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「いっちょかみ」

物事を面白がる人って少なくなりましたねえ。面白がって「とりあえず参加しておく」というのもその人のステータスによってはありなんでしょうが。
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いっちょかみ:関西弁のうち泉州地域の言葉で、一丁噛む=いっちょかみという意味である。
「おいしそうな話なら、とりあえず参加しておく」少し蔑称の意味がある。なんでもしたがるくせにすぐやめる人の事や、おせっかいに口出しする事もいう。
最初から、うーむ何もできないんだよなという形で自分の仕事や趣味にきわめて高い究極性を求める、ないしは普遍性を求めるというのも確かに社会人としてだったり、研究者として、技術者としては必要ではあるし、その道を極めることはすばらしいことである。けどすばらしいことは決してひとつの典型例では収まらないのである。

漫才の品川庄司の品川氏は「いっちょかみ芸人」といわれているそうな(とはいえ、品川さんは関東の人である)。彼の「必死にする」と、「なんでもそこそこ達者」という側面がそう見られるみたいだ。器用貧乏ということかも知れぬが、漫才でも、作家としても、映画監督としても、そしてひな壇芸人というある意味特殊な芸風でもそこそこの力量を見せる。すべて彼よりも上が同じ芸人仲間にはいるので、一番にはなっていないようだ。芸風に多少癖がある(くどい、ある意味のマンネリをわかっていながらそのことを面白くさせることを彼は自分の存在価値にしている)から嫌いな人も多いが。私はそうは思わない。
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企業にいても、なんでもする人=なんにもできないひとという解釈はされがちである。一見何でもしてるという人の中にも「管理業務のみをしていた」という形もあるので、いろんな部署を動いたことがなんでもするひとと同じ意ではないことには注意したい。どれもこれも懸命にやってきたが、一番に近いところまでいっても一番にはなったこと無いということはあろう。
私は、「これしか無い」よりいい。会社員ならば、「これしか無い」場合の「これ」がなくなった時の末路が悲惨だ。
ということを聞いたことがある。そうなるとなんでも一生懸命に一丁噛むという矛盾している見える行為は、会社員でもありだし、研究者としてもありえる世界と思う。
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同じコンサルタントをしている人と話していると、その営業形態として、ある特殊分野にターゲットを絞った技術で、余人をもって換えがたしという側面を強く出す人がいる。それでいいのであって、そのような人には直接的に仕事が来なくても専門家ということで同業の方から紹介を受ける場合が多い。企業でも、学校でもシンクタンクでも専門研究者として活躍されている人には、このように狭い範囲での活躍をされていることが多く、私には恐れ多い場合があるのだが、しかし話をしてみると関連技術のほうには興味がないという以前にかかわりをしたくないということをいわれることもある。そしてこのタイプの場合専門性が希薄な企業が新規に開発、検討、分析に入る時に支援という場合が多いようである。
一方私は、多少いろんなことを絡むほうが好きで、専門性を個々の技術にもつことは(最低限あるのだが)どちらかといえば横の連関をみいだしてそこに働きかけることのほうが、合ってる感じがする。当然コンサルタントとしてはこのようなニーズはそこそこあって、概して専門性が高い技術・技能・知見を持つ企業さんが、横展開ができないので相談にくるものである。そしてこのようなやり方はそれこそ、「いっちょかみ」技術者、「いっちょかみ」社会人そのものである。
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過日、ある人と話をしていたのだが、
営業「中国ビジネスに関しては、もちろん風習の違いなどはあるのでその辺りは考えなければなりませんし、リスクを外に転嫁する形になりがちです」
デハボ「ふんふん。けど中国の人はこと直接的に利益を得る仕事については、昼夜問わず仕事をするところがありますね。夜行バスで夜中ずっと議事録をパソコンで打っていた中国の人がいたなあ。」
営業「技術者や研究者、そしてそれを目指す人など専門家志向の人は、かなり自分の仕事を狭くとって、そこを深くすることで自分の商品価値を見出すようですが、経営や営業についてはまったく逆なところがありまして、技術コンサルタントの仕事としてはこのあたりを旨く使い分けしないとならないです」
デハボ「そうですか」
営業「商売をされる方には概して利得のありそうなおいしいものがあったら、地縁血縁を通じてとりあえず参加しておくという視点があるんですよね。何か問題があったらそこで考えるというか、走りながら考えるというか。そしておいしくないなら、すぐきれいに撤退するんですね。」
デハボ「うーむ。それ大阪の商売人みたいですね。」
営業「ほー、似たところがありますか。」
デハボ「いわゆるいっちょかみという形ですね。新製品の食いつきもいいんですが、売り出すと話題になってもぜんぜん売れないとか、すぐ参入、すぐ撤退とか言う傾向がありますね。」
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けど大阪商人の気力(近江商人にも近いところがある)はこのような「がっつき」と「身代わりの速さ」にあったのであろう。中国のビジネスパーソンと古いタイプの難波の商人が意外と近いからこそ「いっちょかみ」という言葉が泉州弁にあるのだろうと思う。
逆に、中国ビジネスのなかで商業関係の分野を見るのなら、意外と関西人との商取引をイメージするといいのかもしれない。引き際などの連想がつくとか。
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ただし、このような「がっつく」ということが、今の日本では軽くでもさげすまれる側面があるということは、中学生などの理科離れや工学離れの中にどこかに混ざっている側面があるとおもう。とにかく最近の人(別に学生だけでない)は自分が至近のターゲットのなかにかかわらない、関係がないとなると、まったくそ知らぬ顔をする傾向がある。「いっちょかみ」をするぐらい、そして事にあって「面白がる気力」、決してひとから蔑げすまられることではないとおもうのだが。
ある熱力学の研究者さんは、蒸気機関車が好きな上に、住居が産炭地であったことから熱力学に興味を持ったと言う話を聞いた。直接的な話題なら炭鉱の研究にいっちゃうとか、石炭の分析とか、鉄道の研究になりそうだが、そうならないところが「いっちょかみ」の視点をもった研究者ということなんだろうなあ。

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