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続:瞬時で判断しなければならないスパコン(3/3)

(続く)
それにしても・・・である。

過日の朝、窓の下を小学生が歩いていくのだが、なにげなく聞いていたら・・・
小A:「わー・・・こいつきたねーの」(ウンコでも踏んだようだ)
小B:「やーだ」
小C:「やーだ、仕分けしちゃうぞ
小A・B・C:「わーい」(と橋って逃げる。
おいおい、けどいじめと移っているのかといえば、問題意識に対しては瀬がないのう。

さて、たまたまスパコンは議論になったのだが、隠れた項目については議論が他にもあるとは思う。
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スパコン「凍結」せず…菅戦略相、仕分け見直し  11月22日22時2分配信 読売新聞
 菅副総理・国家戦略相は22日、政府の行政刷新会議(議長・鳩山首相)の「事業仕分け」で「事実上の凍結」とされた次世代スーパーコンピューター(スパコン)開発予算について、判定を見直す考えを表明した。
 研究者などから批判が相次いでいたことを受け、判断した。政府は今後、スパコン事業の継続に支障がないよう、スパコン開発予算(2010年度予算概算要求で約268億円)を確保する方向で調整を進める見通しだ。
 科学技術担当を兼務している菅氏は22日のNHK番組で、スパコン開発予算について「事業仕分けは、政策判断をしているわけではない。当然(判定を)見直すことになる」と述べた。また「行政刷新会議の本体は、首相も私も入っている。最後は政治家が判断する」と語り、予算の削減が必要だと判定されたスパコン以外の科学技術予算についても、政治判断で判定の見直しを検討する考えを示した。
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さて、今度は単純に開発ということではなく、国際間の技術確保の競争とつぶしあいという側面である。
堀江氏はある宇宙旅行体験を可能にする開発を支援し、寄付をしているらしい(以前は経営にかかわっていたようだ)そこに、中東出身のベンチャー企業家が寄付をし、コンテストは成立し、新しい技術がうまれたという。
必要だといってもわからない公的機関が支援しなくても、海外の資産家がはいれば技術が成り立つという。
国内でも、リニアモーターカーも最後にはJR東海が自己資金で実現することになりそうだと言っている。
技術者が起業しやすい仕組みを整え、その技術をマネタイズできる人材をそろえるような教育システムと異端の人物を社会が受け入れる事が大事であることは、起業支援をする立場では、私もいたく感じるものである。ただしこのような環境が私たちの生活に必要だということは、説明をしなければ正当な評価を得られないが、基本的には理解は困難であるうえに、それをミスする(たとえば思わぬ事件に使われる)と、説明していないならばまず技術を抹殺されるが、説明しているならば別の手法を考えるトリガーを与えることもある。

中東出身のベンチャー企業家が寄付した事業であるなら、成功した事業に対してベンチャー企業家に有効な配当を出す必要があるのは当然。(創業者の場合は無給ということもあるが)これはある意味当然の行為であるのでいいのだが、経営支配権をもって、これが限定的にしか出せない技術として抱え込まれるということがままある。このように国内企業で海外の資本家が支配権を持ち、社会資本として成り立った企業が配当という形で収益を海外に吸い取られる問題がでてきた。そのあたりの事業特性を問うと、投資する企業が会議にもいなくなる側面がある。
反対に、リニアモーターカーも最後にはJR東海が自己資金で実現することになりそうだが、これはそれまでの基礎実験のコストを相当国が見ていたといえるので、これもちょっと議論がことなる。

ただしこのような誠意ある対応ができるかという場合、今までのように「日本にとって」良心的な投資家ばかりなら問題がないのだが、投資に対して回収を早期にすることが投資の前提であるのだから、そこで意見がとらないことはある。じつはこのように世界の電算機をもちいていろいろな技術を国内開発をすると言う場合、納入元の意向や納入元の国の状況でどう変わるかがわからない。(国策で妨害を指示されることは、そうめずらしいことではない)欧州でのスーパーコンピュータの採用も、その時のその国家の政治事情で採用ベンダが決定しているので、このあたりアメリカと日本企業に振り分けているようだ。(事実上日米しか製造メーカーがない)そして、結果的には多くの市場が現段階ではアメリカ製の採用になっている。
------------------再開
以前から京速計算機を「時代錯誤の戦艦大和」と批判してきた経済学者の池田信夫さんも11月15日のブログで、問題点を指摘している。
まず、そもそも予定している性能が実現できるのかどうか疑わしいという。09年5月にNECと日立が経営環境の悪化を理由に共同開発から撤退している。実績に乏しい富士通が単独で設計をやり直しても、目標としている性能が2年で実現できるとは思わない」。
また、スパコンは世界で年間数十台しか売れない。そのうえ完成しても高額で、売れそうにない。国内の大学でも、中規模のスパコンをリースで利用するのが一般的で、京速計算機は「ビジネス的な意味もない」としている。
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どうも、スパコンが金食い虫というところが問題となっているから槍玉にあがっているのだが、これは純技術的な意味合いであると、なんともいえない側面がある。
この記載で注意しなければならないのは、日立はNECの業務の二次受託の形なので、あくまでこの受託はNECが離脱したものであろう。そしてNECだが、こういうことを発表した。
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インテルとNEC、スーパーコンピュータ技術の共同開発へ 2009年11月18日  asahi.com
 IntelとNECは11月17日、スーパーコンピュータの性能を飛躍的に向上するハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)システム技術を共同開発していくことに合意したと発表した。
 NECは、ベクトル型スーパーコンピュータ「SXシリーズ」を提供するほか、IntelのXeonプロセッサを搭載したスーパーコンピュータにこれらの技術を活用していく予定。両社は、NECのノウハウとIntelのXeonプロセッサ、AVX(Advanced Vector eXtentions:将来Xeonプロセッサに搭載されるベクトル演算向けの拡張命令群)を組み合わせることで、Intelアーキテクチャのスーパーコンピュータで、より高い実効性能を実現する計画だ。
 両社は協力の第1段階として、Xeonプロセッサを搭載したスーパーコンピュータのメモリ帯域幅と拡張性を向上させるハードウェア、ソフトウェア技術を共同で開発する。研究分野市場向けなどのハイエンドシステムだけでなく、小規模なHPCシステムも視野に入れているとのことだ。
--------------------終了
要するに、政府が求めるスーパーコンピュータ開発の目標が、実態以上に問題が大きくなるため、具体性を持つ製品化に困難が生じ、問題点が大きくなっていると思う。そもそも予定している性能が実現できるのかどうか疑わしいというのはそこであろう。マネージメントの力不足という問題と、硬直化した目的設定にあり、本当は開発経費が無駄という議論ではないことではないかと。このプロジェクトの金食い虫の課題が、マネージメントの最適化と目標設定の最適化問題なのにどこかですり変わっている気もする。NECの離脱はじつはそこにあるのではないかとさえ考えうる。
今の世界ではこれに相当する機能を満たすスーパーコンピュータができているかというと、計算の性能上は実現できていないようではないようだ。中規模の既成のスパコンを組み合わせて使うということで、ハードの問題はかなりクリアになり、問題はこれらをまとめる演算処理ロジックに構築によるともいえる。(もちろんここまで要求が高くなるとスパコン自体の通信性能という問題点がある。そこが、スパコンの組み合わせでは限界であるということにもなる。
もちろん、小型のスパコンを組み合わせる手法というのは、次世代では有効になるだろう。用途別に専用機をつなぐという形である。私も以前の勤務先で64ノード(つまり中央演算装置として1個のボードコンピュータ+サーバOS、ほかに64個のボードコンピュータを組み合わせるシステム・・・64ノード機)の演算装置を導入することにかかわったことがある。これは、ある特定の有限要素方解析に用いるために専用化且つバッチ管理システム化したものであったが、ではほかのプログラムにこのマシンの効果が得られたかというとそういかなかった。ある程度ハードまで最適化していた、旧来のマシンのほうが有効だった計算もかなりあったのだった。(そのため代替する32ノード機を残さなくなってしまったが、その分、解析業務が進んだのもまた事実)このように、まだカスタマイズできる才能があるなら、その用途に最適化したスパコンをいちいち組むのは、結果としてはいいという視点はある。経済学者の池田信夫氏の意図はそのようである。
------------------------開始
「国内最速」スパコン3800万 開発のあり方めぐり議論は必至  2009年11月27日20時36分 / 提供:J-CASTニュース
行政刷新会議の事業仕分けで、次世代スーパーコンピューター(スパコン)の開発予算が「大幅削減」と判定されたことが波紋を呼ぶ中、長崎大学などの研究チームが国内最速のスパコンを開発し「スパコンのノーベル賞」とも呼ばれる賞を受賞した。驚くべきはその開発費用で、わずか3800万円。通常は開発に数百億単位に費用が必要とされるスパコン開発のあり方をめぐり、議論が起こることになりそうだ。
「日本最速」を記録したスパコンは、長崎大学工学部の浜田剛助教を中心とするグループが開発。158テラフロップス(1秒に158兆回計算)という性能を実現した。これまでの国内最速は、NECが海洋研究機構に納入した「地球シミュレータシステム」の122.4テラフロップス。今回の記録はこれを上回るものだ。
「スパコンのノーベル賞」を受賞
11月20日まで米オレゴン州で開かれていた国際学会「スーパーコンピューティング2009」では、「スパコンのノーベル賞」とも呼ばれる「ゴードン・ベル賞」(価格・性能部門)を受賞している。国内からの同賞の受賞は06年以来3年ぶりの快挙だ。
今回の研究で特筆すべきは、開発コストの低さだ。通常、スパコンの開発には数十~数百億円単位が必要とされるが、今回のスパコンの開発にかかったのは、わずか3800万円。ゲームの画像処理用に発展してきた「GPU」と呼ばれる集積回路を、大量に組み合わせたのがその理由だという。市販のGPUは単価は安いものの、これまで一度に大量に組み合わせることは複雑で困難だとされてきた。ところが、研究チームは「マルチウォーク法」と呼ばれる方法を開発し、380 基を並列に動作させることに成功。「日本最速」を実現した。

11月26日に長崎大学で開かれた記者会見では、浜田助教はスパコンの重要性を強調する一方で、 「現在のやり方がいいとは素直に言えない」と、「高い部品」を使った現状のスパコン開発のあり方に疑問を呈してもいた。
スパコンは「何を計算するか」によって、どの程度性能を発揮できるかがが大きく違ってくるといい、今回開発されたスパコンは、特に天体物理学などでの活用が見込まれている。既存のスパコンの方が、より広い範囲での利用ができるとみられるが、今回の件がスパコン開発のあり方に一石を投じたことは間違いなさそうだ。
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ここでも注意するべきなのは、このスパコンは「天体物理学」にチューニングしている(しかも助教さんはコンピュータの専門家で天体の専門家ではない)からこの性能が得られるということである。計算の内容を確定できない、未知の領域の計算の場合、種々の問題をクリアする必要があるため、プログラムが膨大になる。それでも汎用機を用いたほうが問題抽出ができ、その後ダウンサイジングしたスパコンに徐々に仕事を移していくということは方針としてあろうが、それまでの解析には最上級のスパコンがあるからこそ選定できるということかもしれぬ。

要するに、政府が求めるスーパーコンピュータ開発の目標が、汎用性を期待するため実態以上に問題が大きくなるため、具体性を持つ製品化に困難が生じ、問題点が大きくなっていると思う。そもそも予定している性能が実現できるのかどうか疑わしいというのはそこであろう。マネージメントの力不足という問題と、硬直化した目的設定にあり、本当は開発経費が無駄という議論ではないことではないかと。このプロジェクトの金食い虫の課題が、マネージメントの最適化と目標設定の最適化問題なのにどこかですり変わっている気もする。NECの離脱はじつはそこに「も」あるのではないかとさえ考えうる。
今の世界ではこれに相当する機能を満たすスーパーコンピュータができているかというと、専用化ではともかく汎用的な計算の性能上は実現できていないようではないようだ。中規模の既成のスパコンを組み合わせて使うということで、ハードの問題はかなりクリアになり、問題はこれらをまとめる演算処理ロジックに構築によるともいえる。(もちろんここまで要求が高くなるとスパコン自体の通信性能という問題点があり、スパコンの組み合わせでは限界ということにもなる。)
もっとも、研究施設が中規模の既成のスパコンで代替しているのは、成果の取り込みを犠牲にして経費に見合った手法を使っているというやむにやまれずという側面があるようだ。(そういう意味で開発したのが長崎大のスパコン)研究者にとっては環境が悪く、新たな技術開発に対し優先的な方法がとれずという悩みがあるという。一つの考え方であるが、中規模の既成のスパコンを沢山配置する方が使い勝手がいいという考え方のほうを商品開発として進めるのは現実的である。

このように考えると「時代錯誤の戦艦大和」と考える視点はあくまで商品設計という視点でリターンを求めることは厳しいし、スーパーコンピユータ単独での販売収支を見るのはかなり無理であることを示している。(また、このようなダッチロールのマネージメントと販売の限界があるから、経費の膨大化という問題があるとは思う)けど、少なくとも運用実績を他の中規模スパコンに展開できるのは、このような限界設計のものから展開するのが現実的でも在る。
その視点で見ると、戦艦大和は国威を示すものとしては陳腐化し、実務にも余り役に立たなかったのだが、テストベンチの価値としては成果があった。当時の日本の最高技術を結集し建造され、桁外れの戦艦であったことから、建造期間の短縮、作業の高効率化を目指し採用されたブロック工法と生産管理は、戦後の日本工業の生産方式のいい雛形になっている。そして何よりもこの寸法が実用上も限界設計にあることも示したのだが。本質的な運用以外のところを考えると、問題はあるが技術の見極めということに使うことになろう。つまり「時代錯誤」なのかという見方は、作らずに推論で言っていても机上の空論しかならない憂いが在る。
そうなると、硬直した方針を出すことがそもそもの間違いである。明確なところを予算の確保名義であいまいとすることをしないことで、推進するしかない。たとえば、

●最先端の多くのノードを持つ演算を行なうことで、生化学などの演算処理を基にした計算工学の実践で世界の技術の発展に寄与する、種々の実用的運用を行なう。
●運用ソフトの最適化を行い、商品化に用いるための試験設備と、スパコンとしてのショーウインドーとしての技術力の国際指標の一つとする。
●原価設計のハード設計の実績を採取するベンチマークにする。この技術を他のスパコン設計の最大も出るとする。(チャンピオンデータとして設計・運用実績を活用する)
●この分野は海外との競争を行っており、自主技術を持つことの実績自体が、国際的優位性と技術収支の向上を示す側面が在る。更に現段階では防衛上の戦略的資産になっている。
とか。
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研究者は納税者に感謝すべきだし、その研究は自分のためだけにない公益性を持っている。そのことを常に意識することで、かつては研究者に人の尊敬が集まった。しかし自分の所属する団体の利益のためということを否定されてしまうと、単なる社会奉仕になってしまうところがある。社会奉仕は必要なことだが、その労力に対し生きる必要性を見いだす余力はすでに、どこにもない。
国立大学の研究者は、かつては研究に対し、その内容の開示と同時に人材育成ということも社会還元することで、存在を確立されてきた。しかしそこに、研究をするための資産を確保することが必要になってきていることで全体がお互いに見えなくなっている。更に企業では大きな視点から自らの仕事を問い直すと、結果的には企業が収支を得ることが公益性を果たすことがすべての前提になる(ことに本邦ではなってしまう)側面がある。しかも分からないことをやってるから存在価値があるという解釈が最近は、分からないことをやってるのは存在が無意味だからという解釈も正当化される。
一つの典型例が、松下幸之助の言葉の中にもある。
● 「商売は世の為、人の為の奉仕にして、利益はその当然の報酬なり」
● 「企業は社会の公器である」
● 「商人に好況、不況は無い。何れにしても儲けなくてはならぬ」

研究者が原点に帰ることができないなら、日本の科学技術は、国民の拒否にあって衰退していく。海外では同意を得るべきリーダーシップが尊重されるが、そのリーダーシップというものに対して拒否反応が日本では大きいことも在る。但し、国民のほうもその原義を解釈することが余りにも重層化している現実で、見えなくなっている。見えることが重視されており、「見える化」ということで、如何によく見せるかが工夫されるのは、単純に分かる人がそういないのである。見える指標ということでお金というところに学問の視点が動いていったのが、金融研究の急激な膨張であるとはいえないか。
そして実は科学技術がほとんど一人が全体を把握することができなくなるほど膨張し専門化し、お互いに相反する内容を含んでいるため、人々が研究者に人の尊敬も集まることが夢・幻想になっているように見える。このことは精神世界や、詐欺にかなり近い内容に過度に依存する人が技術的論理を学んだ方からの移行がきわめて多いどころか、反対に増えていく現象にもかかわるだろう。
元々研究者が原点に帰ることは、技術的推論のスキル以外のものを疑うことになる側面もあるので大きなリスクが伴う。今後は科学については進歩をみんなが押さえ込む怠惰な世界になるという指摘は一面あるような気もする。

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