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専門教育についていけない(3/3)

(承前)
では専門教育を平準化してさせるということが、本当に私たちにに有効なのか。
 まあ、皆が考える難題を、フラッと現れては鮮やかに解き明かす「天才・ギフテッドで育成された人」は、格好良いが、知能指数の高さと、良い将来を迎えられる事はイコールでは無い。要するに機会平等主義と能力平等主義は中庸を政策的にとる以外は両立されるものではないといえると思う。
このように均質を旨とする世界で生きることを問題とする人もいる。けど、卑近な例なら、アメリカの野球人には日本に来たことで成果を得る選手もいるし、アメリカでこそ声価を高める野球人も多いことがいるわけで、選択の自由はあるだろう。かくて、BASEBALL≠野球ということが言われる所以である。
同じことは、過日の落書きを美術建築にしたことで、お詫びに来る・学校休学・勤務先を解雇ということに対しての報道でもそう。日本人てのは公衆道徳を尊ぶということを示したというのが、日本人の価値判断による独りよがりであり、むしろ、日本てのはそういうことで人物が社会的に潰され、再起不能まで叩かれるという「恐ろしい国民性」という報道を現地でいっせいにし、宗教関係者まで戸惑ったというのが明確であろう。(別に「ギフテッド」と「岐阜」をくっつけたわけで無いので念のため。)更に、日本の人には、このレスポンスに関し、公衆道徳が無い下賎なやつだなとまで言う意見があったのが、これは立脚するものが違い、どうしようもないなと思うのである。そうなると、ドイツ的観念遵守志向、全体主義的志向が日本の中で取り込みやすく、法体系などが導入しやすかったのが分からなくもない。今でも国際的に独自の行動をドイツが行い、それに対してリスクを与えられても、受け入れない所を貫くことをよしとすることがある。このことが出来るならいいのだが、それは東洋の国同志では酷く阻害の元になる。要するに米欧の国同志の関係も、東洋の国同士の関係もまた国民の志向とおなじであろう。
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このあたりを考えずに仕事を選ぶと難しい問題が待ち受ける。これがでたり入ったりという企業形態ならいいのだが、そもそも保険から何から何まで出入りを許さない・・ことが前提・最低限条件であった社会では、中途退社は不利である。一時見られた第二新卒も最近は少しずつ評価を落としている。
---------------------引用
就職後3年で3割離職 大学生「青田買い」のせいなのか 2008年7月10日(木)20時11分配信 J-CASTニュース
国立大学協会など大学3団体が、日本経団連など137の企業団体に対し「青田買いの是正」を求める要望書を2008年7月9日に提出した。企業の中には大学3年の秋に「内内定」を出すところまであり、早期の採用活動で学業がおろそかになったり、採用が早く決まりすぎて結果として離職率が高まっていたり、といった理由だ。
「今が大学生活で一番楽しい時期だから、好きなことをやれって言われるんですよ」
都内の大学に通う2年生の男子大学生はそう話した。3年になれば就職活動が始まり、夏休みにはインターン(企業での職業体験)もある。早い学生は秋に「内内定」がもらえ、4年の春に多くの学生の就職が決まる。「青田買い」のスケジュールに従って今の大学生は大学生活を送っている。
企業による学生の「青田買い」は今に始まったことではないが、企業側と大学側が新卒者の採用日程を申し合わせる「就職協定」が97年に廃止されて以降、年々就活の時期が早まるようになっていった。98年には当時の日経連が「新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」を公表し、「青田買い」を抑制しようしたが、団体に属さない外資系企業などが就活時期を早めた結果、現在のような状況になってしまったようだ。
就活が早まった結果起きた悪影響
国立大学協会はJ-CASTニュースに対し、就活が早まった結果起こったことをこう指摘する。早めに内定をもらった学生は安心して講義に出なくなる。内定がもらえない学生に至っては、3年から卒業まで長期の就活をしなければならない。つまり、学業に相当の支障が出てしまっている、というのだ。それ以上に問題視しているのが就職のミスマッチ。
「専門の学業を学び始めた3年の途中で就活が始まり内定が出たりします。企業は『優秀な学生が欲しい』といいますが、何が優秀なのかまだわからない時期。そのためミスマッチが起き、離職率が高まる原因にもなっているんです」
内閣府の「平成19年版 青少年白書」を見ると、03年3月に大学を卒業した人の離職率は1年目15.3%,2 年目11.0%、3年目9.4%となっていて、就職してから3年で計35.7%が離職している。これが「青田買い」の影響というわけだ。
日本経団連も07年10月16日、09年春卒業予定の大学3年生について選考活動の早期開始を自粛するよう企業に申し入れている。
-------------------終了
内部に人材養成を作ることが企業経営の中で不利ということになっているから大学に期待する。ところがこのように大学が優秀な人材を育成すると、その中で「短期的にでも」日本の企業で欲しい人材がいなくなってしまう。いや、大学生に対し就職斡旋をすること自体、海外の企業には無意味だと思われているのであろう。但し工学関係では修士卒がもう必須だといわれているのはこのあたりの調整が効かなくなってきているということである。
入学試験を難しくし、上位から数を取るのでなく一定能力で判断すると今度は、学生数が少なくなり教育効果がでないということがある。だから本当は工業に関して例示すると
「実業で使える、既知の知識をうまく使いこなす人材を育てる」
「開発等を志向した幅広く浅い視野を狙う人材を育てる」
「新規の技術開発が出来る、専門知識をつっこんだ人材を育てる」

という分岐があるわけで、本当は高校で知識を完全に学ばない人でも、それを定着させることに価値を見出す大学があってもいいんですよ。ところが、大学の世界的認知は、(ごく一部の人を除くと)先端工学研究>製品化研究>教育である。海外の大学はこの教育を自己啓発に求める。
ところが、この考え方が通る大学(昔は東京理科大が「卒業するのが難しい大学」というイメージがあった。学部・学科によっては1年の留年率が今でも40%を超えるケースもあるらしい。私の知り合いのOBの話だと4年で出るほうが珍しいと聞く。また1年が全員寮生活という学部もあるらしいが、その分、私が関わった人はみな質は高いですね。)は覚悟がなければということもあって、人気を落としているのも事実。
これは最近の工学卒業のときにある課程を卒業するときに授与されるJABBEによるコースの実用上の問題に出ていて、とくに旧国立大学以外でよくあるのは、JABEEコースで卒業資格を得た場合には修士コースなどの進学を勧め、そうでないコースは実業的ノウハウを得る講義や基礎項目の授業に偏ることがあるようだ。ただこれ自体は避ける行為なのだが、そうでもしないと「大学の技術を欲しがる企業ニーズ」「基礎的技術習得を求める企業ニーズ」そして「幅広い知見を求める(工業以外も含めて)」ということに対応できないとも言う。問題はこれらを見極め、導くことが出来るほど教員の幅が広くないことと自嘲的に大学が語る事実である。たしかに大学の評価が先端研究で決まり、その工業化実績は世界的には評価されず、教育と言う側面は概念がそもそも異なるとなる、国際的視点をよしとすると研究者視点になるわけである。企業経験者が大学に戻ってその視点から進路指導をすることが行われるようにはなっているが、それでも担当者とて企業ニーズが非常に細かくなっているのも事実らしく、そこでマッティングを練っている間に外資系が採っていき、更に使い捨てと言う形で大学に戻ってくることもあって、本当は大学卒業と就職は別物にするべきということさえ悩んでいるとも聞くのである。
最初にあげた

「講義ついていけない学生増えた」 大学の33%「補習」実施  6月4日8時1分配信 産経新聞
 (中略) 
 メディア教育開発センターの小野博教授は「入試の多様化や推薦・AO入試の増加により、同じ大学・学部でも学生の水準がばらつき授業が成立しづらくなっている」と指摘。「勉強を習慣づけるため補習授業にも成績評価を取り入れたほうが良い」と話している。

であるが、元々多様化前提で教育が行われていたわけでないのが、ニーズは多様化、入試も多様化、受験生の資質や志向性も多様化しており、技術内容でも教育内容でもよっぽど強い個性を出した大学でなければ、ばらつきが生じることは当然である。個性尊重というのは、そもそもその価値を否定されることとトレードオフだということ、それは私も30台になって判ったことではあるが、独断的といえども強烈な方針付けを持って選考指導をしなければならないともいえるかもしれない。

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コメント

fish以前も少し書かせていただいたかと思いますが、難関国立大学でも修士課程から入ろうと思うと、研究室さえ選ばなければ、第10希望、第20希望くらいまで書けるので、学部入試のリベンジで入学する学生がたくさんいます。難関大学の方が定員が多いので、入学は楽なのです。そして、わずか1年の在籍であたかもそこの学生という感じで、就職活動に入り、そこそこの企業に就職する。うすうす感じている企業もあるようですが、あえて、そのような学生を取らないという理由もないのでしょう。よほどひどくなければ。博士課程に関しては、授業料無料は当たり前。奨学金も当然という様子ですから、いったいどうなっているのかわかりません。

投稿: KADOTA | 2008年8月18日 (月曜日) 21時56分

>そして、わずか1年の在籍であたかもそこの学生という感じで、就職活動に入り、そこそこの企業に就職する。
確かに私の知ってる人でもそういう人は結構いました。人にも寄りますが、修士課程に行く意欲があるぐらいなのですが、そういわれるとばらつきがおおいというのもあったかもしれません。特にこのところ首記の問題が顕著になってる気もします。

投稿: デハボ1000 | 2008年8月19日 (火曜日) 00時19分

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