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早期化で研究が支障するんだ

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<大学院生就職活動>早期化で研究支障 企業に見直し要請へ 9月10日20時26分配信 毎日新聞
 大学院生の就職活動が早期化しているために教育や研究に支障が出ているとして、東京大や京都大など国立8大学の化学系の32専攻・学科が10日、企業に対し採用業務の見直しを求めていくと発表した。近く、日本経団連に要望書を提出する。発起人の西郷和彦・東大大学院教授(化学生命工学)は「好ましくない採用活動をした企業には団結して毅然とした態度で臨む」と話し、企業名の公表も検討している。
 化学系大学院生の就職活動は他の専攻分野に比べ早い傾向にあり、修士1年の9月ごろから始まり、翌年5月ごろまで続くという。西郷教授は「学生の能力向上や研究活動を阻害している」と指摘。会社説明会など採用業務の開始時期を、修士2年の4月以降にするよう企業側に求める。
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というのを見ていたのです。すでに、「国立大学協会など大学3団体が、日本経団連など137の企業団体に対し「青田買いの是正」を求める要望書を2008年7月9日に提出した。」というのがありましたから、分からなくもないですが、なんとこの人が噛んでいたんですね。
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http://ameblo.jp/marika-uchida/entry-10138566084.html
2008-09-11 10日の記者会見
 前日のブログで書いた記者会見ですが、NHKの「おはよう日本」でも放映。そして毎日新聞、共同通信、日刊工業新聞、そして日刊スポーツ(!)と取りあげていただきました。内容は、こちらです。(上述の毎日新聞の引用)
 プレスリリース文を作りながら「ちょっと過激?」と思ってドキドキしていたのですが、記者会見に立ち合って「そうでもない」ことがわかりました。確かにね、修士1年の9月~修士2年の5月って、研究するにあたって、重要な時期。この時期に研究活動に専念できないというのは実にもったいない話、なのです。実際、工学系研究科の化学系の博士課程進学率は年々減少しているとのこと。
 博士問題によく言及していらっしゃる記者さんから「それは、博士をとっても未来がないと学生が思っているのでは」との指摘。記者会見で出席していた応用化学専攻の藤田誠教授から「いえ、そうは思いません。正確な数字が出せなくて申し訳ないのですが、修士で出て就職していく学生から『博士課程に進学したかった』という声を何度も聞きました」とのこと。(中略)それに、工学系に関しては「博士号取得者が就職に困った」という例はない、と各専攻の教授たちが答えていました。工学系はもともと博士過程への進学率が低い上に(……)、アカデミア志向が低く、企業に行く人が多い、という背景があるのでしょう。バイオ系とはまた違った「博士問題」なのです。「進学する人が少ない」「メーカーに学位持った人材を輩出できない」というのが工学系にとっては問題なようです。
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まあ、この問題については、かつてhttp://dehabo1000.cocolog-nifty.com/holder/2008/08/post_b8f3.htmlで少し述べたのですが同床異夢ともいえるところもあるんではないでしょうか。
 内田さんの発言にもあるんですが、博士号を取るということは、「その専門を極めた」ということ「だけ」で評価されるのかといいますと今はそうではないんです。末は博士か大臣かという時代なら、希少価値ともいえるんですが、(最近の大臣も遅ればせながらこの傾向が出てきました)なり遂げてどうこうという評価と言う時代ではありません。「ある分野の課題を追求し、研究してある一定の成果を上げることができた」という実務を極めた経験や能力があるという一種の能力の評価結果だというのが今の、少なくとも高等教育が発達した現在のトレンドでしょう。他の資格でも同じ傾向がありまして、昔は持っている技術や能力の担保という形でしたが、理系に限っては「研究活動」の能力と経験、そしてこれが大事なのですが、能力の維持が出来る自己研鑽活動が出来るという定義になるんです。
 そして、博士の進学率が低いのかというと、研究職という形にこだわらなければそこまで就職先が無いわけではないらしいです・・・ところが、『研究職という形にこだわらなければ』というのが非常に問題なんですね。企業にて研究職というところ、特に基礎研究や前期開発のところに注力して後段の後期開発・製品化開発につなげる姿勢がある企業ならその人の存在意義があるのですが、研究実績のストーリーで後期開発・製品化開発に持っていく場合、心理戦や説得能力などという人的な調整能力というところも必要とするし、合理的という見方が通用しない。こういうわけで適材適所という配置が出来にくい場合が多いんですよね。だから後期開発以降の工程がメインである企業では、理想と現実の差異にさいなまれる人も多いようです。採用側にもそのあたりを理解せず、研究=開発というかたちにされるとこれは悲しいだろうなあとも思います。
反対にそれまで後期開発のほうを担っていたり勉強していた技術者が研究・初期開発の担当に配置転換されるときは研究と言う姿勢がないと業務が進まないことに気が付きます。このような人は一度就職してから博士号を取りに戻る人、ないしは会社化在籍のまま内地留学と言うのが多いようです。つまりそういう職場の人が『博士課程に進学したかった』という声がでてくるということになっているので全部がそうではないという視点は、この場合見えていない可能性があります。あと、「工学系に関しては「博士号取得者が就職に困った」という例はない、と各専攻の教授たちが答えているのでしょうがこれは大学のレベルにかなり依存するという事も聞きますし、研究職向けであるからこそ、現場の技術部署に向かないとか、(勿論逆もはるかに多くあるんですが)研究管理はまだしも、人事とか総務とか購買などの専門職といえ研究とはちがう目的意識を持つ部署への異動がモチベーションの関係で難しいというのも多いようです。このように、マッチングの整合があちこちで上手く行っていない事のほうがじつは問題にされるべきと思います。
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その意味で『「進学する人が少ない」「メーカーに学位持った人材を輩出できない」というのが工学系にとっては問題』ですが、「メーカーが高い学位持った人材を受け取らない」という視点も考えたほうがいいと思いますね。しかも、「東京大や京都大など国立8大学の化学系の32専攻・学科」ということから見ると、研究成果を先行して考えるところですから、企業の視点と差があって当然でして、その対応が出来ない企業は学生を取るなということでしょうね。そんなの関係ないと無視する企業には馬耳東風でいなされるのが落ちだし、そのような企業に志向する学生は中途退学するのもいて不思議でないし、多くの外資系には越権行為だと反発もくらいかねない。
かつて、私の下に部下を付けてくれるという話になりました。ところが上司曰く
「院卒だし、どうも結構生意気を言う感じだから、そこは覚悟しておくように」
と釘を刺されたことがあります。ではその人材はどうかというと、研究の姿勢と言う意味では確かに向きでしたが、現場の経験より理論を積むことにどうしても思考が強くなるのは否定できず、結果的に基礎研究側の仕事に適正があると考え、総合業務でなく専門職としての職務で活躍しています。けど生意気とは思わなかった。だからベクトルの付け方が単線的だとこういう判断をする人がでてくるんですが、一体この人の思考形態はどういうものかという解析を出来ずにやって行ったら、そら上手くいかなくなるでしょう。
また、日本では大学の卒業者が有効にその所有技術で企業の革新的技術に寄与することが少なく、有効的な人材活用が出来ていないと海外から批判されているとも言います。これは職員の志向自体が異なっていまして、海外では現場の意見をくみ上げるという姿勢は直接的にはなく、キーマンのリサーチという経営者視点に迂回してくるので、そもそも革新的技術能力だけが高学歴の専門家から出るものではないという姿勢が強いんですね。このように視点の差異がどうしても埋まらないということは、研究開発のステージ設計自体がもう違うのです。だからそこをいきなり問題点にするのもあまり明晰ではない。
さらに発起人の教授は「好ましくない採用活動をした企業には団結して毅然とした態度で臨む」と話し、企業名の公表も検討しているというが、そもそも名前を出した場合、日本の会社は問題になるのでしょうが、そもそも就職協定自体が企業活動と相容れないとする、「日本経団連」とは意向を一致しない会社・・・合弁でもない外資系の会社では、まず無視か、訴訟活動になっても不思議でないと思います。
かつて理系学部の就職でメインであった大学推薦でも、入社後の学生に明らかな瑕疵があった場合、その後就職担当教官が退官するまでその学科の推薦状は(担当教官自体が変わっても)受理しないという会社もあったようです。それも企業の一つのリスク回避だったともいえるわけで、この手戻りから大きな会社に対しては成績優秀者しか推薦を出せないようになったという経緯を聞いたことさえあるんです(真偽はともかく)。要するにリスクを押し付けあうシステムはいつの世も変わらない。
企業主体の採用志向が強い企業であればあるこそ、院生を中退させてさえも入社させる可能性が大きいと思います。さらにその草刈場になってる大学も増えてるんです。「好ましくない採用活動」と言う概念自体、主語が抜けていることからもわかるように、不明確で形を成していないと思っています。
したがって、就職という意味で社会に応えたいのなら、その果てしないニーズにも対応できるプランを考えて置けなければならないでしょうね。
個人的には、両立できないような院生はあえて卒業させず、博士課程なら単位取得退学にするとか助教この場合は東京大や京都大など国立8大学の化学系の32専攻・学科ではシステム上の拘束で特殊な事例以外は難しいかもしれない客員研究員、実験助手(これも制度上無い大学も今はある)にするなどのソフトな扱いにするとか、修士課程なら3年間と言う形にするとか扱いを緩やかにするという中間裁量的手法もとらなければ、折り合いが付かないと考えるのです。そして訴訟も辞さずという前提で動くしかないだろう。かなり難しい中身もありますが、このような変革を提案してからの要望提案と思いますがね。
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(参考)
意見を聞いてみますと、最近の理系修士課程の学生は、多いと数十社にエントリーして駆け回るような活動になるのが事実みたいです。勿論学科の特性によって違いますし、依頼研究の結果業務の延長の形で依頼元に勤務する事例もおおいそうですから全部が全部ではないようですけど、かなりの負担は免れないという話も聞きます。ここまで数が多いと、時間のかかる実験や演算に腐心する研究活動と同時並行でやるのは極めて困難だという考え方もあります。
但し、外資系企業では本国の大学卒業者に対しても同じことをしてるとなると、これは判断に苦しむ気もしますが、(さも無くは、それに耐える学生だけを集めてるのかな)このあたりの調査結果を教示いただいたので見てみますと、そもそも、大学卒業して即入社というシステム自体が日本特有です。大学に就職斡旋の部署があるのは、日本ぐらいとかいいます。海外では学生の間に就職活動をするのもあり、卒業後にするものもありということのため、概念自体が海外からは理解されないようです。
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就職後3年で3割離職 大学生「青田買い」のせいなのか 2008年7月10日(木)20時11分配信 J-CASTニュース
国立大学協会など大学3団体が、日本経団連など137の企業団体に対し「青田買いの是正」を求める要望書を2008年7月9日に提出した。企業の中には大学3年の秋に「内内定」を出すところまであり、早期の採用活動で学業がおろそかになったり、採用が早く決まりすぎて結果として離職率が高まっていたり、といった理由だ。
「今が大学生活で一番楽しい時期だから、好きなことをやれって言われるんですよ」
都内の大学に通う2年生の男子大学生はそう話した。3年になれば就職活動が始まり、夏休みにはインターン(企業での職業体験)もある。早い学生は秋に「内内定」がもらえ、4年の春に多くの学生の就職が決まる。「青田買い」のスケジュールに従って今の大学生は大学生活を送っている。
企業による学生の「青田買い」は今に始まったことではないが、企業側と大学側が新卒者の採用日程を申し合わせる「就職協定」が97年に廃止されて以降、年々就活の時期が早まるようになっていった。98年には当時の日経連が「新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」を公表し、「青田買い」を抑制しようしたが、団体に属さない外資系企業などが就活時期を早めた結果、現在のような状況になってしまったようだ。
就活が早まった結果起きた悪影響
国立大学協会はJ-CASTニュースに対し、就活が早まった結果起こったことをこう指摘する。早めに内定をもらった学生は安心して講義に出なくなる。内定がもらえない学生に至っては、3年から卒業まで長期の就活をしなければならない。つまり、学業に相当の支障が出てしまっている、というのだ。それ以上に問題視しているのが就職のミスマッチ。
「専門の学業を学び始めた3年の途中で就活が始まり内定が出たりします。企業は『優秀な学生が欲しい』といいますが、何が優秀なのかまだわからない時期。そのためミスマッチが起き、離職率が高まる原因にもなっているんです」
内閣府の「平成19年版 青少年白書」を見ると、03年3月に大学を卒業した人の離職率は1年目15.3%,2 年目11.0%、3年目9.4%となっていて、就職してから3年で計35.7%が離職している。これが「青田買い」の影響というわけだ。
日本経団連も07年10月16日、09年春卒業予定の大学3年生について選考活動の早期開始を自粛するよう企業に申し入れている。
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