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動揺すると冷静さがなくなっちまう

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身元誤り別人「死亡」 大牟田署 葬儀後本人とばったり  10月23日15時7分配信 西日本新聞
 福岡県警大牟田署が、大牟田市内で倒れていた男性の遺体の身元確認を誤って別人の親族に引き渡し、遺体が火葬されていたことが23日分かった。親族も遺体を確認していたが、葬儀の数時間後に亡くなったはずの本人が親族と偶然出会い、ミスが発覚した。
 同署の上野恵造副署長は「親族も認めていたため指紋照合まではしなかったが、ミスであり申し訳ない。今後は身元確認を厳格化したい」と話している。
 同署によると、西鉄大牟田駅前で17日朝、男性が倒れているのが見つかり、病院で心原性ショックによる死亡が確認された。付近にあったリュックから市内の男性(61)の預金通帳などが見つかり、同署は名義から市内の男性のいとこに連絡し、写真を見せた。いとこが「間違いない」と語ったこともあり男性と判断した。いとこは男性と8年ほど会っていなかった。18日には親族8人が駆け付け遺体と対面したが、人違いに気づかなかったという。
 葬儀直後の同日夕、JR大牟田駅付近で男性の弟夫婦が偶然、男性を発見。指紋の照合で、遺体は佐賀市出身の58歳男性と判明した。遺骨は、その親類が引き取ったという。
 県警は今年8月にも、太宰府市で起きた交通事故で、死亡女性の身元を取り違えている。
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行旅死亡人という扱いですね。飢え、寒さ、病気、もしくは自殺や他殺と推定される原因で、本人の氏名または本籍地・住所などが判明せず、かつ遺体の引き取り手が存在しない死者を指すもので、行き倒れている人の身分を表す法律上の呼称でもある。
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行旅病人及行旅死亡人取扱法というものがあり、死亡推定日時や発見された場所、所持品や外見などの特徴などが詳細に官報に公告として掲載される。行旅死亡人となると地方自治体が遺体を火葬し遺骨として保存、官報の公告(何気に、褒賞の公告なんかにならんで載ってるので戸惑うこともある)で引き取り手を待つ事となる。行旅病人及行旅死亡人取扱法での行旅死亡人の定義は

第1条:“・・行旅死亡人ト称スルハ行旅中死亡シ引取者ナキ者ヲ謂フ・・”
第2項:“・・住所、居所若ハ氏名知レス且引取者ナキ死亡人ハ行旅死亡人ト看做ス”

とあるので、本人の氏名または本籍地・住所などが判明しない人で、かつ遺体の引き取り手が存在しないことになるらしい。

私は、過去何回か行き倒れで警察や救急車が来ているところに出会ったことがある。とはいえ純粋な行き倒れ(つまり血縁者がいない)ということは判らないのだが、なぜか何回か出会いそのうち1回は私が頼んで電話を掛けてもらったこともある。この時の様子を考えると、こういうものを調査するのは、どうしても後付けになるからか、死亡した人の調査はいくら警察に経験があったといえどもそう簡単なことではないようだ。とはいえ、『葬儀直後の同日夕、JR大牟田駅付近で男性の弟夫婦が偶然、男性を発見』葬儀の日の夕方と言うのが、むしろ感慨さえ感じるタイミングである。

一般的に考えられる「行き倒れ」のイメージとは異なることがある。地下から発掘された人骨が死亡推定日時を「戦国時代から明治時代初期」「遺棄から100年は経過していると見られる」などとして公告されることもあったらしい。また墓地の改葬でおきる事もあるらしい。地下鉄工事の随伴物として、この手のが沢山出て大騒ぎになった事例(のちに応仁の乱の時の埋葬とわかる)も聞いたことがある。
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違うといえば違うのだが、どうしてもこの話を思い出す。

粗忽長屋
ある日、いつもの通り雷門を抜け、広小路にさしかかると、黒山の人だかり。行き倒れだという。強引に死体を見せてもらうと、横を向いて死んでいる。恐ろしく長っ細い顔だが、こいつはどこかで見たような。
「こいつはおまえさんの兄弟分かい」
「ああ、今朝ね、どうも心持ちが悪くていけねえなんてね。当人はここで死んでるのを忘れてんだよ」
「当人? おまえさん、兄弟分が浅ましい最期をとげたんで、取りのぼせたね。いいかい、しっかりしなさいよ」
「うるせえ。のぼせたもクソもあるもんけえ。うそじゃねえ明かしに、おっ死んだ当人をここへ連れて来らァ」
八五郎、脱兎のごとく長屋へ駆け込むや、熊をたたき起こし、
「てめえ、浅草の広小路で死んだのも知らねえで、よくもそんなにのうのうと寝てられるな」と息巻く。
「まだ起きたばかりで死んだ心持ちはしねえ」と熊。
昨夜どうしていたかと聞くと、本所の親類のところへ遊びに行き、しこたまのんで、吉原をヒヤカした後、田町でまた五合ばかり。その後ははっきりしないという。
「そーれ見ねえ。つまらねえものをのみ食いしやがるから、田町から虫の息で仲見世あたりにふらついてきて、それでてめえ、お陀仏になっちまったんだ」
そう言われると、熊も急に心配になった。
「兄貴、どうしよう」
「どうもこうもねえ。死んじまったものはしょうがねえから、これからてめえの死骸を引き取りにいくんだ」
というわけで、連れ立ってまた広小路へ。
「あらら、また来たよ。あのね、しっかりしなさいよ。しょうがない。本人という人、死骸をよくごらん」
コモをまくると、いやにのっぺりした顔。当人、止めるのも聞かず、死体をさすって、
「トホホ、これが俺か。なんてまあ浅ましい姿に……こうと知ったらもっとうめえものを食っときゃよかった。でも兄貴、何だかわからなくなっちまった」
「何が」
「抱かれてるのは確かに俺だが、抱いてる俺はいってえ、誰なんだろう」

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