多能工化
多能工化とは量産工場では求められる会社内で一人一人がオールラウンドプレーヤーとなると言う意味だ。
ライン作業がn工程に分かれ、作業者は1人ずつ配置でn人配置、各々作業マニュアルがあり、分担作業で1つの製品を作ると、とんでもなく効率が悪い。というのは
一:お互いの仕事が何かわからない為に、欠員がでると1つの製品を完成させられない
二:仕事の早い人、遅い人の能力差がわからない(不公平感を感じる)
三:仕事が早い人が仕事が終わらせてしまった時、前工程が遅いと待ちぼうけになる
四:無駄な設備が必要
直接的な話をすると、無駄なゴミがでなくなったとか、~億円の経費削減になったとかいう成果をいうことが多いようだ。勿論これにはデメリットもある。
一:、仕事を覚えることが膨大になりすごく大変
二:、やる気がある人と無い人の差が明確にでる。
三:、担当者のレベルを有る程度一定化する必要があり、導入事由が経費削減となる以上作業者を選別する必要がある。
四:、雇用契約として特定職務と対応しないメンバーシップ契約の慣習が必要
五:、雇用者に職員教育の義務が与えられる

多能工化というのは「特定職務と対応しないメンバーシップ契約の慣習」があり、「担当者のレベルを有る程度一定化」できる日本では、適した構造である。そうでない風習の場合は、自発的に教育を受けることにすることが多い。米国のような契約社会だと、個人として資質が沢山あっても会社・社会に還元するものにはこのような多能工という形にならないこともある。
さて、一般的にはこれが雇用環境のフレキシブルな対応も可能しており、また技術者が自分の仕事の成果を一応全部把握できることでスキルの高い人には非常に意欲が上がるシステムであろう。しかもこの考え方は設計者など近接したところでも使う概念である。
ところがこれには、実は意外なバックグラウンドがある。
雇用者に職員教育の義務が与えられるというのは、OJT・OffJTによる能力開発を進めることが前提だ。OJTは上司や先輩が実際の作業で教える事だから、担当者の負担でもある。その上技能を身につけた部下や後輩が上司や先輩よりも優遇されると教育意欲が失われるし、それを業務として指示してもむしろ反発してしまう。賃金・昇進の年功制維持が前提だったのだ。
更に、インセンティブがないと動かない。それも目に見えるインセンティブがないと動かなくなるのが事実のようだ。以前なら大手の会社にいれば「飲み屋のツケが効く」とかいう社会的インセンティブもあった地域もあるようだが、いまやそのような形態は無に等しいようである。このように社会の要請が実は多能工化には逆風が吹いている。
工場の運営でのこのような活動は以下のような手法で行われる。
① 業務改善を進めて、仕事にゆとりをもつ←重要
② ゆとりの時間で全員の作業マニュアル作成、又は見直し
③ 毎日の仕事と1週間に~回、1ヶ月に~回の仕事を紙に書いて全員に配る
④ マトリクス表を作成して出来る仕事と出来ない仕事を把握する
⑤ スケジュールを組んで、ゆとり時間を使って仕事を覚えていく
この方法では、自発性が必要である。他の人の仕事を覚えるとか、作業マニュアルをつくるとか、ボランティア的な面もある以上、不平不満はどこからか必ずでる。監督者がその必要性を説明し、できるだけ負担をかけずに進めていくには、①の業務改善を進めて、仕事にゆとりをもつが鍵なのだが、じつは要求するところが、仕事のゆとりという視点でなく、業務強化・搾取強化という視点に強く傾くということが時々あってこうなると破綻することがある。事実一部の労働争議にはこれを起源にするものがあったようだし、その問題を避けることが現実に必要だからこそ、自力で上記の改善が出来ない企業もある。このことは意外と中小企業の業務改善指導に関わった人には聞かれることである。
現実な話として、一人の技術者の育成としたら
一般的な一つの技術を取得した技術者⇒多能的技術者⇒多能的技術をベースに専門的技術者を含める
というストーリーが成り立つと思うが、このところ時々あるのは「多能工になった時点で更なる変革に手を出す余力がなくなってしまうということ」が増えてるということ。多能工業務といってもあまりにも幅を広げすぎるとどうもそれによって潰れる人材が多いということもある。
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原則的には人生全体に一種の「多能工化」は必要ではないかと思っているが、その効果が自分にリターンせず、また即物的に早期回収が出来ないことがやる気を失わせていたり、計画的な手法を得られなくて自滅してしまうことも最近はおきがちなようである。工業的視点以外に話を振ると、人生の線路を複線化することは、できるだけしたいもの。けど、そんな余裕が当事者の心に持てるかどうかは、どうにも第三者からでは制御しにくいものがある。
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コメント
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こんにちは。日々の仕事をこなすだけで精一杯の方が、将来役に立つかどうかわからない技術を自発的に習得しておこうというのは、よほど意欲がないと難しいかもしれませんね。しかも、資格試験のように本を読むだけでマスターできる種のものならともかく、ある機械の操作とかCAD/CAMなどになると。近所の美容院で、昼間、シャンプーしかやらせてもらえない新人が夜遅くまで練習しているのを見ると感心していますが。
投稿: KADOTA | 2008年9月 7日 (日曜日) 10時07分
>意欲がないと難しいかもしれませんね。
どうモチベーションを設定するかでかなり変わると思っています。
権威主義に陥る危険性もあるんですが、技能者に社内での技能評価を行わせ、ワッペンを付けさせ、その上で技能士資格につなげるというのもありますね。それと例えば溶接技術が基本にある人なら、その保守技術つながりでイナーシャガスの管理を学び、そこから流量制御・圧縮機管理等につなげるなどの動機付けが鎖状に繋がり易い構築は、出来ないことではないと思っています。
また、知人の話だと理容・美容の場合は技能評価のシステムがあるのと、技術によって収入が極端に変わる側面、転職のオープン性がインセンティブにつながるとも聞きます。
投稿: デハボ1000 | 2008年9月 7日 (日曜日) 10時14分
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