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お客には伝わらない以前にお客はほしがらない(1/2)

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ラオックス、中国企業と出資交渉=蘇寧電器の傘下へ  6月18日13時1分配信 時事通信
 中堅家電量販店のラオックスが中国の家電量販大手の蘇寧電器集団(南京市)から出資を受ける方向で調整に入ったことが18日、分かった。ラオックスは 2009年3月期まで8期連続で純損失を計上するなど経営不振に陥っており、東京・秋葉原地区に店舗を集約するなどのリストラ策に加え、蘇寧電器の支援を受けることで再建を図る考え。
 ラオックスが第三者割当増資を実施し、蘇寧電器が筆頭株主となる方向で交渉しているもよう。蘇寧電器は中国で積極的に店舗展開を進めており、日本式の運営ノウハウを導入し事業強化につなげる。交渉がまとまれば、日本の家電量販店が中国企業の傘下に入る初めての例となる。 
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蘇寧電器はラオックスを投資先としてみてるのか、販売ノウハウの先生としてみてるのかがわからないのですが、後者とすればセールスとしての手法が、売ることに関しては日本よりはるかに長けた中国人にとっては「システマティック」に感じられたのかもしれません。逆に暖簾を買った(例えば池貝なんかそうですなあ)という場合もありますが。
ただ、このような家電販売の手法、マーケッティングを現物で考えるか、机上理論で構築するかで売り場がまったく変わるという話を聞いて驚いている。
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デジタル流行通信 戸田覚 【第75回】 2009年05月11日 安売りに歯止めがかからない!米国家電量販店「崩壊の現場」 (ダイアモンド オンライン)
 5月にアメリカへ出張してきた。ついでと言っては何だが、家電量販店を回って“現場”をチェックしてきた。
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 すでにご承知の方も多いと思うが、アメリカの量販店はとにかくデカイ。たとえば、秋葉原のヨドバシカメラは相当大きな家電量販店だが、“広さ感”はあまりない。土地が狭い日本では、店舗が縦に伸びているからだ。ところが、アメリカには恐ろしいほど土地がある。日本の家電量販店は、ターミナルの中心部に立地して多くの集客を狙っている。もちろん、地域によってはロードサイド店もあるが、品揃えはターミナルにある旗艦店にかなわない。
 ところがアメリカでは、アップルストアなどの特殊な例を除くと、中心部に家電量販店はない。少なくとも、大型の家電量販店は皆無だ。「誰もが自家用車で家電を買いに出かけるのが前提」であり、当然ながら店も駐車場も徹底的に広いのである。と言っても、体育館を想像すると間違いで、感覚的には「サッカー場より広い」と言っても大げさではない。特に通路の“ゆったりさ”は日本とは大違いだ。だが、陳列の仕方もまったく違う。 たとえば、ビデオカメラの売り場は、日本の大手量販店では7~8メートル程度の棚1本に全商品が並んでいる程度だ。アメリカの量販店では、同じ長さの棚が3~4本ある。だが、じっくり見てみると、日本より品揃えが多いわけではない。展示がスカスカなのだ。日本では、ビデオカメラを並べる際には、ほとんどくっつかんばかりに「所狭し」と並べられている。しかし、アメリカの量販店では、1台ずつの感覚がかなり離れているのだ。その理由は、棚の下を見るとよくわかる。なんと、そこに“在庫”があるのだ。ケースには鍵が掛けられているのだが、棚がメッシュになっていて中が見える。お客に「在庫の有無を自分で確認させる」というわけだ。ビデオカメラばかりではない。テレビやPCなどの大物以外は、全ての家電の在庫が、その場に置かれている。つまり、この巨大な売り場は、倉庫も兼ねているというわけだ。
----------中断
カルフールのお店が似ているともいえるのだが、家電品だと、多少この傾向を持っているのが郊外型の「ヤマダ電器」のお店かも知れません。私は、ターミナル集客がたと郊外型を使い分けできる環境にありますから、これはアメリカ独自とはいえないのだろうと思いますが・・・しかし・・・・
----------再開
 もう1つ驚かされるのが、陳列が恐ろしいほどシンプルなことだ。日本の家電量販店で見られるようなポスター類は皆無と言ってよいほど見あたらない。ただひたすら商品が並べられているだけだ。 しかも、POPも無味乾燥だ。最低限のスペックと価格が横並びで記載されているだけなのである。
店頭で商品の差が付かない 恐怖の売り場」を垣間見た
 日本の場合、売り場には多くの店員がいて、お客の求めに応じて色々な説明をしてくれる。極論するなら、日本の家電量販店もレジだけあれば機能するはずだ。だが日本には、お客さんの質問に答えたり、デモをするための店員が大勢いる。まあ、その何割かはメーカーからの応援であって、そこにはまた別の問題もあるのだが……。
 アメリカの店員は、自分が担当するものしかわかっていない。というより、質問をすると「担当者に聞け」と言われる。担当者は、陳列場所やら商品の規格対応などの知識は持っているが、売り込むことはほとんどない。
 日本なら「こちらの方が画質はよいです」「スナップ写真ならこれで十分です」と、ときには親切すぎるほどアドバイスしてくれるのだが、この差には驚かされる。アメリカでは、店員が売り込むことをせず、POPもポスターもない――。これでは、特別な知識を持ったお客以外は、本来自分に向いている商品にたどり着けないだろう。僕は、現地で格安ビデオカメラを買ったのだが、店員に画質を聞いても「HDだからきれいだ」というだけである。「高級機のビットレートが高い」とか、「安物は手ぶれ補正がないから困る」といった説明は、皆無なのだ。
 これでは、お客が手頃なスペックで安価な製品を買おうとするのは、間違いない。自分で選ぶとすれば、気にするのは色やデザイン、メーカーのブランド程度だろう。これでは、メーカーが必死に新機能を開発して盛り込んでも、たぶんお客には伝わらない。
 目立つ機能が1つか2つあって、デザインがそこそこよくて安ければ売れてしまう。だから、開発力は機能よりもコストダウンに力が入れられてしかりなのである。メーカーが工夫を凝らし、付加価値を盛り込んだ商品の魅力は正しく伝わらないだろう。つまり、製品の進化は止まってしまう。今回の出張を通じて、「やたらにPOPを並べ、これでもかとデモ展示を行なう日本の売り方は、絶対正しい」と確信した。
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確かに、際限なきニーズの欲求(性能・機能・信頼性)があるからこそ製品の進化はあるというのはあるのだが、主観の違いというものはあろう。そもそも、特別な知識を持ったお客以外は、本来自分に向いている商品にたどり着けないのは、アメリカの考えだと自己責任なのではないか。そもそもCMという物自体、日本では多少なりとも生活情報を出して、新たなニーズを訴求ということで市場の活性化を促してきた経緯がある。これは中国本土・台湾・日本・韓国にもそのような方法はある。
ところが確かにアメリカのCM見てもわかるように、自己のプレゼンと相手のけなしあい(比較広告なんかそのうちの上品なほう)のなかで、顧客が自主的に選定することを前提にしているのだから、もし日本的な提案営業を販売末端部で進めると、売り場の担当者間で客を取り合う世界が起きるし、またそれは回避されても、逆にセールスマンを情報源ではなく、利得を得るために働いているものと認識するなら、そういう環境の商慣習とみなすしかない。逆に日本や特に中国のCMを見たアメリカ人はイメージ先行のCMが普通であることに対して、驚くという。アメリカ・カナダのCMは一つの商品にイメージだけのCMオンリーではなりたたないということをいわれた。
メーカーが工夫を凝らし、付加価値を盛り込んだ商品の魅力は正しく伝わらないのだろうが、そもそもそういう情報をセールスマンやCMでうる事自体が情報の公正性を欠く所作と考えてるなら、基本的に家電品に過度な機能を期待するのはコアな人々となる。製品の進化なんて企業が利潤を得るための所作に過ぎないという認識がある。

電動工具を日本が沢山作っている。プロ用の機器は日本・ドイツがやはり一日の長があるようだ。ところが、北米に廉価な家庭用工具を販売してもまったく売れない。ドイツ企業でも同じである。そこで、調べてみると国産や国内企業製造の電動工具が極めて安価に売られているというのだ。そこで目にしたのは、きわめて短寿命(家庭用なら日本では、500時間ぐらいの設定、アメリカで売られる製品は50時間の寿命設定)の製品群である。そこで彼らはどう考えてるのかというと、連続駆動をするでもなし、廉価な工具を多数選んで買うほうが便利だ・・・ということで高級機種が売れることは先ずないというのである。反対にプロ用の工具(モンキー・レンチなど)は日本製は評価されているが、実はDIY用のネジ回しなどの工具はアメリカではそもそも売れないという意見もある。うまくまわせないからこそ、素人は電動工具を買うのだという。

さてこの様な提案営業をしにくいという社会風土がある製品は日本でも結構ある。付加価値が勝手に付けられない加工性の低い素材系産業に多い。
例えばガソリンがそうである。実際にはメーカーごとに差異があるのだが(特にハイオク)、ガソリンの差異は素人ではわかりにくい上に、長時間継続して同一ブランドを使えればその差異はみえるものの普通はわからないということもあって、差別化ができないというのである。そこで環境にやさしいという高度脱硫軽油なども試験発売をはじめたのだが、逆に標準品が高度脱硫軽油に移行してきている。あえて言えば「日石」「出光」「ESSO」のブランドイメージ、そして付帯商品(タイヤ・バッテリーとかスタンド併設のショップ)ぐらいになってしまうので、アメリカの家電の販売とパターンが変わらなくなっている。

となると、彼らは家電品に付加価値を持つものを選定するのは、特定のコアなユーザーのみであって、基本は冷えればそれでよし、ケータイでも話せればそれでよしであり、それを前提として富裕層や浮遊層(流行に敏感であるが流行に踊らされる先駆的だけれども、継続顧客になりにくい層)は自力で選択すればいいのという、ある意味堅実な志向を求めるために、ニーズの提案を受け付けないのかなと考えている。
そういえば、業者間でも潜在ニーズを引き出すセールストークを私はアメリカ人から聞いたことはない。(アメリカ企業からはあるが、それはすべて日本採用の日本人営業職である。)
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最近家電をネタにすることでトークの技術を生かした「家電芸人」というくくりがあるらしく、私もTVで見ることがある。秋葉原はかつて啖呵売りというか屋台を出してセールストークをする売りかた(専門用語ではこれは訪問販売の一種である)のメッカであったが、それと家電の売り方が相性がいいのかも知れぬ。
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「家電芸人」のプレゼンテクを盗む 梶原 しげる 日経ビジネスオンライン2008年10月2日
(引用)
問題点を明らかにしたうえで新製品をアピール A:「洗濯気は今、ドラム型が人気ですよね。従来の縦型と洗浄方式が違って洗い上がりが断然いいし、生地が傷まない。でもやはりでかい! だから量販店でパネルにメジャーを当てている人みるでしょ? そんな人に一言アドバイスしましょう。設置場所のスペースがぎりぎりOKだ!って喜んで買って帰る人がいるんだけどちょっと待った。うちなんかもそうだったんだけど、設置場所の手前の脱衣所入り口が思いのほか狭くて搬入できない場合が結構あるんだよね。あらかじめ、その幅も測っておいた方がいい。それと、意外に失敗するのは水道の蛇口の位置。最終的に高さが合わずに泣く泣く返品なんてこともあるので、家の構造もチェックしておかないとね」
(問題点を先回りして警告。無用なクレームが発生しないための心使いがポイント)
B:「うちは賃貸のアパートで、狭さ的にあきらめてたの。でもA(メーカー名)さんのB(製品名、製品番号)は唯一縦型で、機能はドラム式というのがあって、ぼくんとこみたいなワンルームの人にはお勧めやね。家電では省エネと、省スペース結構大事なんよ」
(体験談を交えながら、新たな解決策を提示)
主婦:「うちで自慢の家電と言えばプラズマの出はじめに100万円以上出して買った50インチのテレビなんだけどね。スペース的に言ってでかすぎね」(プレゼンに刺激され、不安が首をもたげる)
C:「今50インチならCさん(メーカー名)のD(製品名)で、ぐっとコンパクトで、値段も押さえた20万円台がありますよ」(最新情報の提供)
D:「そのプラズマ、ブーンて言う変な音してません?」(問題点の確認)
主婦:「するする」(気がかりな点を突かれ、話に乗ってくる)
D:「当時のプラズマは電子レンジと似た原理で、音や熱が出る。電気代も今のものとは比較にならないほど高い。難儀やなあ」(問題点を分かりやすく、具体的に指摘)
E:「しかもそれ、ひょっとして、地デジ対応していないかもね」(万一の場合も取りこぼさずに確認)
・・・・・・(後略)
-------------終了
このような、営業方法をする相手は、提案営業のいい事例である。ところがこの手法で販売することを日本でもアメリカの人にすると嫌がることがある。人の意見に流されやすい人だと彼らは考えてるのではないか。つまりそれは彼らにとっては非常に「レベルの低い顧客」であると考え、かつそのような営業人材を販売店が雇用することを期待していないのかもしれない。同じことは自動車でもあると聞く。更に一般の購買層に対し「プレゼン」をすることは詐欺師と変わらない意識をもつ地域さえあるそうだ。要するにこれを解決するには、文化的差異を前提とした議論が前提で、「やたらにPOPを並べ、これでもかとデモ展示を行なう日本の売り方は、絶対正しい」というのは、製品の進化を期待しない世界ではなりたたない前提である。
つまりニーズによって製品の構成が変わるのは当然のことである。私は一巡したら中国の携帯電話もメールはともかく(漢字はしにくいですから)WEB閲覧形に変わってしまい、韓国と同じように技術やサービスなどが日本市場で独自の進化を遂げて世界標準から掛け離れてしまう現象があり携帯電話市場が日本形に近くなっていく地域ができると考えている。(ただしこの製造者のメインは、韓国であろうが)ただ、周囲で「週休3日」になったら他の仕事探すか…なんて話も。(続く)

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