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みなさまの阪神電車がお送りする

えー、普通はこの『ウィーンはいつもウィーン(Wien Bleibt Wien)』という曲を聴くと日本人ならスポーツ中継を思い出すものだそうな。実際中京地区では東海ラジオが ガッツナイター(ネットワーク はNRN系)という番組を1975年よりやっているが、これをずっと使っており、ライオンズファンにはなじみがあるとも聞く。
(2012/10差し替え)

参考:http://www.nicovideo.jp/watch/nm4492809
朝日放送テレビでは各地からのスポーツ中継のタイトル音楽(概して朝日に栄光あれ)をほとんど「ウィーンはいつもウィーン」に全部差し替え、反対に大阪からの送り出し分は各局にて「朝日に栄光あれ」に差し替えたという経緯がある。(その後も最近までタイトル音楽は差し替えていた。歴史的経緯から、朝日放送とテレビ朝日は仲が悪いということらしい。放送業以外の周辺事業・・・ハウジングセンターや料理教室・・・は朝日放送とテレビ朝日は別展開である。)
同じ曲を大阪朝日放送ラジオでも野球中継で使っていたが、それ以上に私がこだわるのは、ラジオのスポーツニュースのバックで使っていたからある。
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スポーツ・パレード(1952年1月13日-1998年4月5日 1954年4月3日以降放送終了まで毎日放送)という大阪ABCラジオの10分間の帯番組で、その日のプロ野球ナイターの試合ダイジェストの実況音源を中心にスポーツニュースを提供。放送中は『ウィーンはいつもウィーン』をバックにかけていた。最終期は5分間に縮小。後期のスポンサーは阪神電気鉄道。電車やバスのCMや、今はなき甲子園阪神パーク六甲山人工スキー場(冬期)といった関連レジャー施設のCMを2本番組前後に放送したが、このアナウンスも『ウィーンはいつもウィーン』をBGMにしていた。
なんとなくわかると思うが、スポーツの報道は淡々と進めるのだが、スポンサーがそうだからかどうしてもタイガースの内容が多い。まあこれはそもそもそういう聴取者が多いともいえるのだが。
したがってこの曲を聴くと「みなさまの阪神電車がお送りするスポーツ・パレード(阪神電鉄といわないことに注意)」という高らかなアナウンスに続いて、そのまま曲が続いてアナウンサーの甲子園阪神パークの生CMに入ってしまう、やれ情けないイメージがついてるのである。
なお西日本で吹奏楽が盛んな地域では課題曲として有名なんだそうな。
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さて、この曲自体はヨハン・シュランメル作になるものである。シュランメル兄弟という名前で知られる1800年代後半の人である。
シュランメル兄弟はオーストリアの北部の田舎から出てきた農民である音楽好きの父がウィーンの郊外にでてきて、民謡歌手の女性と結婚し生まれた兄弟である。で兄がヨハン・シュランメル(1850-1893)。弟がヨーゼフ・シュランメル(1852-1895)兄弟は両親から典型的なウィーン音楽をならった。ヨハン11歳、ヨーゼフ9歳のとき舞台デビューし、音楽的才能が優れていることから音楽学校(しかしこの学校は良家の子女がメイン)に息子は働きながら通うが、これを辻馬車組合が金銭的に支援した。(今で言うとタクシー会社がスポンサーになったようなものか)兄は劇場オーケストらのメンバーになったり、従軍し戻ってからもオーケストラのメンバー、帝室歌劇場でも演奏等として評価を得ていた。弟は家族と楽団を組み巡業の旅に出た。
ところが、ウィーンでは19世紀ウィーンのハプスブルグ王朝のもとで栄華を極め、1873年万国博覧会開催直後株価暴落がおきた。今で言う経済学的に言う「バブル経済崩壊」らしい。おかげで社会情勢は急速に変化し、庶民の中にも刹那的機運が出、現実を忘れる芸術が普及し、ホイリゲ(後述)や芝居小屋でエンターテイメントが人気を博した。
このなかで、シュランメル兄弟はトリオを結成した。バイオリン、クラリネット(後にアコーディオン)、コントラギターの編成で、ヴアイオリンがギターの伴奏で演奏することが斬新で、ボタン式アコーデイオンや音域の高いクラリネットの採用がシュランメル音楽の伝統的スタイルだ。評論家などの高い評価などありその後「シュランメル・カルテット」が誕生した。1890年体調不良もあり兄引退。
どちらかというと、ウイーン民謡と共に、庶民の音楽として扱われている。シュトラウスのワルツが高級な人たちには持てはやされた時期と同時に、庶民の酒場であるホイリゲ(ワイン醸造場併設の立ち飲みやらしい)などの酒場では、人気があったらしい。
ホイリゲは、オーストリア東部に見られるワインの作り酒屋が自家製白ワインをジョッキで売る酒場で、本来のスタイルが料理も家庭料理をセルフ・サービス方式で頼む。トルコとの戦争でウィーン市内ではワインを入手しにくくなったため、郊外の農家に「今年の」新酒の自家製ワインを買い出しに行くようになったのが始まりという。
そうなると日本ではこの手の飲み屋は「立ち飲み」のようなものだし、シュランメル兄弟は宮川泰とかキダ・タロー、イージーリスニングの楽団にある意味近い、大衆音楽がメインともいえるわけである。さもなくば、演歌の中でも三波春夫にちかいんですかね。
ただし、『ウィーンはいつもウィーン(Wien Bleibt Wien)』というのはどうも、この時期の社会情勢から考えたほうがいい曲だともいえる。ハプスブルグ王朝はバブル崩壊で国力の低下が抑えられなかった時代であるため、国粋的行動が民衆の間に広まっていたことも否定できない。つまりいくら力が落ちようとも、戦争で負けが込んでようとも、文化の集積地であると自認するウイーンは常にウイーンであるといえるのだ。経済凋落のときや政治的不安定なときに出てくる「戦時歌謡」に近い存在とさえ考える。参考:http://dehabo1000.cocolog-nifty.com/holder/2008/12/post-62e1.html
19世紀後半ハプスブルグ家は次々と不運に見舞われる。クリミア戦争で同盟は崩壊し、1859年にはサルデーニャ王国に敗北、1866年の普墺戦争で大敗と国際的地位を低下させた。あげく国内で民族自治の機運があり、1867年に、オーストリア帝国とハンガリー王国とに二分して同じ君主を仰ぐオーストリア=ハンガリー帝国に再編(しかし内情はぼろぼろだったとか)。1889年、ルドルフ皇太子は愛人と自殺、息子の死で悲嘆にあけくれたエリザベート妃は欧州を転々とし同年にスイスで刺殺。1914年、王位継承者フェルディナンド皇太子がサラエボで暗殺される。これが、第一次世界大戦につながるのだ。こうなると、確かに下手に素朴な愛国心が出てくるのだろう。その意味ではこれが近いのかな。


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そーなんですよね。
イージーリスニングというのが近いのだろう。軽音楽として、具体的には管弦楽によるポップスを指す(クラッシックの人から見たポップスというと、少し砕けたクラッシックというニュアンスでからる場合もある。)これ自体は1960年代の中頃よりフランスで、ポール・モーリア、レイモン・ルフェーブル、カラベリ等のグランド・オーケストラが台頭し、ポップスの管弦楽アレンジを多数発表したことが、現在の意味でのイージーリスニングの呼称の始まりになったというのが一般的である。
というところで見ていたら、ジェームス・ラストという作曲家が、ジェームス・ラスト楽団としての活動をしているらしい。日本では余り有名ではないが、ドイツ圏ではそこそこの評判を持つらしいが、この楽団のアレンジを見て、「なんだこれは。ラインダンス? 宝塚か紅白かOSKか」と目が点になった。(なお後半はPraterlebenという曲をアレンジして入れているらしい)

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というわけで、民謡酒場(秋田などには結構ある)のイメージが近いかもしれない。これなんぞそうですな。

となると「Wien Bleibt Wien」を三味線、太鼓、笛、当り鉦などという出囃子(またはちんどんや)の一種のアンサンブルでやるのもひとつである。(ちなみに、寄席の出囃子で洋楽は、「檄!帝国華撃団」「デイビー・クロケット」「私を野球場へ連れてって」「白鳥の湖」「オクラホマミキサー」「イエローサブマリン」「魔法使いサリー」「ミッキーマウスマーチ」「青い目の人形」というのが有名)
ほかにも地歌三味線(三弦)、箏、胡弓の三種の楽器による合奏編成、や、三味線、箏、尺八による編成もこれである。こうなると邦楽器で試みてもいいかなあと思っている。こころみに大正琴でやってみたのだが、三味線式の3上がりの調律がみそかもしれない。
2012/10
参考:このスピード・アレンジが近いという意見がある。

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コメント

ABC朝日放送の演奏は、カラヤンかな?やたら、速い。

投稿: 自在電 | 2009年6月28日 (日曜日) 07時35分

>えー、普通はこの『ウィーンはいつもウィーン(Wien Bleibt Wien)』という曲を聴くと日本人ならスポーツ中継を思い出すものだそうな。

いやあ、てっきりスポーツ中継のテーマソングだとばかり思っていました。オーストリアの曲だったんですね。1つ勉強になりました。

投稿: kunihiko_ouchi | 2009年6月28日 (日曜日) 21時29分

>ABC朝日放送の演奏は、カラヤンかな?やたら、速い。
すみません。そこはわからないのです。ただし放送用に使う場合は、最近テンポをあわせている場合も多いですね。
>てっきりスポーツ中継のテーマソングだとばかり思っていました。
浅草のオペラで謳った記録もあるようです。このように行進曲風でないアレンジもあるというのは面白いですねえ。

投稿: デハボ1000 | 2009年6月29日 (月曜日) 15時18分

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