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「失業救済」という名のもと(2/3)

(承前)
たしかに踊って歌える技能者だったり、踊って歌える技術者であればいいのだろう。失敗学の大家畑村洋太郎氏には「本当は技術者・技能者には、人とコミニケーションがうまくなければならない宿命があるのに、そういうコミニケーションが不得意な人が固まってくる」という発言がある。
ただ、正直言って技術に秀でた人は、概してそれに忠実であるからこそ、コミニケーションの発露に対しての優先順位を自分や自分のなじむ科学的分析力に背負わせるから、ともに成り立つという人は本当に少ない。比較的成功しているのは

○技術者・技能者として半人前で、コミニケーショナーとしても半人前というタイプ。器用貧乏なタイプ。
○技術者・技能者としてとにかく純粋・一流であるが、コミニケーショナーとしても一人前・一流の人とタッグを組むという出会いを得たことで、受けた中身を分散しリスク回避する人。なかなかこういうマッチングのよい出会いは難しいと思う。
○技術者・技能者として一人前であったが、過去のスキルを捨て去ることに抵抗感がないのでコミニケーショナーとしても一人前に変質したというタイプ。このタイプは両方出来るように見られているが、じつはパートタイムで得手を満たしているだけで、コミニケーショナーの立場のときに技術・技能の話を求めるとかつての得意分野でもずたぼろな状態になる。

となる。
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逆にアメリカの技術者と話しをすると、力のある技術者と聞いていてもその実、技術者・技能者として半人前以下で、むしろコミニケーショナーとして一人前、1.5人前というタイプばかりが取立てられることも日系企業でも多くみる。いわんや一部の海外有名企業ではそうだ。(もちろん分野によってはそうでない場合もあるかもしれないけどねえ・・・)まじめで技術に長けている「うちにこもった」技術者が本当に日の目を見ない。これでは地道な技術者は育たないなあと思うことも多い。かつての日本企業の場合、そしてドイツ企業は、「人とのかかわりを求めず、人のかかわりに過度に影響されず、こつこつ」タイプの人をうまく使いこなしていたという側面があるのだが。
その意味で、この手法は考えたなあとおもう。適度に既存の性格的属性を踏襲するということね。
-----------------引用
トヨタ、期間従業員の再就職支援  2009年3月5日(木)20時9分配信 共同通信
 トヨタ自動車は5日、契約期間が満了し「雇い止め」となる期間従業員の再就職を支援するため、希望者に対し今春から求人情報の提供を開始、フォークリフトなどの国家資格を取得するための講習を実施する方針を明らかにした。非正規労働者の失業が社会問題化する中、トヨタ独自の支援策を打ち出す。求人情報はグループ企業を中心に収集。一方、賃金交渉で経営側は「現行賃金制度の維持すら困難」としている。
-----------------終了
確かにインフラとして、トヨタはフォークリフトの製造(豊田自動織機で)や教習施設を持っていたわけで、一石二鳥であろう。但し「求人情報はグループ企業を中心に収集」というところにいかんせん限界があるんだが。

ところで、「人とのかかわりを求めずこつこつ」タイプの人が、感情労働に対して不適だというのは少なからずあるだろう。そして、タクシー乗務員とて、介護関係とて、また彼らには、非常に心理的に勤務が難しい業務であろうと考えるのはむべなるかなともおもう。(ところで、この救済採用をする会社はHPなどでまったく公募していないのですな)それと、これらの緊急求人には農業はどうかというと、農事法人などのなかで働くということなら彼らは抵抗感が薄いのだろうと思うが、この場合JAの臨時職員としても現状の農業経営がどうしても感情労働的要素が入ることを、感情労働にまったくなじめない人たちが疎んじているのではないか。
産業構造の転換や既成状況の崩壊が進む際によく見られる。求職数に見合う数の求人数があるにも拘らず、条件があわないため雇用が創出されないことを需給のミスマッチ・雇用のミスマッチという。ミスマッチを防ぐためには、適切な職業教育や、初心者を雇用することになる企業への補助などが必要と言われているが、逆にそれぐらいしかない。(強制労働にするはともかく)適性が合わない場合の心理的適性にはどうしようもないのが事実であるし、意識が高くやりたいことを求めている場合はむしろこのような職業は困難なのも事実のようだ。
私は、製造業などの肉体労働・頭脳労働に適したタイプの人材があまねく高い社交性を伴わなければならないというのは、あまりにも企業人の独善と思っている。逆に言うと、そのバランスが崩れたというのが現実ではなかろうか。日本人のきわめて高い集団特性は、江戸時代からの習慣でもあるため、なかなか変えることが難しい国民特性と考えると、根の深さと雇用のミスマッチの最適化に困る事実を感じる。かつて炭鉱離職者が一般工業に転業できず一部のいい気は社会不安を招いたのと同じことである。この状況は私なりに極めて身近な事例を経験しているのだが、これは別途述べよう。

そういう意味では企業タイプの農事組合法人という形や、極端な場合は農業を営む企業(出資者は土地所有者になろうが)というのもあろう。最近は新会社法を利用して農業法人を設立することが容易になってきている。小規模株式会社の設立が一人取締役式の株式会社で農業法人になりやすいし、合同会社(LLC)の設立もできる。有限責任事業組合(LLP)だと、集落営農にあった組織を選べる
ただしこれを行うこと自体が、旧来の自作農の特徴を抹消するものとして北海道の一部以外の地域では抵抗感があるというのも事実である。その後、少しずつ情勢は農業に向いてきてもいる。地域ごとの差も在るのか見知れない。不人気といわれたものの中で比較的感情労働的なところが薄いので、農業へのシフトはしやすいともいえるのであろう。
(続く)

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コメント

こんにちは。
1名、急募しております。
どうぞよろしくお願いします。
http://www.hst.titech.ac.jp/Saiyo/

投稿: KADOTA | 2009年3月 7日 (土曜日) 11時27分

>1名、急募しております。
科学・技術科(機械システム分野)の実習や授業(工業科機械系など)及び学校運営の補助に関わる業務
偶然なのかもしれませんがちょうど時勢に合った募集ですねえ。

投稿: デハボ1000 | 2009年3月 7日 (土曜日) 12時03分

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