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展示会の出品傾向に悩む

今年も第13回 機械要素技術展/第20回 設計・製造ソリューション展 / 第17回 産業用バーチャル リアリティ展 にいってきました。

会期:2009年 6月24日(水)~6月26日(金) 10:00~18:00 (26日(金)のみ17:00終了)
会場: 東京ビッグサイト

世間一般に展示会に出展する会社が少なくなっているとは言いますが、それでもこの催事は比較的人気のあるものであり、多くの展示物がでていたし、きわめてにぎわっていました。
まあ、ねじなどの締結部品や軸受けなどの機械要素については、それ自身の展示はある程度一段落した雰囲気ががある。最近までは防錆処置のROHS指定などに伴う材料変更などが注目されていましたが、現在は安定した供給というところに視点が置かれているようですなあ。それ以上に盛り上がりが業界内にあるのか、活気が見られます。
認識の問題ではありますが、私たちが「定番の締結手法」と考えてるゆるみ止めナットとて、そのものを触りもしなければ、見ることのない若年の技術者にとっては、こういう場は新鮮ではあります。そしていかに良書を推薦したところで、締結の実際を見なければ着想もわかない。そういう若年層がこの様な展示会で着想を得てくることさえ、出張旅費の削減に汲々としている企業では意欲が出てこないのもまた実情らしいです。もちろん、良書を見て、ぜひともといってカタログをもらうというのも若年技術者のパワーなんですがね。
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産業というのは現場の集まりで、良い現場を日本に残していくことが大事であるが、この現場は大きくいうとものつくりのビジネスシーンという考えを私はしている。後述するが現場が良ければ人間も育つものともおもう。ただし反対に悪い現場に置いたらダメになるのもまた若年層である。(後述)

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で、確かに機構部品の進化は少しながらも改善ベースの進化をしているし、着想にはこれいただき・・・といいたくなるものの多い。そういうものは概して大学との共同研究になっていたりするのも事実である。基礎研究と開発は学校が、試作と商品化は中小企業にインキュベーションセンターのバックアップということが多くなっている。
ただし、こういう展示会だからでもあろうが、大学発ベンチャーなどの販路開拓が意外と少ない。
インキュベーションセンターの支援という場合のほかに投資銀行・・・いわゆるエンジェル(個人投資家の中で、特にベンチャー企業などの創業初期の会社に対して出資を行う投資家。森永製菓のは「どこかでエンゼルが、いつでも眺めている」ですな)が関与する事例が多いのですが、最近の傾向として全体に投資の回収が困難になることが多くなっています。もちろんこれは、経営者の技量にも寄るわけで、その確認をする必要があってのことです。しかし、製造業に限ってみれば、新たな商品を開発してもそれが商売になるには、既存の企業の販路や保障(これは万が一良くない製品である場合の金銭的保証という意味)がなければ、購入する企業側の責任(経営責任まで来る)ことになるわけで、このため投資回収が10年前の3倍まで長くなっているようです。一方投資銀行としては、回収を早くすることが経営の根幹ですが、製造業においての回収が上場に伴う株売却しかなくなってきて居る。そこで投資してから3年で回収ということになると、今度はかなり無理して上場してしまうことも多く、上場してから倒産ということが多発してしまう。結果、製造業においてまったく既存の企業からの財政的や技術的支援を受けない場合は創業が極めて困難になっている。以前はこういう働きを総合商社が代行していた側面があったのだが、ビジネスモデルの世界的変動で、この体制の維持は難しいようだ。逆に、ソフトエンジニアリングやサービス業が回収が早くエンドユーザーが完全に一般顧客ということから信用問題も薄いのだが、それを中心にすえた経営も、内需の食いつぶし状態になりかかってまた問題になっている。

となると、既存の企業における新規製品を期待するための展示会という意味では、どうも物足りないところはある。
当然気を吐いているのは製造業としては地域の受注組合方式のようだ。ただしこれを製造業として考えることは当然としても、「他ではできない特殊な加工を少量でも短納期で確実に」という方式は、どっちかというとサービス業としての形に近い製造業である。(ワンストップサービスという考えもある)自動車の試作品を全部丸ごと(金型など初期投資なしで)受注するなどという仕事は以前からあったが、こういう企業が本格的に製造業のキーとなるという、製造業とサービス業の境をはずした形というのが、今後の理想であろう。
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中国の製造メーカー(今回もねじのブースにワッシャーの工場などがでてましたね。)は比較的既存アセンブリーの組み合わせでものがなりたつと考える、モジュラー型設計を取る。「安かろう悪かろう」がなりたつ市場では、日本は勝てないし、既存市場の中には、市場認識を「価格がすべて」ということにしてから、市場が転移した事例もある。自転車がそうで、価格が極めて下がって、メンテナンスするより買い換えたほうがましという市場認識を熟成されたところに、海外への転移が起こってしまった。この証左として、自転車でもキーテクである変速機などは「価格が安くてもしっかりしたものでなきゃだめ」であることから、日本企業は完成車が海外主流になっても、変速機が日本製(イタリア製もそう)というだけでもそれなりの価値を得ている。
となると、日本と比較的、設計思想的に相性がいいのは、むしろインドという説はわかる気もする。彼らは英国の文化を見ておるため知財を守る概念はある。産業資本が意外にしっかりしていて、しかも擦り合わせ的設計がが結構できるのは、彼らがソフトエンジニアで、根底から原理を見直した革新的なプログラムを作ることからも想像がつく。
インドのタタ・モーターズの「ナノ」は30万円台のきわめて安価な車であって、日本市場には安全という意味でも品質という意味でも取り入れられないという声は多い。しかし、これを国民車構想というイメージで考えると身の丈にあっているという認識である。そしてこの開発は国民性を熟知した人々と設計者の擦り合わせ型で、製品企画から設計が練られていたといわれている。日本での国民車構想を忠実に再現したものはなかったが、生産性と既存技術を組み合わせたものというものが、スバル360 スズライトやスズライトTL、ミニカを、フェローという初期の軽自動車群といえるのだが、これらもやはりモジュラー型設計でなくすりあわせ型、コンカレント型の設計であり、その仕方を会得した技術者が求められるのだろうと思う。
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ただし、展示会もその実、すり合わせの技術より、運用が簡単で海外展開しやすい、モジュラー型の志向が強いことを取り入れないわけにはいかなかろう。セミナーもやっているが、製作・方針的視点のセミナー(この景気では人があつまらないらしい)とは別に行う技術講座もどっちかといえば、機械自体ではなくその仕組み(フレームワーク)の形に偏っている。
今回であれば、機械自体の紹介としては
●ボールねじ関連商品の最新開発動向  k社
がある。技術サービスを売りにするものもある
●3次元形状計測システム   K社
●機器の信頼性・耐久性評価技術 K社(全部違うのですが・・・)
●物理的根拠に基づく新シミュレーター技術
が、おおむねCADかCAMに絡んではいるものの、
●コスト削減と環境対策
●製品開発コスト削減のユーザー事例
●問題解決手法と知識ベースを統合したソフト
●適在庫戦略ソリューション
●CAEをリードする革新的解析環境・
●CAE徹底活用術・・・・
というように、技術そのものよりその根幹を提示するから、使ってね(はーと)heart01という形である。すでに技術はあくまで経営のツールの中に埋め込まれたもので扱われる。
もちろん工学というものは霞を作るのではなく現物を作るものであるから、経営が絡まないわけがない。しかしそこが勝ちすぎると、なんのためにこの製品を計画し、この製品を開発し、作り、検査し、販売し・・・という動機付けが薄くなる技術者が増えることになる恨みはのこる。仮想現実というか、日々の業務で仮想するしかすべがない現実へ重心が偏るのも程度問題であろう。
ソフトは大切だし、フレームワークの確立は企業として継続発展のキーである。しかしそこばかりしか付加価値がないという製造業は、本当に生き残れるのかなと思うところはある。それがすり合わせなのかは、検討の余地があるが。

某企業で民生品の産業機械の製品開発を担当した人物がぼやいていた。
製品を作る作業者、設計者は多い。ただしこれらを実際使ったり、使ってる人がそばにいたり、日頃から問題意識をを持って製品に接することが習慣となっている人はこの工場にほとんど居ない。
なぜかというと、この製品は国内での販売が原価構成と市場要求から衰退し、また残った同等品も輸入品にシフトし、国外への販売ばかりしかなくなってしまった。幸い今は国外販売はそこそこである。
しかしこれで、いい製品とか顧客に喜ばれる製品ということを工場の職員が企画しようとしても、ユーザーとしての実感がわかないからか、「なぜこの製品はこういう作業をするのか」「この製品はこういう設計にするのか」を実感できなくなっている。営業情報でこれをカバーするのは、主観が勝ちすぎる報告しかない事情では熟練者でも難しい。
その上、最近は図面だけを作成し海外で作る場合もあるが、その製造過程の設備やニーズを推測して計画・設計することができず、既存製品のアレンジ・モディファイしかできない人が担当になってしまう。むしろ、逆に言うとそういう人しか設計職場にいない方が普通。これではハブ工場といっても、実質製造工場の外部委託になり、そのうち製造工場がいうことを聞かなくなるのでは・・・と。
そして彼の勤務先は、そのうち新規製品の立ち上げができなくなり」、かといって海外工場では開発経験が乏しく、その商品の製造をやめざるを得なくなるのである。表向きはOEMにしたもののいずれは・・・なのである。

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