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友ずり加工

『三国志演義』『三国志』第七十九回「兄逼弟曹植賦詩。姪陥叔劉封伏法」に出てくる七歩詩というものは有名である。教科書に載っている場合もあろう。
曹植は曹操の庶子で曹丕の実弟である。少年時代から父に従って戦闘に従事し、また詩歌にも非凡な才能を示した。このため、曹操の後継者として目されたこともあったが、曹操が死に曹丕が後継者としての地位を確立すると、曹丕によって迫害された。側近は次々と殺され、自身は安郷侯に左遷されたことを手始めに次々と転封され、失意のうちに41歳で死んだ。
父曹操、兄曹丕ともに詩人として優れた業績を残しているが、曹植はそれを上回る優れた作品群を残した。曹植自身は、丈夫の本分は政治にあり、詩文はたんなる慰みごとに過ぎないと見ていたようであるが、その業績は中国文学史特記できる。
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七歩詩は、或る時兄の曹丕から、七歩進むうちに詩を作らねば殺すぞと脅かされて作った詩だとされる。豆ガラを燃やして豆を煮る(豆を煮るというのは、意外に大変な作業で、鉄鍋のなかった時代に煮豆を作るのは大変というが)と歌うこの詩は、兄弟でありながら互いにせめぎ会うことのむなしさを歌ったもので、曹丕と曹植との間の悲しい関係を嘆いたものだとされる。非常に有名なものだが、曹植本人のものではないとする説もある。

七歩詩
煮豆持作羹  豆を煮て以て羹と作し 
漉支以爲汁  支を漉して以て汁と爲す
稘在釜下燃  まめがらは釜の下に在りて燃え
豆在釜中泣  豆は釜の中に在りて泣く
本是同根生  本と是れ根を同じくして生じたるに
相煎何太急  相煎ること何ぞはなはだ急なる

豆を煮るのに、豆がらを燃やす。豆は釜の中で泣く。豆と豆とは、本来同一の根から生えている謂わば身内だが、豆がら(稘)は燃えて(身内の)豆を煮ている。このため、豆は堪えかねてカマの中で泣いている。本来は同じ根から生長した。 (ここでは曹丕と曹植の兄弟を指し、兄が弟を殺し除こうとすることを云う)豆が豆をにることに似ているが、あなたはどうしてそんなに激しく攻撃してくるのか。 
といういみでこれを見てみると、「鉄に穴をあけるドリル自体も鉄」というワンセンテンスも結構面白いことに読める。(もちろんこの後段のラップ部分も面白いのだが)

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バレル研磨という手法があって、量産工場ではごく小物の部品でよく見られる。
定義としては工作物、研磨石(コンパウンド)、コンパウンド溶液を所定の割合で混合して充填し、研磨槽の運動によって起こる相対運動差を利用して研磨する方法なのだが、要するに洗濯機やコンクリートミキサーみたいなものの中にいれるんですねえ。(参考:http://www.crane98.co.jp/What%27sBarrel/various.htm)実際には回転、振動、渦流、遠心法などまわし方も運動形態もいろいろだ。バリ取り、R付け、平滑化、スケール取り、光沢仕上げ、鏡面仕上げなどで使われる。作業後研磨財と製品を分ける必要があるのがそれなりに面倒であるものの、仕上げが均質で複数の目的を同時に達成することができる。また量産性に優れ、他の研磨法と組み合わせるとコスト削減効果があるらしくメッキの前段階で使われることが多い。これは
番号:JIS H 0400  3011
用語: バレル研磨法:被研磨物を研磨剤などとともに回転又は振動容器中に入れて研磨する方法。

で基準化されている。
ところがその前段階で、別に分離作業を必要とせずただバリを簡単に排除するだけなら
規格番号:JIS H 0400 3012
用語: がら研磨:被研磨物を回転容器中で研磨する方法。

というものがある。ガラガラ音を立てて回っていたものだが、この音が名前の由来だそうな。これなんぞはバレル研磨のバレルをなくしたものであるから、まさに友ずり加工になっている。この容器であるが、見方によれば集中厨房(給食室のこと)にある煮物の鍋に実は構造としても似てるんですね。
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決して友ずり加工は高級な加工手法ではないが、比較的とっつきやすい加工手法である。とっつきやすさにかまげていると、高度な研削作業などに使ってしまうが、これは不適合であろう。もしかすると、私たちは人と人がぶつか居合い、傷を付け合う事を意図せず行い、そしてやがて角が取れながら、もとのとげとげした雰囲気をなくし、その代わり、鈍い光を放つ(バレル研磨に比べ表面はダル仕上げになる)。そうなると、われわれは社会というガラ研磨の容器のなかにいるのではと自虐的になることさえある。

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コメント

こんにちは。

>われわれは社会というガラ研磨の容器のなかにいるのでは

おっしゃるとおりと思います(自虐的にはなりませんが)。僕もずいぶん丸くなりました(外形ではないです)。あとは磨り減るだけですね…。

投稿: niwatadumi | 2009年4月 1日 (水曜日) 12時35分

>僕もずいぶん丸くなりました(外形ではないです)
僕は外形まで丸くなりました。ストレス太りでしょうかね。
考えれば工学的要素が一般の会話に取り入られているものってちょくちょくあるんです。

投稿: デハボ1000 | 2009年4月 1日 (水曜日) 13時39分

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