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攻め込む戦略

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東京駅の屋根に太陽電池 2008年7月2日(水)17時34分配信 共同通信
 JR東京駅東海道線ホームの屋根全面に太陽電池パネルが設置され、2年後の10年度半ばから、駅構内の照明や空調設備の電力源の一部となる。JR東日本が2日、発表した。太陽電池パネルは面積約3000平方メートル。発電の最大出力は約390キロワットで、鉄道事業者としては国内で最大規模という。東京駅全体の消費電力の約0.3%を賄い、年間約90トンの二酸化炭素(CO2)排出を削減できるという。
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太陽電池は、以前はその発電特性から、電灯線連携を取ると、電灯線の電圧変動を促す結果、電灯線の品質をとかいう問題に絡める場合もあるが、今は本質的問題とはならなくなりつつある。
鉄道会社で太陽電池を設置することがあちこちにある。太陽電池からの発電電流は直流だから交流変換はあるが、近年の電車の機構に交流誘導モーターとの連携が頻繁にあるので技術的にも継承し易いようだ。
以前は、電池の耐久性だとか課題が多いようだったが、最近は実用上の問題点は価格を除いてほぼ解決しつつある。原因も明確になり、カタログ性能値には初期劣化後の値が用いられるようになった。変換効率については、2006年には変換効率40.7%の多接合型集光セルも開発されるなど、高性能化が進んでいる。投資価格が多いという問題点が技術料に載っているともいえるだろう。それでも、環境という側面からは、大洋光というある意味遊休資源の有効使用としては成熟度が高い技術で、日本では既存技術の蓄積がある分野だったのだが・・・・
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一方で世界の一般市場向けの製品では省資源化と低コスト化で市場が急拡大している。2004年では、日本が生産量で世界の約半分のシェアを持ち、販売市場ではドイツが39%でトップだった。2000年から2006年まで、シャープが太陽電池製造量世界一であった。しかし、市場の急拡大に伴うシリコンの供給不足に対応できず、2006年の太陽電池生産量は434MWから2007年は363MWに落とした。

世界需要の成長率は40%を超え、環境立国として主導権を握ろうとするドイツが牽引している。累積導入量は2005年に日本を抜いて世界首位となり、2006年の市場規模は日本の約3倍に急拡大した。成長のドライブとなったのは、2004年に導入したフィード・イン・タリフと呼ばれる固定価格買い取り制度で(太陽光による発電分は、通常の電力価格の2~3倍で買い取られる)約10年で初期費用が回収できる。こうなると、投資対象として太陽電池を導入する企業や個人が急増。ドイツが牽引した結果、全世界における2007年の新エネルギーへの投融資は850億ドルと前年より20%上回った。
それに加え、太陽電池の需要急増と半導体需要が重なり原料であるシリコンの市場契約手法が変わってしまい、先物調達が常態化したため、リスク回避問題をおそれた日本企業が調達失敗した。日本メーカーはこれに躊躇しているうちに、シリコン価格は急騰した。従って需要に生産能力が追いつかない。
ここに、小泉純一郎内閣で特別会計のスリム化がでて、財務省は個人向け補助の住宅向け設置補助金の打ち切りをするしかなく、2005年以降太陽電池の日本市場が停滞した。元来価格重視の市場で太陽電池モジュールの国内向け価格は欧州の60~70%程度と儲けは薄かったが企業の投資意欲も急にしぼんた。今、日系メーカーも輸出優先(7割)で、技術革新を続けるうえでも市場の活性化は必須だが、行政・メーカー・電力会社の思惑が交錯してしまった。
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前提は基幹電源はあくまで原子力発電を国是としていることもある。ただし、夏場の電力ピーク対策のため、電力会社が自主的に「余剰電力購入メニュー」を導入したことが設置補助金制度導入になった。これをベースに住宅向けを中心に需要は拡大し、販路も整備された。そもそも日本は太陽光発電自体を国策で育成するつもりは緊急避難以外はなかったようだ。この結果、太陽光発電支援制度は制度設計の問題も多くなった。
となると、政策のリーダーシップがないとかお互いに意見の意思疎通が多くなった上に、当時家庭のエネルギー対策としては電気と都市瓦斯が相容れない状況で競争するなど、市場囲い込みが熾烈になっている事もあったと思う。(どろどろとした裏話にはこまらない)すると、このため政策的に政府に全部に均等な金銭配布が出来ない今の財政事情だと、残りは企業の自立性に期待するしかない。よく政策に市場形成の視点がないという声があるが、そもそも金銭的見返り(=インセンティブ)がないままでは誰も引き止められないということ、そして市場の自立化はそもそも集中投資が出来ない言い訳でしかならないといえよう。
では、ドイツはどうしてこのようなトレンドを掴み取ったのか
ドイツは電力会社の買い取りコストが転嫁され、国民の電気料金が約1割上がったが、脱原発を掲げて政治が主導・・・というか誘導し、国民も直近の利益で意見が触れることが少なかったと聞く。どうも、国民性も有るともいえようが、私は単に技術の先読みが「あたった」としかいえないと思っている。原子力由来の電力はフランスが国際送電網として育成している(ドイツは国策としては原子力発電を取らないが、この電力はクリーンエネルギーということで購入している。)、それに技術的に対抗することを日本がたまたま意識したということに過ぎない。
こう考えると、日本では太陽電池の機材開発企業・瓦斯燃料開発企業・・原子力機器の企業は1社を除いて全く共通性がないのである。(燃料電池を含めると、本田技研工業が入ってくる。)
そこで、国産エネルギーとして太陽光発電を育てるには、電力会社に限らず広く産業界、国、自治体などとの協力体制が欠かせない側面はあるものの、利益回収に汲々としている現状である。膨大な投資をできる資本を持っているのは、個人では日本ではありえず、一部の企業&政府なのだが、国是を変えることが出来ない以上(その原子力も研究投資は民間委譲が激しい。)そうなると、売れるものは・・・となると、技術になってしまう。とはいえ、メーカーの生産拠点も大きな市場に近い東欧やアジアに流出し、足元の産業集積も崩れかねないことは覚悟しなければならない。ドイツの爆発的実績増加に対し、日本の普及が止まってしまったのは「お金」だということがわかってしまい、また、太陽電池でもエネルギーのメリットが出ることが実践上でわかり始めた以上、補助金を再度投入することになりそうであるが、こうなると官製不況とかいう問題がすぐ国力に影響するほど、日本の企業・個人資産の形成が極めて脆弱であるともいえよう。
 メーカーが付加価値を高める方策は、
(1)シリコンのコストを抑える。
(2)太陽電池の変換効率を高める。

であろう。技術開発としては、原材料シリコン削減できる薄膜系の技術開発、シリコンを使わない化合物系の技術開発となると思う。また、効果的な出資策も必要なのだろうが、こちらは川上・川下の一貫生産というトレンド(各社の業務提携)もあるらしい。
さて、瓦斯製造と太陽電池開発・製造をやっている唯一の会社が昭和シェル石油である。
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<昭和シェル石油>太陽光発電パネル工場建設へ 世界最大級 2008年7月2日(水)20時27分配信 毎日新聞
 昭和シェル石油は2日、太陽光発電パネルを生産する世界最大級の工場を11年に建設する方向で検討していることを明らかにした。投資額は1000億円強で、1年間で生産するパネルの総発電能力は1000メガワット規模に達する見通し。海外も含め工場建設地を選定し、来年中に決定する。
 太陽光パネルは、シリコンを材料とするのが主流だが、昭和シェルは銅などの金属化合物で製造する技術を持つ。シリコンは需給逼迫で価格が高騰しており、コスト競争力が向上したと判断、大型投資に踏み切る。
 太陽光発電を巡っては、政府は地球温暖化防止の観点から補助金制度を復活させる方針。昭和シェルは大規模工場の稼働と補助金により、住宅向けの価格を、現在の200万円強から半分程度に抑えたい考えだ。【谷川貴史】
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昭和シェルが世界最大級の太陽光パネル建設へ 2008年7月2日(水)12時53分配信 ロイター
 昭和シェル石油が世界最大級の太陽光発電パネルの新工場を建設する。同社関係者が2日明らかにした。投資額は1000億円、新工場の生産能力は太陽光パネルの総出力で年間1000メガワットをそれぞれ見込む。
 価格高騰により主力のガソリン販売が減少する中、同社は地球温暖化防止に向け需要拡大が見込まれる太陽光パネルを新たな収益源に育てる狙いだ。
 昭和シェルは現在、銅やインジウム、セレンといった金属化合物を使うパネルを宮崎県の第1工場(生産能力は年間20メガワット)で生産中。来年6月には60メガワットの第2工場(宮崎県)が稼動予定だ。現在主流の結晶系太陽光パネルは原料のシリコンが高騰。昭和シェルは、シリコンを使用しない金属化合物型パネルの価格競争力が相対的に向上したとして、一気に生産能力の拡大を図る。建設地は未定だが、2011年の稼動を目指す。
 発電中に二酸化炭素を排出しない太陽光発電は、地球温暖化防止を進める上で主要な電源として期待されており、国内外で市場拡大が見込まれている。業界リーダーのシャープが、シリコン使用量を大幅に低減できる薄膜型太陽電池の新工場(年間生産規模1000メガワット、2010年3月までに稼動予定)を堺市に建設している。
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かなり前のことではあるが、変換効率のシャープ、アプリケーション構成の京セラ、電池価格の昭シェルという話を聞いたことがある。とにかく安かった。もっとも、日本法人がシェルGrの中でも電池開発に集中的に投資された地域というのはあるらしく、昭シェルの海外販売割合がかなりおおいときいている。ただ、良く注意すると、シェルGr自体が、石油に関わるがために石油の限界を認識してるのも事実。

ところでクリーンエネルギーで立国を目指すアイスランド共和国は、元々人口が30万人と意外と少なく、国土は北海道+四国の面積、しかし教育レベル・一人当たりGNPが極めて高い地域特性がある。今、国内の電力は、力が8割、地熱が2割とほぼ全てが水力発電と地熱発電である。このため、自動車・船舶燃料としての石油になる。
1980年代からクリーンエネルギー発電への切り替えを推し進め、エネルギー政策先進国として世界から注目を浴びている。新エネルギー導入に積極的施策を打ち出し、2050年までに化石燃料に頼らない水素エネルギー社会確立を標榜しており、燃料電池自動車バス・漁業用船舶の運行、水素ガス供給ステーション建設をしている。これに関しては同国の大臣(かつ大学教授)にこの部門の有力者がいるなど人材に恵まれたこと(日本政府主催の講演に行ったことがある)もおおきいのであるが、意外と知られていないのは、元々国内の燃料油は輸送用がほとんどで、シェルGrが、世界のプロトタイプとして開発資金を潤沢に投入しているというのを知ってしまうと、資本力をバックにした意識までの熟成という、理想的であるが為の資本の論理を感じてしまうのである。ひとつのコングロマリットの生き残りのために、燃料電池・太陽電池があるということ。非難でなく、その投資の先行的意義をすごく判ってることに感動すると共に、同意が形成されない世界ではカネで顔を叩くが如き活動をあえてしなければならないという認識も、否定できないのが今の日本以外の世界の趨勢だと思える。

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