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仕事に支障が出ている様子はない

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国交省タクシー代9割減 やればできる?!  産経新聞 2008.8.21 21:41
 道路特定財源の無駄遣い批判などを受けて本省職員約4000人のタクシーチケット使用を国会閉会後の6月23日から当面禁止している国土交通省は21日、禁止にしてから4週間のタクシー使用料金が昨年同時期の1割以下にとどまったことを明らかにした。
 国交省によると、6月23日から4週間のタクシー使用料は約600万円だった。昨年6月の使用料金は9900万円、7月は1億100万円にのぼっていた。
 同省は当初、チケット禁止は2カ月間の試験的な措置としていたが、「仕事に支障が出ている様子はない」(会計課)とし、引き続き禁止する方針。臨時国会開会後も禁止を継続し、「国会閉会中と開会中の両方の状況を検証してチケットの全面廃止が可能か判断したい」としている。
 職員らはチケット禁止で、タクシー料金をいったん立て替え払いして事後精算している。職員からは「深夜帰宅を減らすため早朝や土日に出勤している。国会が始まり深夜帰宅が多くなったときに連日立て替え払いするのはつらい」との声も漏れている。
-------------------終了
確かに、無駄使いということで社内規範を定めることで、いくらかの経費の有効活用ということは出来るもののようです。チケットを廃止したことで、社内経理処理の縮小などが図られるところがあるのです。そういう意味では確かに効果があったのは事実でしょう。立替処理は職員のコスト意識を持たせるには最適です。
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但し、この中には仕事のやり方を換えること自体に問題があるともいえるんですね。それが自分で出来る職務なら、このような形で経費節減を図ることが出来るでしょう。例えば、『深夜帰宅を減らすため早朝や土日に出勤している。』ということは仕事のやり方を換えることにつながってますから、(後述のように職員の福利厚生や士気に問題がありますが)効果的なんですね。

ところが、『国会が始まり深夜帰宅が多くなったときに連日立て替え払いするのはつらい』となると確かに仕事の上で支障が生じる懸念は免れないと思います。国会の討論のための資料を作成するのが彼らの仕事と言う側面がありますから、その時に正当な理由があったとしても、一度手元に立替のお金が無いときなどに仕事をいい加減に済ませて帰ってしまう職員がないとはいえない。(禁止となると多分サボタージュがはじまるでしょうね)そういう意味で夜遅く経産省や文科省の脇を歩くことが多い私にとっては、灯火のつく国会開催時期の事務所の前で、まあそれなりに大変なんだろうなあということは、感じることもあります。(と思いながら、官庁折衝交渉の際、回答文面や相手の態度に憤慨するのもまた私なんですがね)したがって、まあコストの有効活用という面で本人立替払いの運用は間接費用の低減という目下の事情には最適ですが、管理職の職務の増加(これで一度は上司の判子が増えますからね)のところや職員のモチベーションが低下しがちだということがあります。だから、ついぞ「国会閉会中と開会中の両方の状況を検証してチケットの全面廃止が可能か判断したい」というのは甘いかもといわれそうですが、制御できない相手先の志向改革をはかれない文官としての立場が有る以上まあまっとうな対応とは思います。

民間会社でもコスト低減のために苦労しています。私の勤務先ではタクシー券はごく限られた部署しか発行できませんでした。顧客の為にタクシーを呼んでもお金は会社では払わない。もし必要な場合は、想定される区間のタクシー代金を封筒に入れてお車代として車にのっていただく前に渡していました(過不足は無視)。こういうのはいいのですが、社員の出張での費用には苦労しました。
(A)有る工場に2ヶ月に1回出かけていましたが、当時東南アジア金融恐慌の波及で、鉄道交通費はともかく経費節減のためタクシー(3000円×2)の使用を控えるようにという指示がでました。そこで上司が出張時に駅まで会社の車で迎えに来てくれということに相手先と折衝すれば今度は費用の取り合いでお互いに電話を叩きつける始末。では行くなということになったらなったらで・・・仕方がないので、細目変更で最悪身銭を切る覚悟で出かけました。ところがその駅に行ってバス停をそれとなりに眺めると、工場の真裏300mのところまで2時間に1本バスが出てるんですね。(しかもそれ、その後相当遠方の集落に行くバスなのでだれも気が付かなかったのですね)で、しらっと戻ってから旅費申請を『バス:○○駅-○○堤防前 350円往復』という非合理的経路でだしてしまいました・・・・。
(B)毎日多忙で朝から深夜まで働くのですが、終電に乗り遅れるのでタクシーを使う。しかし、会社によっては「車を使うことが当社では原則であるから、タクシー代は認めない(公共交通は定期券を立替払いにはするが、推奨しない。)。これは自腹を切るしかなかった。
(C)顧客からの電話発注が朝に集中するがこれでは、集中して事務処理などのルーチン業務を行えないと考えた有る商社は、10時から11時までの間に掛かる電話は、専門の担当者に電話を受けさせる方式にした。各社に書状を送るなりの連絡をさせるなど徹底させたのだが、顧客トップからのクレームと、それに対する発注先変更、顧客対応が悪くなるという感覚的な問題、さらにこのために自社の商慣習が変わることが受け入れない企業からの圧力で業績が悪化した。とはいえ、このようなクレームを入れる業者を質が悪い業者と考える事もいえるのだが、顧客全体が朝も昼も関係なく、納期最特急で入れることが常態化しているためその波及が他の業者にも及び、いわゆる「悪い業者」ばかりになっていた(また「いい業者」の姿勢を貫く企業が、即物的対応を求め自己のリスク回避を求める顧客動向から淘汰された)結果、幹部の降格で元のシステムに戻った。要するに商慣習に反旗を翻すこと自体が、業界には受け入れなくなったわけである。
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要するに自分の会社で完結する業務なら、いくらでも合理化することが出来、工夫や切り分けでいくらでも出来る側面があります。ところが制御できない相手に関する合理化は、よほどの工夫、根回し、合理的説明、社会状況への抱きこみなどを併用しないとつらいものがあります。勤務時間を削減しようとして、資料半減などを上司が提案し、部下にやらせる場合は内部的対応でしょう。ところが、これが報告書など部署の外部に対してこの上司が宣言しても反発をくらい、うまくいかないことはあります。さらに外部が納得したとしてもそのために他部署が自分たちの敵になってしまうことさえあります。そのような不運なことがなく、この上司の言うことに他部署が従ったと言う場合、この人が従うに値する(今後上司になるとか、強い人脈を持つとか)という別の理由で政策的に従い、この人が直接的関与しない立場になった段階で、元に戻ることになってしまうことがあまりにも多い。
要するに、世界で仕事をする以上、合理化というのは仕事の押し付け合いになる側面が必ず付きまとうわけである。悪意をもった人の存在があれば、それに対する行為を制御する行為が増え、仕事が増加・コストも増加するのだと見なせば、環境問題を対策するということ細かい行為とて、社会の反旗という解釈になるともいえると思うし、実は政府がいう「仕事のやり方、生活の変化によって環境にやさしい世界に転換」という提案が、明日のメシにも窮する大方の勤労者には絵空ごとにしか写らないのは、この限界をどこかであきらめているのかもしれない。

タクシー代は無駄使いでは減るだろうが、その分管理監督する部門の業務時間が膨張するため見かけほど低減効果は無いだろうと思うし、勤務者のモチベーション低下の効果も差し引き考えなければならないだろう。しかも国会議員がこれを考慮して答弁をするとはまずありえ無いわけで、業務フローを手直しで部分最適化するだけでは、そう簡単には解決しないものだと思う。では全体最適化出来るのか・・・というと今度は一人では出来ないという内部矛盾に突き当たるのである。
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(PS)
居酒屋タクシーは、顧客が官僚かちは無関係に生まれているという話がある。
業務上ほぼ毎日夜中の2-3時まで仕事をして翌朝も8-9時に出社する生活をしているコンサルタントの事例だと、こちらも毎日タクシーで帰ることが定常化している。遠距離の人だとタクシードライバーにとっては優良顧客だし、乗る側も、馴染みのタクシードライバーなら、道順を説明する必要もタクシーを待つこともない。
このため、自分専用の枕を出してくれたり、ビールを出してくれたりとなれば使い続けることになる。(ただしこれ自体がタクシーという乗り物が認可制で取引上問題ということは今回の規制にかかわる)つまり、居酒屋タクシーが生まれるのは定期的に長距離(特に深夜に)タクシーに乗る人がいれば、生まれることだ。

むしろ上述の如く官僚が毎晩のようにタクシーで遠距離を帰ることが問題の本質ですな。側聞すると、政治家に大いなる責任があるというわけで官僚たちの制御が出来ない事項らしい。国会開催中の官僚の仕事は政治家の質問とりとその回答作成が大きい。ところが、野党の先生はなぜか戦略上もあって夜中遅くまで質問内容を官僚に教えない。与党の先生は質問に対して回答を作る必要がある。(これは民主党・自民党ということではない)かくて仕事が終わるのは早くても夜中の2-3時になってしまい、結果帰宅はタクシーになる。更に悪いことにこれが習慣化してしまい、課長クラスになると朝が遅くなり月曜日以外は11時ごろまで出てこなくなっている。また、タクシー代が出ない官庁では、この時期は月曜から金曜まで寝袋で泊まるのが普通の部署もあるらしい。
そうなると、
(1)議員の質問期日の明確化(2)官僚の残業制限(3)出庁時間を徹底
ということになろうが、たぶん国政の関与になるから達成不可能でしょうな。むしろ、宿泊施設(カプセルホテルのようなもの)を庁舎内に作ることが根本解決になる気もする。

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コメント

ここまで霞ヶ関の残業の様子が露呈されると、国家一種を受験する優秀な人材はますます減ると思います。自分たちが国を動かして、法律をつくっているという気分はそんなによいものなのでしょうか。

投稿: KADOTA | 2008年11月11日 (火曜日) 19時11分

>ここまで霞ヶ関の残業の様子が露呈されると、国家一種を受験する優秀な人材はますます減ると思います。
私もそう思う側面もあるし、実際受験者が減ることもあるようですが、では民間会社は・・・ということを考えると大同小異ということになるから志望者のコアなところはかわらぬともききます。(というか、日本の企業を捨てるんでしょうね。)
ただし、その考えは、
>自分たちが国を動かして、法律をつくっているという気分
とは別で、そのフレームワークを作ってるという自己満足のようで、法律を作りたくなったら議員に立候補するようですね。(笑)

投稿: デハボ1000 | 2008年11月11日 (火曜日) 21時04分

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