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幾何公差をわすれてませんか

幾何公差:部品の幾何学形状を定義するための表記形式。理論上正確な幾何学形状からどのくらいの寸法が許容されるかを数値で規定する。 形状公差:直線、円、平面など 姿勢公差:傾斜、直角など形状の姿勢を示す 位置交差、振れ公差など:形状が置かれる位置を定義する。姿勢交差、位置交差、振れ交差は、幾何形状定義に当たり基準が必要である。基準面を決めてこれをデータム面と呼ぶ。
幾何公差を指示したい面もしくは寸法値に引き出し線を引き、先端に横長の四角い枠を設け、左から幾何公差を表す記号、許容値を表す数値、必要であれば基準面を表すアルファベットを記入する。それぞれは枠線で区切られる。  ほかに記入されている寸法や幾何公差と矛盾が起こらぬように指定をする。また加工要件を考慮せず、形状の正確さのみにこだわって指定してしまうと、高価な部品、あるいは加工不可能な部品となってしまう。 -----------------

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というのが教科書的な表現である。ただ日ごろ使っているにもかかわらずさて定義を・・・というと確かにまようのである。私もこの前、会話中に幾何公差の作図技術講習という話が出て、一瞬「幾何公差」という言葉自体が出てこなかった。やれやれ。

設計者は幾何公差を図面に描くときには、ある意味神経質になるものである。というのは幾何公差をつけることは機械加工をするときの最低の品質管理の指針をしめしたものである。だから現場技術者はこの図面をみて、現実の加工機の構造(チャック構造たフレームなど)をあわせて加工用ジグの設計をおこなうものになる資料とするわけである。
その反面、むやみに幾何公差をいれることは試作側の自由を妨げることになるものだから、さじ加減が要求される上に、原価計算まで係る難しいノウハウが要求されるものである。事実幾何交差を1つ加えるだけで(もちろんなかみにもよるんだが、)見積もり金額が5割増しになったこともある。このときは、最優先する事項ではなかったので、注記のかたちで目標値として記入し、製品検査時の考慮にとどめたことで、書かない前の価格にもどったという苦い記憶がある。
日本の外注業者では、もし幾何公差などを指定しなくても「製品保障上納得できないので、幾何公差をこのように設定して加工しました」といわれることがある。それにしたがって要求精度を見直すことがよくあるもので私たちもよく経験した。
ところが、国際的な取引ではこのようなノウハウ的なものを通じさせることが不可能であるというのも珍しくない。また最近のように平面図面が3次元CADによるものに変わったら、寸法公差のみでは限られた規制しかできないことから,何通りもの解釈を生じてしまうこともある。そこで今アメリカや中国での取引では、このあたりを取引の条件として指定する形の図面作成になっていることになってきている。
一方、色々仕事をしてみると、まったく幾何公差を使わない企業もあることがわかってきた。よくこれで製品が出来るなあとあきれた事もいくつかある。幾何公差の基本となる考え方が広まっていないことと,実際に幾何公差を記入しようとするときに正しい手本がないためというのもあろう。注記で「Aの軸とBの面は垂直であること」と書いてあるならまだいいが、そこまでいたっていないのも多い。このような企業の場合海外進出を行うときに、品質面で保障ができないことになるというのもうなづける。そこで海外進出企業に対しこのような指導を行う活動をされている事例も最近増えてきた。
図面というものの存在意義、製造図面どいう側面だけでなく管理指標としての図面を考えると、幾何公差は必然であるのだが、このあたりの工業における図面の存在の2重性がわかりにくいのかもしれない。少なくとも、幾何公差の基本となる正しい手本が提示されることは、やっぱり必要だなと考える今般である。
---------引用
幾何公差ハンドブック:図例で学ぶ―ものづくりの国際共通ルール
幾何公差は,物体の形や位置を直接規制する公差指定方式であり,2点間の距離のみを規制する寸法公差と比べて具体的で明確な指示ができる。特にこれまで平面に描かれていた図面が3次元CADによるものに変わると,寸法公差では限られた規制しかできないことから,何通りもの解釈を生じてしまう。今後のものづくりには,幾何公差が絶対に必要で,かつ最も自然な方法といわれる。
しかし現状では,幾何公差はあまり普及していない。幾何公差の基本となる考え方が広まっていないことと,実際に幾何公差を記入しようとするときに正しい手本がないためである。本書は幾何公差を理解する上でのポイントについて豊富な図例を掲載し,基本的考え方を学べると同時に,実際に幾何公差を記入する際に手元に置いて参照できるよう構成している。
# B5判,360ページ ◇価格:6,000円(税込) # 大林 利一 著
# 2008年12月1日発行 # ISBN:978-4-8222-3113-2
目次
第1章●幾何公差の描き方
1.1 幾何公差と寸法公差   1.2 公差記入枠
1.3 指示線の描き方 1.4 形体
1.5 幾何特性記号 1.6 理論的に正確な寸法
1.7 普通幾何公差
第2章●データムとデータム系
2.1 データム 2.2 データム指示の注意点
2.3 特別な指示方法 2.4 データムターゲット
2.5 3平面データム系 2.6 データムへの幾何公差設定
第3章●公差域
3.1 公差域 3.2 データムによる方向の指示
3.3 公差値の前の「φ」 3.4 共通公差域
3.5 限定した指示 3.6 突出公差域
3.7 特別な公差域
第4章●特別な公差方式
4.1 自由状態 4.2 複合公差方式
4.3 複合位置度公差方式 4.4 複合輪郭度公差方式
第5章●最大/最小実体公差方式
5.1 最大/最小実体公差方式とは何か 5.2 最大/最小実体状態(MMC/LMC)
5.3 最大/最小実体実効状態(MMVC/LMVC) 5.4 MMRとLMRの基本ルール
5.5 機能ゲージが使えないLMR 5.6 浮動
第6章●形状の公差
6.1 真直度 6.2 真直度と最大/最小実体公差方式
6.3 真直度と包絡の条件 6.4 表面に対する真直度の指示
6.5 特定の長さ当たりの真直度 6.6 平面度
6.7 真円度 6.8 円筒度
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http://www.amazon.co.jp/%E5%9B%B3%E9%9D%A2%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%80%81%E3%81%A9%E3%81%AA%E3%81%84%E6%8F%8F%E3%81%8F%E3%81%AD%E3%82%93-LEVEL2%E2%88%92%E7%8F%BE%E5%A0%B4%E8%A8%AD%E8%A8%88%E8%80%85%E3%81%8C%E6%95%99%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%AF%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%B9%BE%E4%BD%95%E5%85%AC%E5%B7%AE%E2%88%92-%E5%B1%B1%E7%94%B0-%E5%AD%A6/dp/4526058599/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=books&qid=1236524783&sr=1-3
図面って、どない描くねん! LEVEL2-現場設計者が教えるはじめての幾何公差- (単行本)
第1章 バラツキって、なんやねん!
第2章 データムって、なんやねん!
第3章 幾何特性って、なんやねん!
第4章 形状公差って、どない使うねん!
第5章 姿勢公差って、どない使うねん!
第6章 位置公差って、どない使うねん!
第7章 振れ公差って、どない使うねん!
第8章 幾何公差の相互依存って、なんやねん!
第9章 幾何公差を使ってみたいねん!
# 単行本: 229ページ 価格: \ 2,310
# 山田 学 著 # ISBN-13: 978-4526058592 # 発売日: 2007/04
---------------------終了
実は座学よりも、このような「手元に置いて参照」のほうが教育効果が高いんです。そういう意味で、あるていどキャリアのある方にはこのような本を手元において常に使っていくほうがいいのではとおもっています。実物をみながら「こうさ」と指導するのが一番いい(ぉぃ)。

あなたの目の前にあるその図、本当に幾何公差を示さずに、いい製品、期待される性能が確保されますか?

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» 目的と精度 [時は金なり]
一般的にメーカーなどで、商品を製造するにあたり、 【品質管理】 というものが行われています。 【品質管理】の目的を一言でいうと、 『一定の制約の中で、一定以上の品質を確保する』 ということになるかと思います。 【制約】というのは (時間的制約:コスト的制約:人的制約:技術的制約:地勢的制約) など様々です。 【品質】は本来、高ければ高いほどいいのですが、 これらの【制約】の下で�... [続きを読む]

受信: 2009年4月15日 (水曜日) 20時56分

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