« 伝説は価値基準の違いから創られる | トップページ | 荒引き加工 »

エアの品質

粉塵・臭気などは典型例として、労働安全の面から作業環境では空気の質という事は言われるのだが、ではその質ということを明確に示しているものと言うのは案外みあたらない。現場では絶対圧力(トンネルなどでは加圧する)のほかは、CO2やCO、O2その他の含有率、及び粉塵などの含有量を把握することの管理がメインである。但し、空気圧縮機の圧縮空気をそのまま呼吸用に用いることは、圧縮機の油分が含有したり、場合によってはこの油分が燃焼したため酸欠を起こした事故も有るわけで、当然お勧めできないのである。空気圧縮機は、空気の量・圧力・機械の性能は担保するのだが、呼吸用としての空気の保証はしていない。
------------------
ただ、そういうものが技術資料として全く無かったわけではない。スクーバ用圧縮空気基準というものが一応ある・・というかあった
ブログランキング・にほんブログ村へ
「JIS S 7306-1989:スクーバ用圧縮空気基準」が1989年に制定された。この基準の注目すべき点は、旧来用いた連続測定では実用性に乏しい場合にて、非常に簡便に空気の質を測定できる「検知管」による抽出検査測定をJISとして認めた点だという。「不純ガスがどの値混じっているか」ではなく「成分が一定基準より多いか少ないか。」だからということという。検知管方式はラボでは良く使われていたがこれをJISとして認めたことは、大型で高価な検査設備は必要なく、ダイビング事業者・潜水業者が自ら簡便に検査を行うことが可能となった。しかも、スキューバー用空気は充填済のものをブラインド状態で販売する事も多いわけで、品質保持は本当は充填ロット別確認さえ必要である。

だが、その後2001年にJIS規格から廃止された。廃止の理由は不明だ。というのはダイバーに供給されるスクーバタンク内の空気は、呼吸用として純度の高いものでなければならないし、充てんされている空気が、呼吸用空気としての品質を十分基準を満たしている事は必要であろう。しかし、これと共にタンクの破損事故のほうが、直前の使用状況の下では重要視されていたという側面もある。
スクーバタンクの破裂が極めて危険な事故であるのは事実だが、軽くしなければならない事情からアルミなどを使うことは多い。ただこの場合強度保証と言う意味では鉄以外はなかなかデータのばらつきも大きく、また海洋などの金属の損傷が置きやすい環境では意外な事故が多数生じた時期もある。スキューバーにおける「安全」には、タンクがきちっとした基準で定期検査に合格し、安全性の高いタンクであることが、ユーザー自ら確認できるような仕組みが必要だ。スクーバダイビング業界は、年1回行うスクーバタンクをしている。自主検査の内容も定めているが、この検査合格の際に、ステッカーなどをタンクに貼る事をすることが今のところ工業用タンクなどの調整上出来ないという問題がある。
定期点検済みタンクにステッカーを貼る事は、アメリカ圏内では比較的良く行われており、中には、ステッカーを貼っていないタンクへの空気充てんを断る充てん所もあると聞いている。しかしこのようなことも国の中では圧力容器の規則もあって徹底できず、むしろ業界の自主規制にするべきが「手離れがいい」側面もある。責任を負えるような大きな政府になるには、過大なコストが掛かるということだろう。
JIS規格から外れる時、当時の説明では「全体的な方針として、JISは業界自主基準に移行すべきであり、業界自主基準に移行できない合理的な理由のあるものに限ってはJIS規格として残す」という事であり、本例は業界団体規格とされるべきとの見方だったというのが当時の行政の方針としての趨勢であった。
ただ、このような業界規格というものの取得や他分野への参考としての展開はなかなか他所からは見えないのも実情である。しかも、まだ業界団体は明確な形になっていないだけにたまにはこういう純技術的な「忘備録」はしておいたほうがいいと思っている。

スクーバ用圧縮空気基準 (Compressed Air for SCUBA Diving)
1.適用範囲 この規格は,主にレジャー用としてスクーバダイビングに使用する開放式スクーバの呼吸用圧縮空気(以下、呼吸用空気という。)で、JIS S 7302(スクーバ用シリンダ)に規定するスクーバ用シリンダ(以下、シリンダという。)に、圧力19.61 MPa{200kgf/cm2}以下に充てんした呼吸用空気の基準について規定する。ただし,呼吸用空気は、自然空気を圧縮機で圧縮してシリンダに充てんしたもので,人工的に各種成分のガスを原料として混合・製造した混合ガスは適用しない。(中略)
2.用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次による。
・・・オイル及びオイルミスト: 圧縮機でシリンダに空気を充てんする際、清浄装置を通過した圧縮機の潤滑油が、シリンダ内の空気中に混入又は分散した油分。
3.呼吸用空気の基準 呼吸用空気の基準は、表のとおりとする。(基準値)
酸素 :20~22 vol %
二酸化炭素:1000 vol ppm以下
一酸化炭素:20 vol ppm以下
水分:667.8 vol ppm以下(水分をmg/l 又は露点温度に換算するには、JIS K O512(水素)の表2を用いる)
オイル及びオイルミスト:着色が認められないこと。(注:これは油の物性によって検出精度定量的評価が確立しにくい事情がある。またろ過剤(活性炭が多い)にも依存するがここは、定量的評価が困難であった。・・細則に記載があった)
臭気ときょう(來)雑物:においがなく,ちり(塵),汚物,金属粒子などが混入していないこと。

確かに付属書を見るとわかるんだが、曖昧な表示も多く、荒削りな規格ではあるのだが、こういうのでさえすり合わせが難しいというのもまた現実である。もし今後ダイビング業界自主基準として「スクーバ用圧縮空気基準」を制定するならば、旧JIS規格の「圧縮空気基準」がベースになるであろう。

|

« 伝説は価値基準の違いから創られる | トップページ | 荒引き加工 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/100146/42417831

この記事へのトラックバック一覧です: エアの品質:

« 伝説は価値基準の違いから創られる | トップページ | 荒引き加工 »