、洗髪設備の設置を追加しました。
 理容師法施行条例・美容師法施行条例
第4条 理容所(美容所)について講ずべき衛生上必要な措置
(1)作業場及び待合所は、住居等と区画すること。
(2)作業場と待合所とを区分し、作業場の面積は、9.9平方メートル(略)以上とすること。
(3)作業場内に、従業者の手指及び器具を洗浄する設備を設けること。
(4)作業場内に、温水を供給することができる洗髪設備を設けること。
(5)作業に必要な器具及び布片を相当数備えておくこと。
(6)消毒した物品及び消毒していない物品について、それぞれ適当な格納場所を設けること。
(7)応急手当に必要な薬品等を適当な容器に収めて常備すること。
(8)常に、ねずみ及び衛生害虫の駆除に努めること。
◇施行期日◇   平成20年4月1日
【経過措置】  平成20年3月31日までに使用前検査を受けた理容所・美容所は、改正条例の適用が除外されます。ただし、現在営業している理容所・美容所であっても、この条例施行後に増築又は改築をして新たに新規開設の扱いとなる場合は、改正後の条例が適用されます。新たに営業を始める場合、現在の店を改築する場合など、あらかじめお近くの保健所へ御相談ください。
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最近の場合、理容店において、通常行われる散髪のうち、10分間以内でカットのみを行い、掃除機で刈った毛を吸って掃除する。シャンプー、スタイリング等は省略される場合がおおい。簡易な設備と比較的安い人件費ですむことから価格競争が激しくなっている。衛生上の要請から条例で作業場内に温水を供給できる洗髪設備を設けることを求める自治体もある。
この水の問題は、温泉銭湯などに店舗を構える場合はそう問題がない(これ中心の展開をしている企業も有る)し、ビルなどに入る場合でもそれ相当の水周り設備があるところに入居するのは問題がないようだ。しかしJR・私鉄の駅のテナントの場合のように、設備を簡略化し狭い場所や駅の洗面所の側などのわずかにあいた場所で、立地条件の良い場所で開店する場合、この水利が、かえってむずかしくなる(WCは共同の設備を使うことを前提にするから)。
まあ、公衆衛生という問題はおおきい。家庭でお母さんが散髪をするのに水を使うかというと、これは限らないのだという意見も有る。但し家庭では、誰しもに散髪をするのではない。
それ以上に現実問題になるのは、行政指導がどうなるかという問題である。設備設置を条例で義務付けているところでも、洗面台と水道配管を一本だけ設置して、職員が手洗いできるようにして、業務上は問題ない人には洗髪をしないということも出来る。ただし、これを厳格に運用している県もあって、一軒もこの手の店舗が出来ないという県も実際にある。
ここで県民アンケートをとっている段階で、衛生的に問題・苦情がおきていないという現実をどう考えるかである。
現在・過去・未来という視点で書いてみよう。

【現在】 原状の疾病が広まっていない段階では、衛生的に問題がない店舗ばかりしかなく、従業員も好んでいく顧客と洗髪に関する苦情やトラブルはなく仲良くしているという視点があるので、既存店舗に対する指導をしない(既存不適格を容認)ということでOKを出すという考え方なのだろう。
【過去】 従来の理髪店に対して営業的な問題があるということはあるが、これをどう見るか。既存店舗に対して、すでにあるカット専門店の存在はダンピングなのかという視点がある。ここが見えないから、「客のニーズよりも業界の圧力」「新ビジネスモデル叩き」「ニーズに合ってるのになんてことすんだ?」という意見がでることになるのは当然である。一方以前からあった廉価な散髪チェーン店においては要望に応じてオプションで洗髪を受けていた。だから洗髪しないのが問題でなく、洗髪しようにもできないということが課題と考える。また職員の手洗いができないとか、ビルなどの共用設備を使うということは以前は公衆衛生という側面からさけられていたことであった。
【未来】 今後疾病が起きたような場合、薬剤だけで処置するかは不確定である。しかし、少なくとも不衛生なものを洗浄するということが、現場で直ぐ危険にないようにしておかなければならない。そのためには常時使うかは別として予測の出来る範囲の衛生設備は最低限設けるべきである。公衆衛生の概念はおこりえないと考えていたものがおきたときの対策である以上、過剰反応が必須になる。

問題は行政指導で完全に認めないといえば、それは憂慮の意見があたり、過去の実績や既存業者の既得権を考慮したという視点になる。これはありえなくもなかろう。ただし、県民の調査で問題が少ないという認識を得ているということは、行政指導では水道を引くことのみが前提で、お客さんに洗髪を行うことを義務としないという、行政指導というのもありうる。つまり水道は必須ということは決まったが、サービスに洗髪は必須と言うことでない以上、条例は最低のレベルだけを示したが、それ以上の話は運用上なにも決まっていないことになる。真に玉虫いろであるのだ。
「義務づけに賛成する意見はほとんどない」のはまあ当然だ。ただし、この様なカット専門店が生じる前の個人営業の安価・短時間なカット専門店というのが都会にあった。たとえば、
兵庫県にある850円の南理容チェーン…「メトロ理容」「阪神理容」「山陽理容」「尼崎理容」http://yonyon4.cocolog-nifty.com/diary/2008/03/post_19f1.html
東京にある理髪一番グループ(基本的にはのれんわけ形式の連鎖店。価格設定は店舗にもよるが、総合:\2,000 カット・シャンプー:\1,700 カットのみ:\1,000というのがある)

これtらは、システム化されてないという差異はあるが、洗髪をすることはなくても、既存設備の関係から水道は引いていた。
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だから、決してカット専門店を群馬県の場合はおさえようというつもりはないのかもしれない。ただし水道だけは具備してくれという、ソープランドに「使わないが法律上必要なスチームバスがある光景」とかわらないことになりそうである。(これも公衆衛生にかかわる。但しこの設備を必須化することで、衛生面の問題で業務に関与できる側面と、負担できない業者や順法性を持たない業者の選別になっている
もっとも、これは採算性と裏腹のところもあり、水を使わないため水周り関係の設備が不要なことも関係する。倒産しないようなぎりぎりの駆け引きの一種とこの場合は私は思っているし、公衆衛生という議論の難しさもある。
私は、逆にこれでカット専門店が少しの資本投下前提で認められたというイメージもあった。公衆衛生という議論とて、企業の存立を考えたというのは、水周りを整えるというところで、既存業界の反撃を突き放すというのが、ぎりぎりのところかもしれない気もする。
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さて、ここには、理容業の中には「理容技術者」が安く使われているという見方と、小型店舗が駆逐されスーパーやコンビニばかりになった地方の商店のように大型資本の席捲を想起するという側面もあるようだ。
実際10分間のうち実際にカットする時間は6 - 7分程度であるからその間に行なう内容には限られるが、大概の客はこの時間内の利用を望んでるひとに集約されている。大規模なチェーン店では従業員の動きがマニュアル化され、カットプロセスを簡略化・パターン化して技術者の修練期間も短縮している。もちろん、一般の理美容店のように技術の伝承や熟成が行われにくいし、徒弟制度のように修行してやがて店舗をもったりあとを継いだりしてというビジネスモデルが成り立たない可能性はあるのだが、これは企業の技能者の「囲いこみ」という行為で、ある程度は免れない側面がある。その意味でも、まあ群馬県のこの仕方は、従来型の産業を完全否定しないで新興企業を生かすという妥協の側面がある。本当は運用でこれがいかようにも変わる側面はあるんだが。
そして、私は髭はそらなくていいです。ひとりでできるもん。

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コメント

こんばんは。
床屋さん組合のカルテル価格(?)は高いので、昔ながらの床屋さんにはもはや行けません。行きたいとも思いません。
洗髪後にドライヤーで乾燥させ髪形を整えてくれるのは結構ですが、入店時の僕の髪形が気に入らなかったのかまったく違うところから分け目を入れやがったりして、センスが僕と合わないことも多々ありました…。過去の思い出です。近頃はめっきり髪の成長が止まってしまったので、床屋さんに用がないのでした。

投稿: niwatadumi | 2009年11月 2日 (月曜日) 22時27分

私も昔ながらの床屋さんには…なんですが、人によってはなじみの床屋さんでないという人もいますね。
選択肢が多いことではこのような散髪屋さんはニーズがあるのですが、公衆衛生という「ある意味中央集権的思想」にはなじまないようですねえ。この傾向はドイツ語圏にもあります(ちなみにコンビニはドイツでは公共の福祉に反するという置換から立地規制があって成り立ちません)

投稿: デハボ1000 | 2009年11月 2日 (月曜日) 22時41分

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