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イメージを創る妄想(2/2)

(承前)
妄想恋愛は、芸人のネタとしては漫才の中に混ざることが多いが、大阪の漫才コンビである天津の向清太朗には、妄想恋愛のネタシリーズというのがある。恋愛対象の人物について詳しくというよりは偏執的に調べ、それを語っているもの。生年月日や血液型、スリーサイズなどの身体的特徴をネタで言う(従って仕込み落ち)。芸人・タレントをスケープゴードにする。放送局のアナウンサーにやっているのもある。この例もそうらしい。

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漫才のオチではこのような分析事例がある。

出オチ:登場と同時に笑いをとること。(いきなり裸ででてくるとか)
顔オチ:変な表情をして笑いをとること。(エド・はるみのが有名)
三段オチ: 同じシチュエーションを3つ畳み掛けること。
タライ落ち:小道具として金盥を用いて行うオチ。料理用のボウル、一斗缶なども。
屋体崩し: 建物などの大道具に仕掛けを組み込んでおき、これを盛大に崩す。「8時だよ全員集合」が有名。
天丼: Aが見本を見せてBが真似するが上手くいかないなど同じギャグ・ボケを繰り返す。
楽屋オチ:周辺事情を知っていないと笑えないオチ。逆に、認知されると周知の事実になる。
スカシ: たいしたオチではないのに期待を煽るような演出

ちょっと違うなあ。
では古典落語の類型にはないか・・・古来からの事例では以下のようにみることもできるのだが。
にわか落ち: 駄洒落の落ち、「地口落ち」とも
逆さ落ち: 立場が入れ替わるもの
考え落ち: パッと聞いたところではよく分からないがその後よく考えると笑えてくるもの
まわり落ち: 結末が、噺の最初に戻るもの
見立て落ち:意表をつく結末になるもの
間抜け落ち: 間抜けなことを言って終わるもの
とたん落ち:決めの台詞で終わるもの
ぶっつけ落ち:勘違いをして終わるもの
しぐさ落ち:身振りで表して終わるもの

これもちがう。個々には合うけど相対的にはどうだろう。
そうなると一番近いのは、 桂枝雀による笑いの4分類 かな。
故2代目桂枝雀は笑いは「緊張の緩和」で起こるという理論を立てた。観客がどこで笑いを感じるかに視点を定め落語の落ちを4種類に科学的に分類した。これは当時としては革新的な視点で、上述のように具体的な案件ベースでなく思い切り科学的分析である。ただしこのまじめな姿勢が後年彼を追いやったともいえるらしいが。
ドンデン: 物事の展開が落ち着きや一致を見せて観客心理が一度安定し、その後に意外な展開になって不安定な方向に振れることで、この落差により笑いが起きる。
謎解き: 物事の展開が観客にとって謎を生む結果、心理が不安定に傾き、その後に謎が解決して安定することで笑いが起きる。
へん:安定状態を経由せず、通常の状態からいきなり物事が不安定な方向に逸脱する作用で笑いが起きる。
合わせ: 不安定な状態を経由せず、二つの異なる物事が合致する安定化の作用によって笑いが起きる。
「ドンデン」の逆のパターンが「謎解き」・「合わせ」逆のパターンが「へん」である。

なるほど、まずはじめにある女性(妄想恋愛の相手・被害者とも)に対してねたを振ってから、だんだんコアな話(ストーカー的な追い詰め方)に話を振っていき、最後までパニックに近い感覚までとことん追い詰めてきてから、最後に「付き合いてえ」(ここで今までの全部が妄想であることになり、現実との落差を感じさせる)ことになる。
なお、怪談話は、ドンデンとへんで収めるが、最後に不安定なところを落ち着けるために踊りを踊るところまで含めると(林家彦六がこのパターン)謎解きと合わせになる。また鳥居みゆきは、謎解きとへんの組み合わせが圧倒的に多い。
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工学でも教育でも、バーチャルリアリティーというものがいわれて久しいし、それに対応した技術開発が発達し、映像(画像処理技術・CAD/CAM技術)とか、感性工学(アミューズメント施設・訓練装置)などの普及を行ったのだが、これらを普及した事で感性自体が必要ないという事で退化する場面があるのはかなり問題である。開発を行った立場としてもこんなはずはなかったのにと悩むことである。
大津びわ子さんの往年の声に「妄想」したひともいよう。笑福亭鶴光のラジオで余計な妄想を膨らませたひともあるだろう、果ては音声だけのAVならぬセクシー・オールナイト(1982年10月~1984年3月ラジオたんぱで放送)をジャミングの中で聞いたなぞは信じられないだろうに。しかし、そのような妄想という行為が出来なくなった人たちに、「連想してみよ」「頭の中で描いてみよ」というものが非常に難しいのも事実だったりする。妄想が出来なくなったら連想も出来なくなったというのは私は実感として製造現場の改善提案の中身の変化に感じるのである。

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