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感情労働という分析手法(2/2)

(承前)
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「キャバ嬢」は女性「憧れの職業」 ブログやテレビでアイドル扱い 2008年5月21日(水)19時21分配信 J-CASTニュース

「ここ数年、面接希望者が増えています」
そんな中で、テレビにも露出し、アイドル並みの人気になる月刊誌モデルやキャバ嬢も現れ始めた。小悪魔agehaの専属モデルをしているMさん(21)は、その一人だ。(中略) ラヴィジョアの店長は、「アイドルのようなキャバ嬢に憧れて、確かに、ここ数年、面接希望者が増えています。女の子は『ここの店がダメなら次の店』とできるように仕事の間口が広く、就職活動の必要がありません。また、コスプレ主体の店、うちのように高級感が売り物の店というように、多様化が進んでいるのも、仕事として選びやすい理由でしょう」と話す。
ただ、高収入のアルバイト感覚ではあっても、不安定で厳しい仕事ではあるようだ。若者が組合員の中心のある労働組合では、「キャバクラ嬢やホステスの方からは、『賃金が支払われない』『売り上げが悪いから、損害金を支払えと言われた』といった相談がよく寄せられています」と明かしている。
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勿論このような感覚は、意識の変化以上に、作られたイメージをベースに成り立っているということは、かなり大きいのではないかなあ。いざやってみると、他の仕事以上に、素質も、向上心も、そして運も必要だし、高価な対価を得ることが、かなり難しいという側面もあるようだ。また、基本的に個人経営者という扱いであるため、安定と言うことを求める人(日本人は世界的に見てこの意味合いが非常に強いとか)には向かないなあと言うことも感じる。

さて、これに関して言うのは最近言われている「感情労働 Emotional Labour」という定義である。
以前は労働の定義においては行動主義・生理学固体主義的把握のアプローチが普通だった。(さらにマルクス主義では労働価値に視点が移っており、あまりかえ見られていなかった。)「感情労働」は、20世紀後半に研究が開始され、視点を変えて社会史的・人類学的に労働の本質を見て、そこに文化的相対主義の視点を援用することにより解釈した学説と言う。社会的・社会心理学的、経済学的視点がバックにある。身体や知識だけでなく感情の移入を必要とする労働作業を意味する。
まあここまではいいのですが、その定義としてこうなっているのはちょっと抵抗がある。

感情労働にもっとも相当する職種としては、看護師が挙げられる。航空機の客室乗務員や風俗嬢、ホスト、ホステスなどのサービス業も感情労働に当てはまる。

いや確かに、看護師さんにそのよりどころないとは言いませんよ。けど、少なくとも人に対して仕事をしている人に応分に含まれるということで、その比率と賃金の相対的按分の中では判ります。とはいえ、本当は看護師さんは医療技術の専門家であることに比重が重くなるべきと思っています。
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http://www.seirokyo.com/archive/folder1/nursing/kanjoroudou.html
感情労働としての看護  武井麻子(日本赤十字看護大学)
・今回の講演のテーマは3つあります。(1)看護、看護の役割、(2)精神科看護・治療、(3)管理、管理とは何をするか、目的は………という3つのテーマです。そこに、全て、感情がからんでいるのです。
・これだけの内容を90分で話すのは困難です。現在、「感情と看護-人とのかかわりを職業とすることの意味」を書いているところです。話し足らない点は本を参照して下さい。([著者]武井麻子 日本赤十字看護大学教授、医学書院。)
●感情労働とは...(ホックシールド)
・面と向かって、もしくは声をとおして、人々と接触がある事
・特定の感情(たとえば感謝や安心、ときには恐怖など)をクライエントにひき起こすことが求められる仕事である事
・雇用者が労働者の感情面での活動を、訓練や指導監督をとおして、ある程度コントロールすることができる→職業上、適切な感情の内容や表出のしかたが決められており(感情ルール)、それに対して、有形無形の報酬があたえられる
・肉体労働、頭脳労働、精神労働という概念がありますが、1970年代半ばに社会学者のホックシールドが、感情労働という概念を使用しました。航空会社で、借金の取り立てやスチュワーデスの恐怖を考えていて使い出しました。
・今日では、対人職業が大半を占める様になってきました。そのためにストレスやメンタルヘルスが課題となってきております。電話相談も増えてきております。感情社会学会も出来ました。
・職業には、特定の感情がつきまとっています。
・リスクマネージメントでは、「ヒューマンエラー」が必ずあります。
・職業は、感情+組織+肉体労働で成り立っています。
------------終了
日本人は余り感じないという話があるが、「スマイル 0円」という形を改めて堂々と書いたのは、マクドである。これは潜在化にあるサービスの対価を顕在化し、その上で0円ということを打出してるともみた。(ちなみにMacの店舗によっては、サービスの中身をレジスターに打つ仕様を選定しているフランチャイズがあり、水0円・紙ナプキン0円と言う中に「スマイル 0円」が混ざってる事もあったそうな。)
但し、特に顧客からの選別意識が強い日本の労働では、そもそもの基本給内にこの要素が含まれれている側面がある。日本でも3人に1人が多かれ少なかれ、「感情労働」に携わっているだろうという見方があるとか。(それは、一人の仕事の中に0.1人分とかいう形で包含されてるという意味です)
 2008/2に日本経済新聞の特集があったそうで・・・そこには
●モノがあふれて来た結果、サービスが勝負を分けると言われて久しい。
●顧客要望に応えることが差別化と言うことに成るため、「顧客満足(CS)」よろしく、どんな時でも、笑顔で気持のよい接客を心掛けるよう、マニュアルを整備し、教育研修を行うことがあたりまえになった。 
●但しモラルを逸脱したクレーマー、モンスター・カスタマーも多くおり、働き手の「笑顔」が報いられる保証はない。それゆえ燃え尽きてしまう感情労働者もいる。
●「スマイル、0円」と言われるように、顧客からすると笑顔は空気のようにタダと思っている。
●顧客を満足させる笑顔の価値をはじき出し、評価や報酬で報いる試みは、感情労働に関わる者を「何のための笑顔なのか」という疑問から解き放つ。

ということです。確かに、接客販売のような、「感情労働」に明確な対価をつけるのは、とても難しい。また感情労働に対価を明確に分析することは難しい側面がある。そこでこれを明確な対価を、値付けする活動をし始めてるという。ファッションビルLでは接客の上手なテナントの販売スタッフを表彰する制度を設けた。一時クレーム対応が社会問題になったT社は(社内の機構改革の結果でもあるのだが)電話相談窓口の顧客対応の良し悪しを専門家がチェックし、賞与に反映させる仕組みを導入した。
 ところが、実際は、客とのいい体験よりモラルを逸脱した客とのイヤな体験ばかり語ってしまい、モチベーション低下の誘引という事もある。そういうのを弾き飛ばすような商売(例えば、極端な低価格でもともとそういうクレームを受けないことを旨としている)形態という手法もあるが、おおむねこの商売形態はある程度市場の環境が固定化したも地域・市場になる。さらに、このスマイルは客にしてはほとんど付加価値でしかないが、担当者にとっては価値が高いものを供給するということになるんですかね。 そこの意識の差異に苦しんでいるのが、「感情労働」が提案されてる要因の一つなのかなあと思います。

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