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鉄道試験線かテーマパーク

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廃止の小坂鉄道、町が活用方針 鉄道試験線かテーマパーク目指す (2009/06/12 10:07 更新)秋田魁新報
 小坂町は11日、4月に廃止された小坂鉄道(22.3キロ)を「鉄道専用試験線」か「テーマパーク」として活用することを目指す基本方針を示した。6月定例議会の一般質問で細越満町長が述べた。町は今後、沿線の大館市や、鉄道を所有する小坂製錬(小坂町)などと話し合って具体化に近づける。
 貴重な産業遺産である小坂鉄道をまちづくりに生かそうと町は昨年12月から、都内の鉄道コンサルタントを入れて、月1回の話し合いや視察、鉄道研究機関への相談を重ねて、活用方法を探ってきた。
 町が示した活用方法は二つある。一つは、技術を開発したり安全性を確認する鉄道専用試験線としての活用。庁内検討会で座長を務める近藤肇産業課参事によると、国内に大規模な試験線はなく、国土交通省の諮問機関が昨年、将来の鉄道の在り方を提言した報告書の中で、その必要性を指摘したという。
 もう一つは、小坂駅構内へのテーマパークの開設。かつて同鉄道を走り、現在は町立総合博物館「郷土館」に屋外展示されている機関車や客車などを移設、機関車の操縦体験も可能な施設にする構想。どちらも、観光シーズンや休日には観光列車を運行する計画も視野に入れている。
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「国土交通省の交通政策審議会の部会は昨年6月、国への提言書の中で鉄道安全性の適正評価や新技術の開発推進に向け、試験専用線の整備を『検討すべきだ』と指摘」したという報道がこの典拠ではあるのだが、「交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会技術・安全小委員会議事概要(第1回)」に、試験線が国内にないことが、最新の鉄道車両のあしかせとなっているとの表現もあるとか。
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確かに保管・維持を進めようとしても、経費・技術・安全維持の問題や、何よりも意義の問題で議論になるのは確実である。そして、試験線というものが国内には大きなものがないというのも事実である。たしかにそのために恒久的な設備としてこの線路を使うのは確かにあることだ。4月に廃止されたこの線はこのしばらくは貨物専用線として小坂町の同和鉱業の精錬所(元々鉱山があった)の輸送のうち硫酸を副生物として用いたものを工場に輸送するために用いていた。(精錬所のほかの製品は輸送先の都合ですでにトラックになっていた)硫酸を道路輸送するのは事故等の問題を考えると問題が大きいので、そのために残っていたのだという。所がプラントの更新で副生物に硫酸がなくなってしまったことが廃止の元である。
かなり前にまだ旅客輸送があったころにいったことがある。このころに比べ鉱山自体の活気があったが、その後町も衰退していることもあろう。19世紀に鉱山が発見され、金・銀の採掘、ついでは銅・亜鉛の採掘も行なわれた。戦後は鉱山資源が枯渇し衰退したことから、現在では、明治期の近代建築や十和田湖の観光資源を生かした町づくりを模索している。今回の計画も其の一貫であろうし、また、研究施設自体が産業となることで誘致効果も高かろう。もし実現すれば、かつての狩勝実験線のような使われ方をするのかというのだが、その狩勝実験線自体1979年に廃止され線路も撤去された。(現在は多くの区間が遊歩道として整備された。)ただ、どういう実験を行うために走行試験線が必要なのか、その辺が分からないとなんともいえない。

おおきなものではないが、東京大学の生産技術研究所 千葉実験所には国内の大学としては初めて LRT(次世代路面電車)等の鉄道研究用実軌道がある。(生産技術研究所 千葉試験線)
これは最近作られたもので、鉄道の試験線は車両の走行試験のために大変重要であるにもかかわらず、日本国内ではほとんど存在せず、既存の鉄道線を実験に使ったりしてるのが多い(例外は宮崎と山梨。また名古屋にもあったが、これらは従来型の鉄道のものではない)
そして、

狩勝実験線:根室本線新内駅付近から新得駅付近の廃線を利用した旧国鉄の実験線
鉄道総合技術研究所国立(くにたち)研究所(といいながら国分寺市にある):研究所周囲を一周する形で線路が敷かれていたが、現在は一部のみ残存し、試験に使用。
日立製作所水戸工場:構内に試験線路があり、一時は東急6000系を譲渡され、試験用と通勤客車(駅⇔工場)として使用された線路が該当。

というものが過去にあり、現在でも一部は活用されているのだが、事実上企業が線路をまるかかえすること自体が日本の国土内ではPAYしないようである。その意味では確かに着眼点はいいのではあろうが、これらの線路が円形線路であることを考えると、さてこういうものはかなり長いスパンにおいて試験しなければならないということを考えると、相当念の入った国庫費用の引き出しなどを立案することが求められるため、その覚悟が現地にどれだけあって・・・というところにキーがあるのかなあと思う。
その意味では鉄道総研の分署である、風洞技術センター (米原市)塩沢雪害防止実験所 (南魚沼市)勝木塩害試験場 (新潟県岩船郡 )などが運営の参考になるのかなと考えている。
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むしろ、これをテーマパークとして使うなら、実験設備としての特徴(隠蔽性・・・技術開発における機密保持)とは相反する側面もあるというのが悩ましい。選択と集中というのがもしかしたらこの場合の誘致のキーかもしれないねえ。

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コメント

こんばんは。
小坂鉱山といえば、今では携帯電話などからレアメタルを取り出す技術で注目されていますが、過疎化は止められないようですね。
http://www.akita-ecotown.com/akita_kan_re.html

投稿: kunihiko_ouchi | 2009年9月 1日 (火曜日) 00時31分

同和鉱業はこの方面では世界に冠たる技術力がありますね。鉱業としては衰退がひどかったのですが、このような分野で見事リーディングカンパニーになりましたな。
>過疎化は止められない
ですが、周辺部の衰退も厳しいので相対的には・・・(以下自粛)

投稿: デハボ1000 | 2009年9月 1日 (火曜日) 21時26分

こんばんは。
小生もこの記事、チェックしてました。
小坂町も町長が代わっての最初の定例議会の話です。
前町長時代から線路を活用できないか…という話が出てたものの
町長が変わっても迷走してるようです。
ちなみに前町長は4月の知事選で落ちたものの
今回の総選挙では小選挙区から当選しました。
実験線にするにしろテーマパークにするにしろ
公共交通に対する民主党政権の考え方が見えて来そうな感じですが?


投稿: nakappi | 2009年9月 4日 (金曜日) 22時59分

元々、この話自体は非常に高度な見地が必要でして、迷走・・というより意見調整の行為は避けられないところがあります。
この視点は二兎を追うところに在りますが、試験線の開発内容を理解しないと使い分けが必要でして、今中心の高速鉄道用の試験線となると、相当に敷地がないと難しく、LRTの場合は逆に市中の企業者が協力的ですし。
この東京のコンサルさんがどういう見地で提案されたのかが気になります。

投稿: デハボ1000 | 2009年9月 5日 (土曜日) 10時10分

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